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「カウンタック」で5日間のラリーに参戦。イタリアの「美」と「食」を堪能するラリーイベント

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「カウンタック」で5日間のラリーに参戦。イタリアの「美」と「食」を堪能するラリーイベント

■ラスト「クンタッチ」は、ボディカラーはシルバーメタリック

 ランボルギーニ・ポロストリコから今ヨーロッパでもっとも評判の高いヒストリックカーのラリーのひとつ「Modena Cento Ore」に2台のクルマが参戦した。

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 2020年に20周年を迎えたModena Cento Oreは、イタリアの首都ローマからスタートしてゴール地点モデナへと走り抜ける。

 毎年100台のエントリーに約2倍の申込みが殺到する人気のレースで、今年はコロナ禍のため開催も危ぶまれたが、紆余曲折した結果、開催を決意。こうした社会情勢でも海外から大勢の参加者がエントリーし、このレースの人気を伺い知ることができた。

 アウトモビリ・ランボルギーニからエントリーした車両は2台。1台は、1990年に最後の「クンタッチ」として生産された「クンタッチ 25th アニバーサリー」、通称「アニバ」。この個体は生産ラインを下りてからずっとランボルギーニ社に保管されていたという完全オリジナルの貴重な個体だ。(※注:日本では「カウンタック」と表記されることが多いが、ここではイタリアの発音に近い「クンタッチ」と表記する)

 シャシナンバーは、「#ZA9C005A0KLA12085」。クンタッチファンには重要なキャブレーター仕様である。

 1973年に生産が開始されたクンタッチは、「LP500」「LP400「wolf」「LP400S」「LP500S」「5000QV」を経て、1988年に会社設立25周年記念として生まれたクンタッチ 25th アニバーサリーで1990年に幕を閉じることになる。

 クンタッチ全生産台数約2000台(プロトタイプ含む)の最後のクルマが、このシルバーメタリック、内装グレーのレザーのアニバなのである。(普段はMUDETECに展示)。

 もう1台は、1973年に生産された「ハラマGTS」だ。

 1970年3月のジュネーブモーターショーで発表された「ハラマGT」は、その後GTSも生まれ、ハラマの総生産台数は328台となった。フェルッチオのお気に入りのクルマだったというハラマ。2020年は誕生50周年にあたる。

 今回参戦した外装ブルータヒチ、内装マスタードカラーの個体は、1973年4月20日に本社から出荷され、シシリー島のカターニャ、ミラノ、フィレンツェと各地のコレクターの元に渡り、1983年、ブレーシャのコレクターの時に事故に遭い外装を白に変更。翌年ミラノのオーナーへと渡った。

 色々な道のりを歩んだ後、このシャシナンバー10428のハラマGTSは1999年にランボルギーニ社に売却され、ポロストリコによってオリジナルの色タヒチブルーに戻された。たくさんの物語が詰まっているハラマなのだ。
この車両も普段はMUDETECに展示されている。

 この2台がポロストリコチームにより、今回のヒストリックカーレース参戦のために整備され、サービスカー「ウルス」と共にスタート地点、ローマまで運ばれてきた。

 私は幸運なことにポロストリコに招待していただき、この貴重なクルマであるクンタッチ 25th アニバーサリーに、なんと24時間ルマン・レースの伝説のドライバー、エマヌエレ・ピロのコドライバーとして同乗することに!

 ピロはアウディのステアリングを握ってルマン24時間レースで5回の優勝(2000/2001/2002/2006/2007)を果たした。現在ランボルギーニの新車の開発にも関わっており、「Essenza SV12」をテスト中という。その他、ランボルギーニのアンバサダーとして各イベントに参加。ランボルギーニの魅力を爽快な走りとトークで世界中に伝えている。

●10月11日(日):ローマで前夜祭

 小雨降る夕方、前夜祭パレードがローマの街中を一周した。初めてのクンタッチ、そして隣には伝説のドライバー。緊張がマックスの状態でのパレードとなった。

 クンタッチは特別参加のダラーラ「ストラダーレ」、フェラーリ「ポルトフィーノ」と共に先頭を切ってスタート。ピロはローマ出身・在住ということで、自分の庭のようにスイスイと街の解説をしながら走ってくれた。いよいよ明日から4日間のレースが始まる。

