■「令和のスーパーカブ」のミボット
交通弱者を救う新たな移動手段として、注目を集める超小型モビリィに、広島生まれのユニークなクルマが加わろうとしています。
【画像】「えっ…!」 これが全長2.5mの「めちゃ小さな国産車」です!(49枚)
それがKGモーターズの「mibot(ミボット)」です。どのようなクルマなのでしょうか。
超小型モビリティ「mibot」を手掛けたKGモーターズは、2022年7月に創業したばかりのスタートアップ企業です。
その足掛かりとなったのが、代表の楠 一成さんが2018年3月に開設したYOUTUBEチャンネル「くっすんガレージ(現:KGモーターズ)」というユニークな経歴を持ちます。
超小型モビリティ開発の歴史を簡単に振り返ると、2020年5月の小型EVプロジェクト着想開始し、2022年1月の東京オートサロンでは、初のオリジナルEVコンセプトカー「T-BOX」を発表。
2023年1月の東京オートサロンでは、mibotの前身となるEVコンセプトカー「ミニマムモビリティ」を公開しています。
そのお洒落で可愛いデザインは多くの来場者の注目を集めただけでなく、2025年の量産化と販売予定価格が100万円(税込)を切ることを目標とすることを公表したことも大きな話題となりました。
Mibotは、超小型モビリティの中でも第一種原動機付自転車、いわゆるミニカーに分類されます。
ミニカーといえば、1980年代のブームを思い出す人もいることでしょう。
当時は、50ccスクーターの駆動システムを流用して作られたキャビンスクーターであるミニカーが、原動機付自転車運転免許で運転できたことでヒットしました。
タケオカ「アビー」や光岡「BUBU」などは、その代表格でしたが、1984年の法改正により、ミニカーが普通自動車扱いとなったことで、運転には普通自動車運転免許が必要に。その結果、一気に市場は縮小していきました。
現代のミニカーでは、電動化を図ることで、環境負荷の少ない移動手段として再び注目。
コンビニの配達用車両として採用されているトヨタ車体の「コムス」が、代表格として知られています。
ミニカーは、乗員が1人、50ccエンジンに相当する定格出力0.6kW以下の性能、全長2.5m以下×全幅1.3m以下×高さ2.0m以下のボディサイズという制約はあるものの、同時に原付扱いのメリットも生まれます。
代表的なものが、車検や保管場所の届け出の不要であること。
税金では、重量税の負担はなく、軽自動車税(ミニカー区分)のみとなります。
任意保険についても、原付対応のバイク保険に加え、所有しているクルマがあれば、任意保険のファミリーバイク特約で対応できるので保険代も節約できます。
つまり、クルマとしてみると、軽自動車よりも、だいぶ維持費を抑えられるのです。
超小型モビリティのニーズとして、新たな高齢者の移動手段として話題に上ることが多いですが、楠代表は、そのニーズも踏まえた上で「より地方でクルマ社会化が加速していく中で、より若い世代移動手段を意識して開発に取り組んだ」といいます。
独自の調査では、クルマ離れの進む若い世代についても、移動手段が限られる地方では、クルマを欲する声が高いことに加え、深夜などの帰宅時の安全な移動手段としてクルマへの関心を持つ女性の声も拾うことが出来たといいます。
さらに国土交通省の調査でも、日常的なクルマ移動では、一人かつ単距離が多くを締め、高速道路も使わないことが浮き彫りになりました。
超小型モビリティは、その手軽さを武器に、通勤や通学などの日常的な移動手段としても、十分なニーズがあると分析し、「令和のスーパーカブ」と掲げています。
■最高速度60kmで航続距離100kmのミボット値段は? いつから買える?
