三つ巴の熾烈なタイトル争いに幕。「世界を目指す男」宮田莉朋がTEAM MUGENのローソン、野尻下して初王座。優勝は太田格之進｜スーパーフォーミュラ第9戦：決勝レポート

　10月29日、スーパーフォーミュラ第9戦（最終戦）の決勝レースが鈴鹿サーキットで行なわれた。優勝したのは太田格之進（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）で、このレースの結果、宮田莉朋（VANTELIN TEAM TOM’S）がシリーズチャンピオンに輝いた。

　全9戦で争われる2023年のスーパーフォーミュラも、いよいよ最後の一戦。レース前の時点でタイトルの可能性を残しているのは3名。宮田（103.5点）、野尻智紀（TEAM MUGEN／98点）、リアム・ローソン（TEAM MUGEN／91.5点）だ。

　予選ではこの3名が上位グリッドに並んだ。ポールポジションはローソン。太田を挟んで、野尻、宮田が3、4番手に続いた。王座に向けて、ローソンとしては2位以上が絶対条件、野尻も2位以上に入ればタイトルのチャンスが高まってくる状況。宮田は2位以上で自力でタイトルを決めることができる。

　なお前日に行なわれた第8戦では大きなクラッシュが発生。クラッシュに絡んだ大津弘樹（TCS NAKAJIMA RACING）と笹原右京（VANTELIN TEAM TOM’S）は欠場し、全20台の出走となった。緊張感が高まる中、14時30分から31周のレースがスタートした。

　スタートで良い蹴り出しを見せたのは2番グリッドの太田。トップで1コーナーを抜けた。2番手はローソンが死守し、その後ろで詰まったような形となった野尻は宮田にも先行され4番手に落ちた。

　序盤は太田を先頭に、ローソン、宮田、野尻がほぼ等間隔で続いた。その後野尻がやや隊列から遅れたが、上位4台が5秒以内で連なった状態で、タイヤ交換義務の消化が可能となるピットウインドウオープンの10周目を迎えた。

　最小周回数の10周では上位陣は誰も動かず。しかし12周目にはライバルに先駆けて3番手宮田がピットイン。これに反応する形で、翌周にローソンがピットインした。ローソンは宮田の前でコースに合流すると、ヘアピンでは宮田に並びかけられるシーンもあったが、なんとかポジションを守った。

　そしてさらに次の周にはトップの太田もピットイン。チームは素早いピット作業でコースに送り出し、ローソンと宮田の前で復帰することができた。しかし、実質のトップ争いを繰り広げる太田らの前には、まだピットに入っていない同一周回のドライバーたちが立ちはだかることとなり、太田らはそのトラフィックを次々とかいくぐりながら周回を重ねていった。その一方で、野尻はトップでステイアウトを続けた。

　野尻は残り8周まで引っ張ってピットへ。しかしステイアウト中のペースが上がらなかったこともあり、太田、ローソン、宮田の後ろでピットアウトした後、松下信治（B-Max Racing Team）にも追い抜かれてしまった。

　太田は首位をキープしたままレース終盤に突入したが、ローソンがじわじわと迫り、残り数周ではその差が1秒以内に。しかし太田は落ち着いて走り切り、トップチェッカー。ルーキーイヤーながら初優勝を成し遂げた。

　2位はローソン、3位は宮田、野尻はその後松下をオーバーテイクしたものの4位止まり。この結果、宮田がシリーズチャンピオンに輝いた。TGR WEC チャレンジドライバーに選ばれ、世界への挑戦を始めた宮田が、9戦全てで5位以内に入る高い安定感を見せ、フル参戦3年目で悲願のタイトルを獲得した。

　なお、チームタイトルは第8戦の結果を受けてTEAM MUGENが獲得している。