WRC世界ラリー選手権2023年シーズン第7戦『サファリ・ラリー・ケニア』の競技2日目はナイバシャ湖の周辺でSS2~7が行われた。本格的なグラベル(ラリー)が開始された6月23日(金)のデイ2では、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエが総合首位に浮上。チームメイトのカッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンス(いずれもトヨタGRヤリス・ラリー1)が続き、TGR-WRT勢がワン・ツー・スリー体制を築いている。
曇り空の下で迎えたサファリ・ラリー・ケニアのデイ2は、シリーズ8冠王者のスピードが光る一日となった。初日デイ1でトップとなったオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)とコンマ1秒差の2番手で競技2日目を迎えたオジエは、オープニングのSS2で幸先よくステージウインを飾り総合順位でも首位に浮上する。
【順位結果】2023年WRC第7戦サファリ・ラリー・ケニア SS7後
この段階で総合2番手に浮上してきた“現王者”ロバンペラに9.8秒差をつけ、続くSS3終了時点でその差を11.9秒としたオジエだったが、午前のループ最後のステージに設定された全長30.62kmの“ケドング1”では、ハイブリッドユニットに不具合が発生。この影響でペースを鈍り同ステージを制したロバンペラに2.5秒差まで迫られた。
しかし、2年前のサファリ・ラリーウイナーはここからギアを上げた。オジエはミッドデイサービスを経て迎えた午後のループでスペアタイヤを1本のみとするギャンブルに出る。これが奏功したオジエ/ヴァンサン・ランデ組はSS5からSS7までの3ステージで連続ベストタイムをマークし、一気にロバンペラを突き放すことに成功した。両チャンピオンのギャップは午後のステージ3本だけで20秒以上拡がり、デイ2終了時点で22.8秒となっている。
「いい一日だった。今朝のハイブリッドの問題を除けば完璧な一日を過ごすことができたから(今夜は)ハッピーな気分になれるよ」とオジエ。
対するロバンペラは「驚きがたくさんあった。高速ステージなので簡単ではなかったね」とSS7後のインタビューで語った。
チャンピオンシップリーダーとして今大会を迎えているロバンペラは、ミッドデイサービスでのセッティング変更が実らず午後に入ってアンダーステアに苦しむ展開となった。それでも僚友で総合3番手につけたエバンスに対しては20.7秒リードしている。
トヨタ勢に続いたのはヒョンデ・シェル・モビスWRTのエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)だ。彼はSS4で右リヤタイヤのパンクに見舞われ総合ポジションを6番手に落としたが、午後は2度の2番手タイムを、SS7でも3番手タイムを記録して順位を挽回し、エバンスから10.5秒遅れの4番手までカムバックしてみせた。
■勝田貴元、ボロボロのマシンでSS7を走破
なお、その過程ではチームメイトであるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)の戦線離脱があったことを付け加えておく。前戦イタリアで今季初優勝を飾ったベルギー人は、勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)と総合4番手争いを繰り広げていた。しかしSS6でサスペンショントラブルが発生。ここで無念のデイリタイアとなった。
一方の勝田はステアリングアームにダメージを負ったことでSS4でタイムを失い、午後の再走ステージ(SS7)でも左の高速コーナーでラインがワイドになった際に枝がぶつかり、フロントガラスにひびが入るアクシデントがあった。また、同ステージの終盤には右フロントタイヤのパンクにも見舞われ、ふたたびタイムを失ってしまった。
勝田の後方には9秒差でダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)が迫り、そこから1分30秒以上の間を開けてオット・タナクとピエール-ルイ・ルーベ(ともにフォード・プーマ・ラリー1)が並ぶ。Mスポーツの両ドライバーは、タイヤのパンクによってステージでのホイール交換を余儀なくされた。
彼らと同じくフォード・プーマ・ラリー1を駆るジョルダン・セルデリディスは総合11番手。ブルーオーバルのラリー1カーの間にはWRC2リーダーのグレゴワール・ミュンスター(フォード・フィエスタ・ラリー2)と、同クラス2番手につけるカエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)が入り9番手、10番手で総合トップ10リザルトを形成している。
競技3日目となる24日(土)のデイ3は、サービスパークの北側に位置するエレメンタイタ湖の周辺で3本のステージをデイ2と同様に、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行する。SS8~13の合計距離は150.88kmでこれは4日間で最長。リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は405.74kmとなっている。
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