車両についても見ていきましょう。
ボディサイズは、全長2490mm×全幅1130mm×全高1465mmと小さなもの。
一般的な駐車場枠の幅が約2.5mと聞けば、その小ささも想像しやすいはず。
現時点では、詳細なスペックが明かされていませんが、最高速度60kmと満充電時の航続距離が100kmとされています。
また充電時間は、家庭用電源のAC100Vで満充電まで5時間とされていますから、夜間にコンセントに差し込んでおけば、朝には充電が完了するので、使い勝手も良さそうです。
キャッチーで愛らしいデザインは、コストダウンを狙い、出来る限り製作する部品点数を減らすための前後共通デザインから生まれたものだそう。
そのシンプルな造形を活かしつつ、クルマをデフォルメしたようなミニカーらしいデザインとポップなカラーなどが、可愛さにも繋がっています。もちろん、若い世代の目も意識しています。
車体の構造は、一般的な乗用車と同じ軽量高剛性を持ち味とするモノコックボディを採用し、乗降性に優れる大きめのドアを左右に装備。
さらに後方にはガラスハッチからは、ラゲッジスペースにアクセス可能。45kgまで積載重量があるため、日常の買い出しの荷物ならば、楽々と飲み込んでくれます。
開発時には、灯油用ポリタンク2缶を積めるように配慮したとのことです。
1人用のコクピットエリアには、ヘッドレスト一体型シート、ステアリングホイール、ダイヤル式シフトスイッチ、アクセル&ブレーキペダル、デジタルメーターディスプレイなどの乗用車ライクな作りとなっています。
快適装備として、エアコンとシートヒーターも備わっています。
さらに車載通信機を搭載したコネクテッドカーでもあるため、通信機能によるバージョンアップが可能なOTAに対応。
また有償機能として、車内WI-FI専に加え、専用用スマートフォンアプリによるドアロックや乗車前のエアコン始動などの機能にも対応するといいます。
着座してみると、小さいながらもドライバーをセンターに置いたことで、左右ドアとの距離もしっかりと確保しています。
ですから、成人男性でも全く狭さを感じません。ガラスエリアが広いので、周囲の視界も良好で、ルーフ部がポリカーボネート製のグラスルーフとなるので、開放感も抜群です。
製造は、広島県内に設ける自社工場によるメイドインジャパンに拘っています。
EVの要となる駆動用リチウムイオン電池についても自動車メーカーも採用する中国の電池メーカーより、セルを調達し、自社での組み立てを行うとしています。
その狙いは、自社生産による信頼性の確保はもちろんですが、地域に新たな雇用を創出したいという楠代表の想いもあるそうです。
将来的に、mibotは自動運転も見据えいます。自動運転を実現すれば、運転手が不要な公共インフラとして超小型モビリティの活用が可能となるためです。
もちろん、運転者が不要な自動運転の実現は、簡単なことではありません。KGモーターズでも、まずは2027年からの実証実験の開始を目標に開発を行っているとしています。
ただYOUTUBEを活用し、自身が理想とするモビリティの実現をさせた楠代表が率いるKGモーターズだけに、どのようなアプローチで自動運転へに取り組んでいくのかも大いに興味を惹かれます。
市販版のmibotの予約は、2024年8月23日21時からオンラインで行われ、2025年度生産分の300台は、納車とサポート体制の関係から、広島県と東京都に優先エリアに設定。
2026年度には3000台まで生産規模を拡大し、準備が整い次第、全国対応としていく方針です。
注目の価格は、有言実行の100万円(税込)となっています。
EVとしては安価といえますが、使用環境が限定される乗りものだけに、どんな人がオーナーとなるかも気になるところ。
ただ誰もが「まずは乗ってみたい!」とワクワクさせる新たなモボビリティであることは間違いないでしょう。
試乗の機会も生まれることになる2025年の市販開始が、待ち遠しばかりです。
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みんなのコメント
その額ならどれだけ維持費が安かろうと日本人はミラアルト選ぶもの。
実際この日本をどれだけマイクロカーが走ってる?見掛けない日の方が圧倒的に多いでしょ。コンビニのコムスぐらいしか見ないが、まさかこいつに置き換わるつもりか?
あと耐久性も気になる。
令和のミゼットあたりの方が似合う名前かもしれない。