カリナンはロールスロイスにとって史上初のSUVというが、それだけではない。テールゲートを備えているという意味でも、前輪にエンジンパワーが伝えられるという意味でも、カリナンは史上初のロールスロイスである。古い話に詳しい方なら、1981年のパリ・ダカール・ラリーに4WD仕様のロールスロイス・コーニッシュ・クーペが出場したことをご記憶かもしれない。しかし、あれはスペースフレームにコーニッシュの形をしたFRPボディをかぶせたスペシャルで、駆動系はトヨタ・ランドクルーザーから拝借し、エンジンはシボレーV8スモールを搭載していた。その意味ではロールスロイスとは無縁のモデルだったのである。
話をカリナンに戻そう。初のSUVを手がけることになったきっかけについて、ロールスロイスは「顧客がそう望んだから……」と説明する。ロールスロイスといえばお抱え運転手が走らせるショーファードリブンが通り相場。オーナー自らがステアリングを握るSUVとは、本来相容れない存在だ。
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けれども、20代や30代という若いロールス・オーナーのなかには、週末はSUVで出かけ、家族と水入らずの時間を過ごしたいと思う向きが少なくないという。そんな彼らのリクエストに応える形で誕生したのがカリナンなのだ。このため内外装がロールスロイスのスタンダードにしたがってきわめつけにゴージャスでなければならないのは当然のこと、操る楽しさが味わえるファン・トゥ・ドライブ性もあわせて求められることになった。
果たして、その仕上がりはどうだったのか? ワイオミング州ジャクソンホール周辺で試乗したカリナンのインプレッションをお届けしよう。
エンジンノイズやロードノイズが限りなくゼロに近く、“マジック・カーペット・ライド”とロールス自らが説明する乗り心地がすこぶる快適だったことはいうまでもない。スキー場に設けられた急勾配のオフロードコースも難なく走破したが、正直、難易度としてはそれほど高くない。それよりも、がれきが散乱した悪路に遠慮なく足を踏み入れられるロールスロイスが誕生したことに強い驚きを覚えた。
しかし、それを上回る驚きは引き締まったフラットダートを走っているときに訪れた。コーナリング中に故意に急なハンドル操作を行っても、ヨーモーメント(クルマが自ら回り込もうとする回転力のこと)の収まりが素早く、すぐに安定した姿勢を取り戻すのだ。その機敏なリアクションはまるでライトウェイトスポーツのようで、これだったらオフロードでドリフトさせてもカンターステアで修正するのは難しくなさそうに思えたのである。
そこで、まずはスタビリティコントロールをオフ。ふたたびコーナリング中にリアを大きく振り出すような操作を行ってみたところ、予想どおり、カリナンはダイナミックなテールアウトの姿勢をとりながらも、スピンすることなく、力強く前進してみせたのである。
これだけ機敏な挙動を示すなら、ドリフト中にスロットルペダルを強く踏み込み、エンジンパワーでさらに大きくテールを振り出させるパワースライドもできるかもしれない。そう思った私は、道幅の広いコーナーでカリナンをテールスライドさせると、スロットルペダルに載せた右足に強く力を込めた。すると、カリナンの後輪は激しく空転しながらアウト側にスライドし、迫力あるドリフトの姿勢を維持しながらコーナーをクリアしてみせたのである。
冒頭でロールスロイスはショーファードリブンが通り相場と述べたが、たとえそうであっても、ドライバビリティに優れたハンドリングを有していることはすべてのロールスロイスに共通する特徴といえる。つまり、1台の自動車としてまずしっかりできているのがロールスロイスであり、比類なき快適性も目を見張るような内外装の豪華さも、クルマ本来の性能が高いレベルにあって初めて意味を持つものなのだ。
この点ではカリナンもロールスロイスに求められる水準を完璧に満たしているのだが、そのうえで、リアパッセンジャーのプライバシーを優先してCピラーを太めのデザインとしていた従来のロールス・サルーンとは異なり、カリナンでは6ライト風の処理にして見晴らしのよさを優先した。
また、後席が左右で独立したインディビジュアルシートを選ぶと、リアシートとラゲッジルームを仕切るパーティションが設けられ、テールゲートを開けても外気がキャビンに入り込まないように工夫される。なお、後席はベンチシート風のラウンジシートも選べるが、その場合は着座位置がインディビジュアルシートより10mmほど低くなるほか、上述したパーティションは備わらない。
史上もっとも豪華なSUVのカリナン。その仕上がりは、ロールスロイスの名に恥じないものだったと断言できる。
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