手に届く範囲のイタリアン・エキゾチック
冴えない天気が続く、冬の英国や日本。ふさぎがちな気分を立て直すのにうってつけな1台といえば、1960年代のイタリアン・スポーツカーだろう。エンジンは、12気筒はもちろん、半分の6気筒もいらない。
【画像】1960年代のフィアットとアルファのオープン 同時代のディーノやジュリアGTAも 全85枚
チェーン駆動のオーバーヘッド・カムシャフトを2本備え、抵抗なく滑らかに呼吸できるセットアップなら、4気筒あれば充分だ。線形的に湧き出るトルクと、6000rpm以上まで回る軽快さ。これに4速か5速のMTが組み合わされば、素晴らしい1日になる。
今回ご紹介するアルファ・ロメオ・ジュリア・スパイダー・ヴェローチェと、フィアット・オスカ1500S カブリオレは、まさにそんなクルマ。ピニンファリーナによる、可憐なスタイリングが与えられている。当時の陽気なイタリアを匂わせる。
乗り心地が良いとはいえず、英国人としては、ステアリングホイールを握ってもどこか落ち着かないことも事実。程よく日焼けしたラテンな人々が、地中海沿岸を謳歌するためにデザインしてある。
新車当時は、手に届く範囲の、イタリアン・エキゾチックともいえた。リビエラでの暮らしという夢の日常を、世界中の人々へ提供してくれた。
スタイリングは、1500S カブリオレの方が新しく見える。ジュリア・スパイダーの容姿は、いかにもアルファ・ロメオらしい。750/101シリーズなら特に、あまりクラシックカーへ詳しくない人でも、ブランド名が思い浮かぶだろう。
ジュリエッタからジュリアに改名
良く効くヒーターに、上下できるサイドガラスと簡単に開け締めできるソフトトップ。小さなイタリアンは、同年代の英国車より遥かに文明的でもあった。もっとも、1964年の価格は、MGBやトライアンフTR4 Aの2倍ほどしたのだが。
近年は希少性を高め、ブルー・グレーの1961年式1500S カブリオレの売値は、約6万ポンド(約930万円)だという。他方、レッドのジュリア・スパイダー・ヴェローチェには、約10万ポンド(約1550万円)という価格が付いている。
このジュリア・スパイダー・ヴェローチェは、1年間のみ生産された貴重なアルファ・ロメオ。最近レストアを受けたばかりで、新車のように美しい。最初のオーナーは、ニューヨークに住んでいたようだ。
オリジナルが発表されたのは、1955年のパリ・モーターショー。1950年代末期に施された750シリーズから101シリーズへの変更では、50mmほどホイールベースが伸ばされ、ドアに三角窓が追加されている。
当初ジュリエッタを名乗っていたが、1962年にジュリアに改名。少々ややこしい履歴を持つが、同系のシリーズとしては12年間という長い生産を誇る。
112psを発揮する1570ccのツインカムエンジンは、それ以前のジュリエッタより約280cc大きい。ディスクブレーキに5速MTが組まれ、消費活動が旺盛な市場への輸出が前提だった。
1960年代のイタリア人といえば、実用的で倹約的なクルマを好んだ。太陽の日差しから身を守れる、金属製のルーフが付いたモデルが良く売れたという。
戦後の量産モデルとして際立って魅力的
ジュリアでは、より大きいエンジンをかわすため、ボンネットにパワーバルジを獲得。新しい105シリーズのジュリア・サルーンと肩を揃える狙いがあったようだが、コードネームは101シリーズから変わっていない。
このジュリエッタとジュリア・スパイダーは、戦後間もないアルファ・ロメオの量産モデルとしては、際立って魅力的な存在だった。モデルライフを通じて、合計2万7000台以上が販売されている。
その好調ぶりを同じイタリアの巨人、フィアットが傍観するはずもない。動きは慎重だったが、1955年に48psのサルーン、1100 TVをベースにした1100スパイダーが発売された。
クラシカルなスタイリングに、大きく湾曲したフロントガラスを備え、最高速度は130km/hと低調。市場の充分な反応は得られず、生産台数も3500台以下に留まった。
同じ頃、技術者のエルネスト・マセラティ氏と、彼が率いるオスカ社は仕事を求めていた。エルネストはフィアットの主任技術者、ダンテ・ジアコーサ氏と接触。スパイダー用として、レーシング・ツインカムエンジンの量産仕様を生産する契約を取り付けた。
このオスカ社との提携は、数年後のフィアット・ディーノへ展開するだけでなく、ツインカムエンジンを搭載した1967年のフィアット124 クーペやスパイダーへも発展した。そして、このより活発なカブリオレも生まれている。
スタイリングはピニンファリーナが担当
フィアットとオスカとの協力による、1500S カブリオレの発売は1959年。1200サルーンのモノコック構造をベースとし、サスペンションや駆動系も受け継がれている。
スタイリングは、ピニンファリーナが担当。威勢のいいボンネットスクープで、プッシュロッド・エンジンの1200サルーンとの区別化が図られた。
エンジンは1491ccのツインカム・ビッグバルブ。クランクやコンロッド、ピストンは鍛造品が用いられた。基本的に他のフィアットとは異なるユニットで、ボアとストロークはスクエア比率が取られている。
フィアットの技術者、アウレリオ・ランプレディ氏は、デュアルチョーク・シングルキャブレターと、アルミではなくスチール製のシリンダーブロックを指定。本来の能力は、充分には発揮できなかった。
オスカ社製のDOHCエンジンは、81psを発揮。1200サルーンに対し、20km/h高い最高速度を与えた。0-97km/h加速の時間は、約半分に縮めている。
当時の価格は約500ポンド高く、限られた人が1500Sに共感。1963年から1966年に販売されたフェイスリフト版の1600Sと併せて、3089台が売れている。
ボディシェルの生産を請け負ったのは、ピニンファリーナ社。トリノ・グルリアスコ工場で、ジュリア・スパイダーやプジョー404 カブリオレなどと一緒に成形された。ちなみに、同社ではクーペボディも生産していた。
ツインカムエンジンの1500Sには当初、格上の1800/2100サルーン用ドラムブレーキと15インチ・ホイールが奢られた。1960年からは、四輪ともにディスクブレーキへ変更されている。
この続きは後編にて。
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