 その晩はカンピドリオの丘からローマの街を見渡しながらのディナー。周りから聞こえる会話は英語。エントリーリストを見るとイギリス、香港、アメリカ、ドイツ、ベルギー、アイルランド、オーストリア、カナダ、南アフリカと、参加者の殆どが海外からということの納得がいく。

●10月12日(月):ペルージャ泊

 ボルゲーゼ公園からスタート。このレースは、スピードを競うコンペティション組と平均速度を競うレゴラリタ組に分けられている。コンペティション組はメカニックが朝からクルマの整備に念がない。ポロストリコの2台はレゴラリタで出場。

 レースは11のクローズドのヒルクライムと、3つのサーキットで競う。しかもこのクローズドは、長いコースでは13km以上というとてもエキサイティングなプログラムだ。走り屋にはたまらない。

 初日からアドレナリン全開のプログラムが待っていた。Rieti-Terminillo間13.31kmの公道封鎖のスペシャルステージが2回。このコースはヨーロッパで、もっとも長いヒルクライムとして有名だ。

 ピロは封鎖された公道を楽しそうに満面の笑みで運転。カーブを曲がる度にピロの笑顔が飛び出して来た。

 クルマは思ったより居住空間が広く、ゆったりとしていた。レゴラリタは平均速度を競うレースなのだが、ピロはそんなことはお構いなしにヒルクライムを楽しんだ。さすがプロの運転技術。連なるカーブをハイスピードで入っていくがどんなにスピードが出ていても、まったく恐怖というものを感じさせない、すべてが計算されたプロの走りだった。

 Colle Aluffiで昼食をとり、秋の紅葉が始まった色とりどりの景色のなか、アッシジを通過し、ペルージャへ。小雨が降り続くなかPiazza IV Novembreに到着、クルマを広場に置き、ホテルへ。

 明日のために予習をしなければ、と思いつつも緊張が解け、すぐ寝てしまった。走行距離:376.89km。

■コロナに負けるな! 美しいイタリアの地を美しいクルマが駆け抜ける!

●10月13日(火):フィレンツェ泊

 Piazza IV Novembreを出発。この日は、トーディ、オリヴィエート、そしてマジョーネサーキットを4周し、軽いランチ。ウンブリア州の美景を走り抜け、トスカーナ州のコルトーナ、アレッツィオを経てフィレンツェへ。

 この日のスペシャルステージは7.15km/12.19km/13.12kmと3つの公道閉鎖ヒルクライム。公道を閉鎖してガンガン走ることが楽しくなって来た。もちろん私はナビシートで楽しませていただくだけ。

 今日は間違えないようにと心に誓ったが、どうしても間違いが生じてしまう。

 走行距離:343.69km。ヘトヘトだ……。

 この日はホテルの最上階からフィレンツェの魅惑的な夜景を堪能しながらライトな夕食。

●10月14日(水):フィレンツェ泊

 フィレンツェからスタートし、フィレツェに戻るプログラム。今日のメインはつい先日、F1グランプリがおこなわれたばかりのムジェッロサーキットでの走行。

 ムジェッロサーキットではコンペティション組がメカニックと悪戦苦闘している様子がチラホラ。ここまで来るまでにエンジントラブルやボディダメージなどがあったのだろう。メカニックの腕前がこれからのタイムを決める。

 昼食はVillaovnaのルネッサンス期のお城。古城の前に並べられたカラフルなスポンサーステッカーが貼られたクルマがとても際立っていた。

 この日のスペシャルステージは4つ。5.27km/6.37km/5.27km/6.37kmの公道閉鎖ヒルクライムだ。クルマはムジェッロサーキットに置き、バスでホテルに移動。

 残念ながら、ここでピロは翌日、グッドウッドフェスティバル参加のため、旅立ってしまった。

 前夜祭からピロと過ごした4日間、間違いを連発してしまった不肖ナビゲーターだったが、彼の最高のドライビングを隣で体験することができ、また彼のファンに対する接し方を見て、驕り高ぶることなくとにかく「感謝の人」であることに感動した。こんなに「ありがとう」とすべての人に対して答える人に出会ったことはなかった。

