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【スーパーGT2024 第7戦オートポリス】なんて日だ!17台ごぼう抜きからのクラッシュ

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【スーパーGT2024 第7戦オートポリス】なんて日だ!17台ごぼう抜きからのクラッシュ

なんて日だ。2024スーパーGTシリーズ第7戦オートポリス3時間レースが10月19日(土)、20日(日)に大分県日田市のオートポリスで開催された。

SUBARU BRZ GT300の今季は何かが噛み合わないままシーズンを過ごし、順位も低迷している。しかし前戦のSUGOでは予選2位、決勝5位と結果に繋がるレースができていた。ドライバーの井口卓人、山内英輝は「ようやく走り切ることができてチームにもリズムが出て、いい雰囲気にはなっています」と口を揃える。しかし二人の脳内には「率直に勝ちたい」であり、すっきりとした気持ちになりたいのも本音だ。

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土曜日はキャンセル

予選前日の金曜日。熊本空港に着くと温度計は30度を示し、10月中旬とは思えない暑さだ。標高の高いオートポリスでも25度あり、Tシャツ、短パンでも汗をかく暑さだった。BRZ GT300の車検では車両重量が1kg足りないアクシデントはあったが、対策をして無事車検はクリア。なんでもオートポリスの計測器の入れ替えがあったようで、R&Dスポーツを出発するときは数キロオーバーのはずが・・・。じつにデリケートな世界でもある。

土曜日の天気は一転して荒れた。朝から濃霧。熊本市内から登り続けるミルクロードはまさに、ミルクの中を走るような濃霧。しかも強い雨、風が吹いている。午前9時20分から始まる公式練習は30分のディレイがアナウンスされるも、一向に回復の兆しは見えない。

これでもかなり状況が改善した状態天候の回復が見込めず午前中は天気待ちとなったが、GTAは午後の予選は予定通り行なうことを発表。ただし公式練習がなかったため、予選は45分間とし、ドライバーは1名のタイムで順位を決める方式に変更となった。

BRZ GT300はセットアップの幅は広くなったとはいえ、各サーキットの路面コンディションや路面温度などが違うことに対するジオメトリー変更は必須のマシン。いきなりの予選でしかも45分間は、かなりハードルが高い。

しかし天候はさらに荒れ狂い、変更した予選の実施も不可能と判断し、この日のトラック上でのイベントは全てキャンセルとなった。GTAの坂東会長は「雨や霧が収まったとしてもコースコンディションの回復が見込めないことと、安全を重視した結果キャンセルとした」とコメントを発表している。

ワンデーイベントとなった日曜日の朝、サーキットへの道は大渋滞ワンデーレースに

レースは日曜日のワンデーイベントへ姿を変えた。朝8時から30分間の予選を行ない、GT300クラスは参加27台が同時に走行し、1名のドライバーのタイムで順位を決め、午後は3時間のレースとなった。

うっすらと霧は残っているものの視界は確保できる。だが、気温も路面温度も冬の温度BRZ GT300は山内がコクピットに収まり、30分間の予選に集中する。朝のオートポリスは、雨は落ちていないものの、霧は出ており、再びディレイの可能性を感じていたが、8時5分前になると霧は少し上昇しコースでの視界が確保できるように変化した。だが寒い。急に訪れた冬の気温は10度。路面温度10度。

8時になるとシグナルはグリーンに変わり、一斉にコースイン。全チーム準備遅れもなく予選は始まった。

コースインしてすぐさま山内はリヤタイヤのグリップがまったくなくオーバーステアだと無線で伝えてくる。BRZ GT300のセットアップは、まずマシンバランスの確認から始まり、持ち込んだタイヤのマッチングを見つけ、決勝に向けたロングランテストをするのがルーティンだ。

山内はすぐさまピットに戻りセットアップ変更を行なう。30分しかない予選でセットアップ変更を行ない、ウエットコンディションからドライアップしていく変化の中でタイムアタックしなければならない。すぐさまセットアップを変更し、選択したタイヤはレイン。

残り20分。スリックを履くチームもいるが、この時のスリック勢は20秒も遅いのでライバルにならない。しかしレコードラインはドライアップし始めており、そんな中3番手のタイムをマークした。

残り13分。多くのマシンがスリックに交換している。レーコードラインをトレースしてひたすら乾かす作戦で終了間際にベストタイムを狙う戦略だろう。BRZ GT300のピットでも判断は迷う。ハードレインでもう一度アタックするか、スリックか。

赤旗中断からの残りは6分ほど。チームはウエットでのアタックを考えていたが、山内は「レインでは49秒台は見えない」と伝える。この時、3位の山内は1分50秒761。スリック勢は49秒台に入り始めている。澤田監督からは「上を狙うならスリックしかない」のひと言でスリックに決まった。急遽スリックに変更し、井上トラックエンジニアは「計測3周はいける」と山内と会話。

予選は再開。丁寧にウォームアップし、3周目にアタックするもレインで出した自身のタイムを上回ることができない。まだ熱が入り切らないのだ。無情にも予選はここで終了。山内の3位だったタイムはスリック勢に塗り替えられ、ライバルマシンがチェッカーを受けるたびに順位をさげていく。

