一見奇抜なデザインだったり、そこまでしなくてもと思うほどの走行性能だったり、使い切れないほど多機能だったり・・・こうした強い個性を持つクルマはこれまで数え切れないほど登場し、数年で消えていくこともあった。ここでは数ある星の中から1990年代~2000年代に登場した「個性が強すぎる」国産車にスポットライトを当てて解説していこう。今回は1996年4月に発売されたダイハツの小さなトラック「ミゼットII」だ。
ダイハツ ミゼットII(1996~2001年)
ミゼットIIは2001年の生産中止後、一部のマニアックな走り屋さんに支持された。林道などダートで走りを楽しむ人が少なからずいたのだ。小さくて幅が狭いし、格別パワフルではないからアクセルペダルを踏み込める、そしてなにより後輪駆動だからハンドリングが楽しかったのだ。中古車価格もリーズナブルだったから、浮いたお金でカスタムする人も多かった。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
ミゼットIIは、1996年4月に一人乗りの軽トラックとして登場した。「何に使うの?」と言うのが当時の世間の声だった。エンジンなどハイゼットのパーツをフルに流用して仕立てたボディの外寸は、全長2790×全幅1295×全高1650mmと当時の軽規格よりはるかに短く狭かった。このサイズ感は1957年に誕生した初代ミゼットに近いといわれたが、21世紀を目前にして40年前と同じと言われても、なかなか理解するのは難しい。しかも、後方の小さな荷台の積載量はわずか150kgに過ぎなかった。
スタイリングはかなりユニーク。フロント中央にスペアタイヤを抱き、左右に独立した丸目のヘッドライト、狭いフロントウインドーゆえワイパーは1本。それでもドアは左右にあり、どちらからでも乗り降りできた。シート左にフロアシフトが生えていたが、ひょいと跨げば左からでも難なくシートに座れた。スリムなので狭い道は得意中の得意。だがトレッドは狭いもののオーバーフェンダー内にはしっかり4輪を収めていた。
エンジンはハイゼット同様に運転席下に置くアンダーフロア式で、1840mmと短いホイールベースながら、短めのプロペラシャフトとデフを介して後輪を駆動する。メカニズム的にはちゃんとした軽トラックに仕立てられていた。エンジンは660ccの3気筒 SOHCで31psを発生し、フロア式の4速MTを組み合わせていた。そのスペックから非力と思いきや、570kgと言う軽量ボディのおかげでけっこう元気よく走った。ローギアードのためラフにクラッチを繋ぐと後ろから蹴飛ばされたように加速する。これがとても楽しかった。
2人乗りやパネルバンタイプも登場して、多才ぶりをアピール
発売後1年も経たない1997年1月に、ミゼットIIに大変革が起きる。なんと2人乗りが登場したのだ。トランスミッションを3速ATとしてシフトをコラムにセット。これによって生じた左スペースに申し訳程度の小さな補助席を設けたのである。彼女と密接になってのドライブは難しかったが、駅まで人を送り迎えするくらいなら問題なかった。同時にリアをパネルで覆った「カーゴ」を新設定。これまでのトラックタイプは「ピック」と呼ばれるようになる。
発売から2年ほど過ぎるとミゼットIIは市民権を得る。街中メインの配達などの商用トラックとしては当然ながら、シティコミューターとして使う人が増えてきたのだ。そんな流れを察知したダイハツは、1998年9月のマイナーチェンジで、カラードバンパーやメッキパーツを用いた上級グレードのカスタムを設定。同時にエアコンを標準装備して需要に応えた。
1972~74年に登場したホンダのライフ ステップバンは商用バンとしては失敗作だったが、販売終了後にサーファーを中心に大人気となった。ユーザーが本来の目的とは別の使い方を見つけたのである。結果的にミゼットIIも同様で、2001年に販売終了後、一息おいて人気となった。とは言え5年間で累計販売1万4000台と言う数字は、立派と言うしかないだろう。(文:河原良雄)
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みんなのコメント
背後の荷台に1人分のキャンプ用品を載せて、狭い山道に入って行くのも良い。
今の流行りで使うにはちょうど良いツールに成った筈。
①ダイハツ・ミゼットⅡ
②トヨタ・bBオープンデッキ
③ルノー・カングー・ビボップ
しかしながらミゼットⅡの場合はトラック(後にカーゴバン)なので
小口の集配業務には利用価値のあったクルマだと思います。
もっとも本車が生まれた背景には、ダイハツ工場従業員の技能の育成と
次世代への継承というテーマがあったワケで、このミゼットⅡの製造で
培われ受け継がれた生産技術が、のちに「コペン」の生産に繋がって
いったワケですね。
クルマそのものは「?」であったかもしれませんが、ダイハツにおける
「ものづくり」の継承という点では、大いに存在意義のあったクルマだった
のではないかと思います。