 ピロはレース中、いつもクンタッチを磨いていた。クルマを愛し、クルマ文化を愛し、そしてその周りにいる人々を大切にしている今やモータースポーツ界のレジェンダ。ランボルギーニの新車も、ランボルギーニの歴史もピロによって世界中に知られていくことだろう。

 夜はフィレンツェの市長舎でディナーがおこなわれることになっていたが、コロナ感染防止対策、首相法令が発表され、突然、市長舎が使えなくなったと前日キャンセル。でもさすが主催者であるCanossa Events、素晴らしい会場を手配し、装飾も完璧にし、何事もなかったかのようにSt.Regisホテルケータリングの素晴らしいディナーが開催された。あっぱれだ。

 走行距離:164.57km

●10月15日(木):モデナ泊

 ホテルからバスでムジェッロサーキットへ。それからエミリアロマーニャ州に向かい、イモラサーキットへ。ここも最近、F1グランプリがおこなわれたばかり。イモラというといつもセナを思い出してしまう。

 この日はランボルギーニのテストドライバーのヴィンチェンツォがハンドルを握った。さすがのドライヴィングだ。彼はクンタッチを知り尽くしているという。

 イモラサーキット4周と7.48km/7.47kmのスペシャルステージ。今回最後のヒルクライムとなった。公道封鎖、病みつきになりそうだ。

 モデナのPiazza Romaに着く頃には雨が本格的になって来た。フェラーリ「250 SWB ベルリネッタ SEFAC」、フェラーリ「212 ベルリネッタ ツーリング」、アルファ ロメオ「1750 GTAM」、アストンマーティン「DB4 GT」、シェルビー アメリカン「マスタングGT 350」、ジャガー「E-タイプ・セミライトウェイト」、ポルシェ「911カレラ3.0 RS」、イソ・リヴォルタ「IR 300GT」、フォード「エスコートRS 1800」、ランチア アウレリア「B20GT」……などなど。

 次々とクルマが入ってくるなかには、ボディがかなり破損しているものも。必死にこの4日間を駆け抜けて来た様子がクルマに刻み込まれていた。

 少し雨が止んだところで表彰式。コンペティションのふたつのクラス、レゴラリタの優勝者、そして特別賞と、4つのチームが表彰台に上がった。シンプルな表彰式だったが、首にかけられた大きな月桂樹が印象的で、全員が楽しそうにしていた。

 走行距離:220.27km

 イベント最終日のディナーは、陸軍士官学校内で予定されていたが、これも前日にキャンセル。急遽用意された場所はモデナのムゼオ・エンツォ・フェラーリだった。モデナの星付きレストラン、L’erba del re のシェフ、ルカ・マルキーニが腕をふるい、フェラーリのクルマに囲まれての晩餐会となった。

 こうして4泊5日のModena Cento Oreの幕は閉じた。走行時間は約100時間、走行距離は約1000kmだった。

 思う存分、楽しんだ、美しかった、心配した、美味しかった、ドキドキした、感動した5日間だった。

 主催者であるCanossa Eventsの臨機応変の対応に脱帽。コロナ禍で、日々政府の法令が変わっていくなか、前日のディナー会場キャンセル2回。それも速やかに対応し、参加者を満足させる演出を見事にこなした。各クルマにGPS機能の携帯を持たせ、走行中少しでも遅れると探してすぐ連絡が来るという完璧なケアだった。

 今年は11のカーメーカーが集まり、20周年の記念すべきイベントを総勢600人というスタッフのサポート体制で、コロナ禍のなかラッツィオ州、ウンブリア州、トスカーナ州、エミリア・ロマーニャ州を走り抜け、楽しい思い出を作ることができた。このイベントに海外の参加者が多い理由がよく分かった。最高に楽しい!

 来年のModena Cento Oreも見逃せない。新型コロナウイルスの騒動が収まっていれば、日本からも是非参加してほしい。ランボルギーニ・ポロストリコもきっとサポートしてくれるだろう。勿論、他のヒストリックカーでも是非。11のクローズドのコース、3つのサーキット、そして「食文化」にも力を入れているイベントは他にはないだろう。

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みんなのコメント

2件
  • やっぱりカウンタックなやあ。
    写真だけでこんなにインパクトがある。アヴェンタなんか相手にならない魅力がある。
    カウンタック、欲しい。
  • こりゃあイタリア、いつまでもコロナ地獄絵図が続くわけや!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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