F1第18戦メキシコGP金曜日の時点で4つのコンポーネントに4基目を投入した角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)。この段階で角田のメキシコGPのスターティンググリッドは最後尾となっていた。
ただ角田と同様、ランス・ストロール(アストンマーティン)もメキシコGPの金曜日にパワーユニットを交換していたため最後尾となった。ふたり以上のドライバーがパワーユニット交換により最後尾となった場合、レギュレーションによって、予選で上位だった者が上のポジションからスタートすることになる。
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とはいえ、19番手も20番手も大きな差はない。こういう場合、予選はパワーユニットのマイレージをセーブしたり、クラッシュするリスクを回避するという目的で、予選はまったく走らないという選択肢を取るドライバーもいる。
しかし、土曜日になって、さらにランド・ノリス(マクラーレン)とエステバン・オコン(アルピーヌ)のふたりのドライバーがパワーユニットの複数のコンポーネントを交換し、最後尾スタートとなった。
こうなると最後尾スタートが4人となり、予選結果によって、スタートポジションが17番手から20番手までと4つも違ってくる。したがって、このような場合は最後尾スタートとなる4人は、その相手の状況を見ながら予選を戦う。
しかし、メキシコGPの舞台であるエルマノス・ロドリゲス・サーキットはメインストレートが長いためスリップストリームが効く。ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)によれば、それは「コンマ1秒程度」だが、ラップタイムが短いメキシコではそれでもかなり貴重となる。そのため、Q3へ進出しそうなチームは、もうひとりのドライバーの最後尾スタートが決定していても、スリップストリームを使わせるためにQ3進出を狙わせた。
そのチームがマクラーレンとアルファタウリだった。
ただし、後方からのスタートが決まっていてるドライバーがQ3へ進出すると、Q2で自己ベストを記録した時に履いていたタイヤでスタートしなければならないため、長丁場のレースを想定すると、ソフトタイヤではなく、ミディアムタイヤを選択するのが定石。現にノリスもミディアムを選択して、チームメイトのダニエル・リカルドを引っ張っていた。
ところが、角田はQ2もソフトタイヤを選択。その理由をこう説明した。
「基本的にQ2からガスリーを助けたくて、そうしました。それによって、自分の本来のパフォーマンスを出しきれなかったのですが、少しでも多くのラップを走ることもできましたし……」
つまり、角田は自分のレースプランよりも、チームメイトの予選ポジションを優先して、ソフトタイヤで確実にQ3へ進出し、Q3でガスリーの予選5番手に貢献したのだった。
「メルセデスとレッドブル・ホンダの次の5番手というのは、僕たちにとってはポールポジションみたいなもの。Q3で僕にトウを与えて助けてくれたユウキに感謝したい」(ガスリー)
「Q2とQ3ではユウキがピエールにトウ(スリップストリーム)を与えてくれたおかげで5番グリッドを確保できた。コンストラクターズ選手権5位を争うアルピーヌとの戦いはこれまで以上に厳しくなっているので、この結果は我々にとってとても素晴らしい成果だ」(ギヨーム・デゾトー/車両パフォーマンス責任者)
予選後、レッドブルから批判された角田だったが、与えられた仕事をこなした角田を責めるスタッフはアルファタウリにはいなかった。
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