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【ヒットの法則448】メルセデス・ベンツGLKはオフロードもオンロードも縦横無尽にこなすスーパーSUV

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【ヒットの法則448】メルセデス・ベンツGLKはオフロードもオンロードも縦横無尽にこなすスーパーSUV

2008年に正式発表されたメルセデス・ベンツGLKは、ブランド初のコンパクトSUVとして大きな注目を集めた。様々なメーカーが参入する人気カテゴリーだけに相当な力が入っていることは想像に難くないが、実際にはどうだったのだろう。発表後すぐにスペインで開催された公開テストドライブの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

メルセデス・ベンツ初のコンパクトSUV
成熟した欧州自動車市場向けに、各メーカーはニッチモデルの開発に大忙しである。ユーザーの関心が既存のモデルから遠ざかっているためだが、同一プラットフォームをベースにした派生モデルは利益が大きいというメーカー側の都合もある。とりわけコンパクトSUV市場にはこれまでに様々なメーカーから数多くのモデルが誕生している。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

メルセデス・ベンツがこの分野に興味を持ったのは実はもう5年以上も前のことだが、クライスラーとの問題など様々な理由で遅延し、BMWのX3に先を越されてしまった。しかし、新たなライバルと目されるアウディQ5の発売前には、何とか間に合わせることができるようである。

そうしたライバルへの牽制という意味もあって、このメルセデス・ベンツGLKのドイツ国内向けワークショップ公開テストドライブが、国際試乗会を前にして行われたので、その報告をしよう。

スペインのピレネー山脈にあるメルセデスのテストトラックで行われたイベントに現れたメルセデス・ベンツ初のコンパクトSUVは、全長4528mm、全幅1840mm、そして全高1689mmと、ライバルと同等の平均的なサイズを持っている。

しかしGLKのデザインは、柔らかな丸みを帯びたラインや面を持ったこれまでのコンパクトSUVとは明らかに一線を画した、エッジの効いたラインと強固な平面から構成されている。それゆえに初対面の印象は、コンパクトなGクラスといったもので、モデル名を噂されていたMLKではなくGLKとした理由がよくわかった。

インテリアはCクラスをベースにしたもので乗用車的である。唯一ナビゲーションのモニターはオフロードでの振動対策か、ダッシュボード上に固定されている。このナビゲーションシステムには、オフロード走行に対する特別なプログラムが用意されている。たとえば、デジタル化されたルートから外れた走行を始めた場合、その地点から自動的に軌跡が記憶され、それをたどれば元のルートに戻ってくることができる。

ヘビーデューティな個性が市場で受けるかどうか注目
テストに用意されたモデルはGLK350で、272psの3.5L V6エンジンを搭載したトップモデル。トランスミッションは標準で7Gトロニックが組み合わされる。

ところでこのGLKに搭載される4WDシステムは、メルセデスのお家芸である4MATICである。センターデフを装備した本格的な四輪駆動で、そのシステムはおよそ70kgと軽量、コンパクトなのが特徴である。基本的なトルク配分はフロントに45%、リアに55%だ。

またESP(エレクトロニックスタビリティプログラム)やASR(アンチスリップレギュレーション)などとの相互作動も巧みに行われるようになっている。また、新たにセンターデフに組み込まれた多板クラッチにより、雪や氷などに覆われた低ミュー路においても絶妙なトラクションを発揮するという。

さらにオプションで用意されている「オフロードテクニックパッケージ」でマニュアルプログラムを選択すれば、ステアリングコラムから生えたパドルで積極的なシフト操作ができる。またこのシステムの中には、スピードを4km/hから18km/hまでクルーズコントロールレバーでセットできるDSR(ダウンヒルスピードレギュレーション)も含まれている。

限られた時間内にステアリングを握った感触は、これまでに乗ったシティオフローダーとは違った非常にしっかりとしたものだった。また最低地上高は201mm、さらにアプローチアングルは23度、デパーチャーアングルは25度と悪路走行への対応も万全なので、ふつうならばまず入り込むことのできない場所でも余裕を持って進入することができた。

またこの日は35度の急坂を上り下りするデモンストレーション走行も行われた。これは2755mmという比較的短いホイールベース、そして816mmと957mmという前後の短いオーバーハング、さらに1830kgという軽い車両重量のためにできることであると開発担当者は誇らしげに語っていた。

すなわちGLKは既存のコンパクトSUVに比べるとボディ剛性はもちろん、オフロード性能もワンランク上の頼もしさを備えているのだ。しかし、果たして一般ユーザーがこれほどの本格的なSUVを望んでいるかは多少の疑問がなくはない。

思い切りエッジの立ったデザインで他のコンパクトSUVとは異なる衣装と、ヘビーデューティなオフロード性能を有して登場したメルセデス・ベンツGLK。このユニークな存在が果たしてソフト志向が強い市場で受けるかどうか、注目である。(文:木村好宏/Motor Magazine 2008年8月号より)



メルセデス・ベンツ GLK350 主要諸元
●全長×全幅×全高:4528×1840×1689mm
●ホイールベース:2755mm
●車両重量:1830kg(EU)
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3498cc
●最高出力:272ps/6000rpm
●最大トルク:350Nm/2400-5000rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:7速AT
●最高速:230km/h
●0→100km/h加速:6.7秒
※欧州仕様

[ アルバム : メルセデス・ベンツ GLK350 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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