スーパーフォーミュラの第7戦もてぎの決勝レースでは、スタート直後にTEAM MUGENのリアム・ローソンがターン2の立ち上がりでスピン。これが引き金となり、複数のマシンがクラッシュすることになった。
この件についてTEAM MUGENの田中洋克監督は、クラッシュに巻き込まれた選手たちに申し訳ないと話し、最終ラウンドの鈴鹿戦で同様のことが起きないように徹底したいと語った。
■もてぎでのスーパーフォーミュラで、戦慄のクラッシュ。巻き込まれた関口雄飛と松下信治が見た光景は?
好スタートを決めた3番グリッドのローソンは、その勢いを活かして一気に先頭に躍り出ようと、ポールポジションからスタートしたチームメイトの野尻智紀に車体を合わせにいった。
ターン2では野尻がイン側、ローソンがアウト側という位置どり。そこでローソンは縁石でバランスを崩してしまいスピンし、コントロールを失ったままコースの中央部に戻ってきてしまった。このローソンのマシンを避けられず、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が追突。しかも2台は、ローソンのリヤに乗り上げてしまったことで宙を舞い、激しく路面に叩きつけられた。中でも関口のマシンは、上下逆さまになってコース脇にストップ。またB-Max Racing Teamの松下信治もこれを避けられずにクラッシュに巻き込まれてしまった。
レースはこの事故を受け、赤旗中断。牧野はなかなかマシンから脱出できず、その容体が心配されたが、幸いにもクラッシュに巻き込まれたドライバーたちは、いずれも大事には至らなかったと報告されている。
「我々のチームがクラッシュの原因を作ってしまったので、申し訳ないと思っています」
レース後の会見で、田中監督はそう語った。
「野尻選手がスピードを見せて優勝してくれたのは、非常に嬉しく思っています。対してリアム選手はクラッシュしてしまった。それは、チームとしてはあってはいけないことだと思っています」
「こういうことが最終戦ではないようにしたいと思います」
今回のレースで野尻が優勝、ローソンが無得点に終わったことで、MUGENの2台はローソン86点、野尻84点と非常に僅差で鈴鹿での最終2戦を迎えることになる。
田中監督はポイント差が僅差になったことで、どちらかを優先することはないと語った。
「野尻には3連覇を達成してほしいという気持ちは当然あります。一方ローソンはF1を目指していますから、そのためのチャンスを作ってあげたいという気持ちがあります」
そう田中監督は言う。
「ポイント差も縮まりましたから、どちらかを優先するということはできません。フェアなレースをして、勝った方が勝ちということでいいと思います」
ただTEAM MUGENとしては、チームのふたりだけを見ていればいいというわけではない。94点を獲得し現時点で単独ランキング首位に立つ宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)の逃げ切りも、同時に封じなければいけないのだ。
「今季はスタートの時のことは決めていませんでしたが、ただ(チームメイト同士で)ぶつかるなよというところは話をしていました」
「リアムはこれまで冷静に戦ってきましたから、そこまで言わなくても彼なら分かっているだろうと思っていましたし、レース前には宮田選手をターゲットにするという話をしていたんです。ですから、当然あそこで無理をする必要はなかったわけです」
「ただドライバーならば、あの状況で攻めていきたいという気持ちも分かります。もう一度、しっかりと話をして、最終戦に向かっていきたいと思います」
「もちろん、遠慮する必要はありませんが、話し合っていきたいと思っています」
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