10月2日にアメリカ、ケネディ宇宙センターで行われたカンファレンスの最中にサプライズ登場したシボレーの新型GTEカー『コルベットC8.R』。フルモデルチェンジを受けたロードカーと同様に、ミッドシップマシンとなった新型ル・マンカーの技術仕様が一部明らかになっている。
2020年1月に開催される“ロレックス24”こと、デイトナ24時間レースでデビュー予定のコルベットC8.Rには5.5リットル自然吸気V8エンジンが搭載され、そのエンジン内ではフラットプレーン・ククランクシャフトが採用されているという。
コルベットの新型ル・マンカー『C8.R』見参! ケネディ宇宙センターでサプライズ発表
GMレーシングのディレクターを務めるマーク・ケント氏によれば、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権最終戦ロード・アトランタのレースウイーク初日にふたたび登場したC8.Rは、過去のコルベットレーサーと比較したとき、生産モデルと「もっともリンク」しているという。
C8型ロードカーとレースカーの開発は6年前の2013年から並行して始まり、ふたつのプラットフォーム間では構造コンポーネントを含む100を超えるパーツが共有される。その比率は約80%に上った。
これについて、コルベットのチーフエンジニアであるエド・ピアテック氏は「ふたつのクルマが新しいアーキテクチャーを適切に活用できるように、プロダクションカーと並行して新しいレースカーを開発すること重要だった」と語る。
「このミッドシップ・スーパーカーがもたらす信じられないほど素晴らしいバランスや、接地感などを含む利点はレーストラックはもちろん、公道でも明らかになるだろう」
ロードカーとレースカーで異なるものなかには、C8.Rにフラットプレーン・クランクシャフトが採用されている点がある。これは現在、生産モデルは供給されていない。
当初、コルベットの新型GTEカーはターボチャージャー付きエンジンが採用されると憶測されていた。しかし、コルベットのエンジニアは従来と同様に、自然吸気エンジンに固執することを選択したようだ。コルベット・レーシングのテクニカル・ディレクターであるダグ・ラウス氏はSportscar365に対し、次のように語っている。
「スティングレイは過給器を用いない吸気方法が採られていた」
「我々が扱うレースカーにとって、小排気量のターボチャージャー付きエンジンの複雑さと熱害対策を比べると、以前のエンジンは非常に軽量かつ構造もシンプルだった。私たちが前に進むには、多くの点で後者の方がより適している」
GTE規制により制限を受け、最高出力500ps、最大480ft・lb(約650Nm)のトルクを発生するエンジンは、リヤディフューザーの容積を確保するために特別に開発された、コンパクトなXトラック製の6速ギヤボックスと組み合わされた。
C8の最大のトピックスであるミッドシップ化。この影響としては、レースカーではドライバーの着座位置は前方に16インチ(約40cm)移動しているという。また、ラウス氏はレイアウト変更の最大のメリットに重量配分の最適化と空力特性の改善にあると述べている。
「C7.RはACOフランス西部自動車クラブとFIAのホモロゲーションの観点からみると2015年“プラス”と言えるクルマだった」とラウス氏。
■コルベットC8.Rはテストで約6500kmを走破済み
「2014年にC7.Rがホモロゲーション登録された後で2016年にGTE規定が大幅に変更され、エアロダイナミクスの自由度が大幅に向上した。これによってエアロ性能に依存するウインドウも大きくなったんだ」
「我々を含むいつかのメーカーは2014/15年モデルを2016年型に改造し、できる限りのエアロアップデートを行った」
「その後、数年の間に他のすべてのブランドは現行ルールに合わせて開発された新しいクルマに移行したが、我々のクルマは以前の規定を基に作られた車両であったため、新しいルールを完全に活用することができなかった」
「C8.Rが競合する他社のクルマよりも優れているとは言わないまでも、彼らと同等のクルマを手に入れることができれば本当にエキサイティングだよ」
そう語ったラウス氏はコルベットC8.Rがこれまでに、テストで4000マイル(約6437km)を「はるかに」超えた距離を走破していることを公言した上で、開発の初期段階ではGMの“ドライバー・イン・ザ・ループ”というシミュレーションが利用されたことを明らかにしている。
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