予選18位。厳しい結果が待っていた。

果たしてどこにミスがあったのだろうか。今季噛み合わないシーズンを送るチーム状況を象徴するような予選となってしまった。

応援に駆けつけたSUBARU の中村知美会長(左)と応対するSTI賚(たもう)社長(右)18位からの挽回

決勝レース。タイムテーブルはほぼ元の姿に戻り、予定通り決勝前ウォームアップ走行から始まった。いつもなら20分間だが、今回は40分間のウォームアップ時間が割り当てられた。そこでもBRZ GT300はセットアップの確認を行なっている。山内、井口と交代でマシンを確認し決勝用のセットアップを探す。

スターティンググリッドについてもジオメトリーの変更を行なっていたそしてグリッドについてからジオメトリーの変更を行なっている。フロントサスペンションはスプリング交換をしバネレートの変更を行なった。周りを見渡すと各チームメカニックが慌ただしく動き回る。GT-3勢は触れる部分が少ないためか、いつも通り静かにスタートを待っていたがGTA-GT300のマシンはベストを探している様子だ。

決勝レースのドライバーローテーションは、山内がスタートでダブルスティントを走り、井口でチェッカーを受ける作戦。タイヤ交換は状況を見ながらだが、タイヤに攻撃的なオートポリスだけに2回のピットともフルサービスは必至と考えていた。

山内は18番手からのスタートだが、彼の頭の中にはWスティントは順位を上げるチャンスと理解している。パレードラップとフォーメーションラップを終え、スタートが切られた。

山内はオープニングラップで2台を交わし15位に。2周目も2台抜き13位。そのまま2ラップすると今度は11位に順位を上げている。激しいい追い上げだ。

山内英輝劇場開演

5周目になると#52 Green Brave GR Supra GTと#5 MC86 マッハ号がピットインをし、タイヤ無交換作戦に出た。その後#2 muta Racing GR86 GTも早めのピットで無交換作戦を実施している。その間、山内は目の前のターゲットを次々に撃沈させ、9周目には10位、10周目は9位と山内劇場が面白い。

山内英輝劇場の開演だ12周を終えるとなんと山内は6位にジャンプアップしている。17周目、トップとは20秒183の差、そして目の前の#20シェイドレーシング GR86 GTとは0.217秒差だが、翌周に交わして5位浮上。次は#65 LEON PYRAMID AMGだ。差は3.586秒。山内のスクランブル攻撃は止まらない。

と、ここで他のマシンによりFCY、そしてセーフティカーが入り、トップとの差が一気に縮まった。しかし、この時点ですでに1回目のピットを済ませたチームもあり、それは大きなアドバンテージを持つことになる。その中には#52 Green Brave GR Supra GTと#2 muta Racing GR86 GTもいた。この2台は裏のトップワンツーだ。

30周を終え山内は4位のポジションで1回目のピットに入る。タイヤ4本交換と給油のフルサービスで、同じタイミングで3位の#65 LEON PYRAMID AMGもピットイン。コースに戻ると山内は15位。ピットインを済ませていないチームを除くと実質7位だ。

前を走るマシンをすべて抜いていく山内の走りは痛快だそして再びセーフティカーがはいり、前走車とのギャップがなくなるとリスタート後には4位に順位を戻している。トップとは13秒ほどの差まで詰め寄っているのだ。

50周目になると、前を走る#2 muta Racing GR86 GT、#31 apr LC500h GT、#5 MC86 マッハ号がいずれも2回目のピットインをしたため、山内はついにトップに立ったのだ。

突然やってくる異変

山内は17台をごぼう抜きにしてトップの座を掴んだ。BRZ GT300はトップのまま7ラップほどしてピットインの予定。だが、またしてもセーフティカーが入り、ピットに入れない。結果的にはこのSCによる大きな影響はなく、リスタート直後に1位のままピットに入り、井口卓人に交代できた。

トップで井口卓人に交代。ここまでは完璧な展開だBRZ GT300はここでも4本交換と給油のフルサービスで、コースに戻ると10位だった。井口も好調な走りを見せ、すぐさま順位を挽回していく。5周もすると6位にまで戻したがトップ#88 VENTENY Lamborghini GT3とは1分のギャップに広がっている。すでに全車が2回のピットイン義務を消化しているので、コース上で取り戻すしかない。

すると#6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIが想定外のピットでタイヤ交換をしたため、井口は5位に浮上。前を走る#7 Studie BMW M4とは2秒程度の差だが、差は縮まらない。しぶとく追いかける井口だったが、81周目突然場内アナウンスのピエール北川の絶叫が聞こえた「#61号車BRZがクラッシュしてるー!」

心配そうに見守る山内。このあと井口は歩いてピットに戻ってきたリプレイ再生された動画ではリヤブレーキがロックし、スピンしながらガードレールにぶつかっている。原因はこの後の検証を待たないと分からないが、フロントブレーキが効かずリヤだけで減速したが、減速しきれず、マシンをスピンさせてドライバーとは反対側のリヤから当たるようにコントールしているように見えた。

その後、井口の無事は確認されたが、マシンのダメージは不明だ。こうしてBRZ GT300のシーズン第7戦は終了した。荒れ狂った天気と突然襲った冬将軍、山内英輝劇場で大盛り上がりをしたあとのトラブルによるクラッシュ。なんて日だ!

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みんなのコメント

1件
  • クムクム
    確かに早いが、速さには部品摩耗とかの影響もあり、リスクもかなりある。
    GTの場合、速く走ろうと思えばもっとタイムを縮められるマシンもあると思うが、リスクと耐久を考えてのタイムを維持するのが難しい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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