■昭和・平成・令和の1.2リッター過給機付きエンジン車を振り返る
日産は1979年に、国産乗用車初のターボエンジンを搭載した「430型 セドリック/グロリア」を発売し、1980年代にはターボエンジン車が急速に増えていき、国産車の高性能化が加速しました。
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普及が始まった頃のターボ車は技術的に未熟で、ドライバビリティが良くなく、出力もそれほど向上していませんでしたが、次第に改良が進むと出力も飛躍的にアップしました。
かつてのターボエンジンというといかに出力を向上させるかを目的としており、とくに日本では自動車税の関係から小排気量のクルマこそターボ化のメリットが高いといえました。
そして、2000年代になるとターボエンジンの目的が革新的に変化し、燃費性能の向上に有効となり、いわゆる「ダウンサイジングターボエンジン」が登場。
小排気量化してターボによって出力を補い、負荷によってパワーを調整することで燃費の向上が図られました。
そこで、昭和・平成・令和に登場した1.2リッター過給機付きエンジン車を、3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「シティ ターボ/ターボII」
ホンダは1981年に、「シビック」に代わるエントリーモデルとして初代「シティ」を発売。シティはそれまでのコンパクトカーの常識を覆すほど全高が高いフォルムで、優れたパッケージングとデザインが評価されて大ヒットを記録しました。
そして、1982年にはメーカー間のパワー競争に参戦するかたちで、最高出力100馬力(グロス)を発揮する1.2リッター直列4気筒SOHCターボエンジンを搭載した「シティ ターボ」が登場。パワーは1.5リッターエンジンで85馬力を発揮した2代目シビックを大きく上回りました。
さらに1983年には、シティ ターボのエンジンにインタークーラーを追加して過給圧アップを図り、1.2リッターから最高出力110馬力(グロス)を絞り出した「シティ ターボII」が発売され、パワーは1.8リッター車と同等にまで向上しました。
外観では大型のパワーバルジ付きボンネットや、トレッドを拡大してブリスターフェンダーとするなど、大パワーにふさわしい迫力あるフォルムを演出。内装も小径ステアリングホイールとスポーツシートが装着されました。
このエンジンはブースト圧の立ち上がりが急激で、いわゆる「ドッカンターボ」というエンジン特性でした。
さらにエンジン回転数が4000rpm以下でスロットルを全開にした場合、過給圧を10秒間約10%アップする機能の「スクランブル・ブースト」を採用。
シティ ターボIIにはパワーステアリングが搭載されていなかったことから、雨天時や滑りやすい路面ではトルクステアに注意する必要がありました。
●日産2代目「ノート」
現在、日産のコンパクトカーで主力となっている「ノート」は、2005年に初代が発売され、現行モデルは3代目にあたります。
そして、2012年には2代目が登場。コンセプトは初代を継承したオーソドックスなコンパクトカーでしたが、ワンモーションのデザインを採用し、空気抵抗を考慮した流麗なボディも話題となりました。
搭載されたパワーユニットは当初2タイプで、最高出力79馬力の1.2リッター直列3気筒自然吸気「HR12DE型」と、このエンジンにスーパーチャージャーを装着して最高出力98馬力を発揮する直噴ミラーサイクルの「HR12DDR型」をラインナップ。どちらもアイドリングストップ機構が採用され、トランスミッションは全車2段の副変速機付CVTです。
スーパーチャージャーはエンジンの動力の一部を使って駆動するため機械損失が生じますが、2代目ノートでは電動クラッチでオン/オフを効率よく制御したことで、1.5リッターエンジン搭載車並みのキビキビとした力強い走りと、ガソリン登録車クラスナンバー1の低燃費25.2km/L(JC08モード)を両立していました。
2代目ノートは発売からわずか1か月で月産販売目標台数1万台を大幅に上回る2万2000台を受注し、その後3か月間も1万台/月を超える好セールスを記録。
さらに、2016年の改良では新たにシリーズハイブリッドの「e-POWER」を追加し、2017年度にコンパクトセグメント部門で国内売り上げ1位、2018年上半期の国内販売で登録車1位を獲得するなど、大ヒットしました。
なお、現行モデルでは全車e-POWERで純粋なガソリンエンジンは廃止となり、国内でHR12DDR型が搭載されたのは2代目ノートだけでした。
●トヨタ「カローラ」
2019年(令和元年)9月に、トヨタは12代目となる「カローラ」シリーズを発売しました。グローバルで販売するカローラとプラットフォームを共通化しつつも、サイズを若干小さくして日本市場専用のボディとするなど、カローラならではといえる対応が話題となりました。
ボディタイプはセダンとワゴンの「カローラツーリング」を設定し、ボディサイズは全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mm(セダン)と、まさに日本の道路事情にマッチしたサイズです。
外観は精悍なフロントフェイスに、流麗なシルエットのスタイリングで、セダン、ステーションワゴン共にスタイリッシュなフォルムです。
パワーユニットは、1.8リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドと、1.8リッター直列4気筒自然吸気、1.2リッター直列4気筒ターボの3タイプで、1.2リッターターボのトランスミッションは6速MTのみとされるなど、ドライビングプレジャーを重視したキャラクターに仕立てられています。
1.2リッターターボは最高出力116馬力、最大トルクは185N・mを発揮し、馬力は1.5リッタークラスで最大トルクは1.8リッターエンジンを上回り、スポーティなエンジンながら燃費は15.8km/L(WLTCモード)と良好です。
また、全車共通でフロントがストラット、リアがダブルウイッシュボーンの4輪独立懸架を採用して、優れたロードホールディング性能を発揮するなど、見た目だけでなく走りの面でも若返りしました。
※ ※ ※
冒頭にあるとおり、近年はダウンサイジングターボが流行していますが、まだまだパワー重視のターボ車も数多く存在します。
国産車では日産「GT-R NISMO」が3.8リッターV型6気筒ツインターボで最高出力600馬力を誇り、輸入車ではメルセデスAMG「A45 S 4MATIC+」が2リッター直列4気筒ターボで、最高出力は421馬力を発揮するなど、ターボの凄さが垣間見られます。
それでいて耐久性に優れ、普段使いでも気難しい面はないというところも、技術の目覚ましい進歩といえるでしょう。
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みんなのコメント
現在ではここまでなんだが、30年後には現在のパワーを遥かに超えたエンジンが出ているかも知れない。
40年前のシティーターボも当時としては異常なくらいのパワーを出していた。
それもレギュラーガソリンを使っていてだから、如何に凄いことだったかは当時を知っている人なら理解できるだろう。
ターボIIのときでもレギュラーガソリンだった。
パワーの方にも驚いたが過給圧の高さも話題にはなっていた。
平均的には0.45くらいだったのに0.7もの圧力をかけられるエンジンってのがあり得なかった。
今では当たり前の過給圧になってしまったけど、当時としては考えられないことだった。
パワーステアリングとトルクステアは、関係ないと思うのだが。