スーパーGT第8戦 もてぎ300kmレースが栃木県茂木町にある「モビリティリゾートもてぎ」で開催された。第5戦の鈴鹿大会が台風の影響で12月開催に延期されたため、毎年最終戦になるもてぎ大会が、一つ前のレースとして開催された。
SUBARU BRZ GT300の今季は歯車が噛み合わず低迷している。優勝は一度もなくチェッカーを受けることがひとつの目標になるほどうまくいっていない。その今季を象徴するかのように再びアクシデントが起きてしまった。
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ファンからの声援に押され戦う(左)井口拓人、(右)山内英輝の両ドライバー井口卓人から山内英輝に代わり給油とニュータイヤに履き替え、上位を目指す山内。周囲より2秒もラップタイムが速く、8秒も先行していた52号車を射程圏内に捉えるスピードで走行していた。41周目、ストレートを全開で走る山内、視界に入る52号車。ブレーキングを遅らせ差を縮めようとした瞬間、BRZ GT300は挙動を乱しコースアウトした。
雨中の予選
第8戦もてぎでの注目ポイントは、第5戦から変更される予定だったGT300クラスの予選方式があった。出走台数が多いことからQ1予選はA組、B組にわかれて上位8位までのマシンによるQ2予選の方式から、Q1は全車で競う形に変更し、Q2との合算で競うものへと変わるはずだった。それが台風や天候不順により6戦、7戦でも実施されず、8戦目を迎えていた。
前回のブレーキトラブルは、21年のチャンピオンを獲得した時と同
じ仕様にすることで対応したその8戦目も雨量が多く予定どおりとはいかず、Q1は全車で走行するものの、合算タイムは採用できずQ2のタイムでポールポジションを決める方式へと変更された。
そのQ1では20分間の予選中、コースアウトやスピンするマシンが多く、予選にもかかわらず赤旗中断もあった。BRZ GT300はQ1を井口が担当。ウエット宣言下ではアタックタイミングでのコンディションの違いが起こるため、Q2のタイムで予選順位を決めるルールになっている。とはいえ、天候不順によりQ2が行なわれるか不透明な状況だ。
したがって、井口の予選は14位以上のアッパークラスを目指すことではなく、Q2がキャンセルされる可能性を考えると、ポールを目指す予選という意気込みも必要だったのだ。
Q2予選の山内。温まりのいいレインタイヤはピークが速く実践向きだ赤旗中断開けから井口はアタックモードへ切り替えトップを目指す。雨量は減り走りやすい状況へと変化していく中、セクターごとに自己ベストを更新。そして最後の第4セクターのアタック中に他のマシンのコースアウトにより赤旗となってしまい、井口のアタックは完結することなく終了してしまった。結果は11位だった。
タラ・レバになるが、トップ3と同等のタイムが出ていただけに残念な結果で、ある意味、今季を象徴するかのように噛み合わないシーンでもあった。しかしながらQ2でのポールの可能性を残す予選と捉えることはできた。
そしてQ2もウエットのまま予選が行なわれた。かろうじて上位14台までのアッパークラスで山内がアタックをする。いつ雨量がふえるかわからない中、アウトラップから速度を上げ2ラップにベストタイムをマークする。周囲はタイヤに熱を入れているタイミングだけに山内のタイムはトップにたった。
しかし、ライバルもタイヤが温まりタイムアップしてくると山内のタイムは5番手まで下がってしまう。それでも上位に残れている状況は今季のBRZ GT300としてはまずまずの結果だったのかもしれない。
快晴の決勝レース
晴天の決勝レース。グリッドに向けていよいよスタートそして決勝の日曜日は嘘のように快晴となり雲ひとつない青空の朝を迎えた。タイヤへの攻撃性が低いもてぎのコースであり、300kmという距離を考えるとブリヂストン勢と一部のヨコハマユーザーはタイヤ無交換作戦が考えられるが、ダンロップ勢は4本交換が基本の作戦となる。そして温まりの遅いBS勢をスタート直後に抜き、優位に進める展開をイメージしていた。
グリッドではイレギュラーな作業もなく落ち着いた雰囲気だったスタートドライバーは井口で、目の前にはBSの65号車LEON AMG GT3がいる。午後1時に予定どおりスタートは切られ、井口は65号車を狙う。だが、65号車はその前の18号車に狙いをつけオープニングラップから果敢にアタックしていた。井口も遅れることなく65号車に付き、タイムを上げられない18号車を65号車とともに追い抜いた。
井口は4位でストレートに戻り、序盤で上位に上がることを狙う。しかし、容易ではなく4台のマシンはトレイン状態となり序盤を終えていく。レース中盤、ペースの上がっている18号車が遅れを取り戻し井口を襲う。するとFCYのタイミングで追突されるアクシデントが起きた。
この後、後続の18号車に押し出され、88号車に抜かれてしまうただ、幸いなことにマシンへのダメージはなく、そのままレースを継続することはできた。そして井口のスティントがまもなく終えるというタイミングに、再び18号車が井口を襲い、コーナー侵入で並んでくる。アウトにいた井口はマシンに接触してくる18号車の攻撃をいなし、アウトに膨らんだ。マシンのフロントフェンダーは壊れ、ブラブラする状態。その隙に88号車にも抜かれポジションを落としてしまった。
幸い、マシン修復指示のオレンジボールは出されなかったため、担当スティントをこなしてピットイン。山内へと交代した。
トップグループより2秒速い!
山内は9位でコースに戻ると猛烈な追撃を見せ、オートポリスで見せた17位からトップにたつあのシーンが蘇る。トップグループより2秒速い山内は目の前の2号車をあっさりと抜き去り8秒先の52号車を追いかける。視界にはない52号車を追い詰めるまでに10ラップ程度で追いつく山内。山内劇場が始まり、トップとのギャップも意識できる速さだ。
そして1秒以内に追い詰めた山内は52号車を視界に捉え、ブレーキングを遅らせる。下り坂からの90度コーナーで止まりきれず、オーバーランをした山内。仕切り直してストレートを全開で追いかける。1コーナーが迫る。ブレーキを遅らせフルブレーキ。
突然、マシンはハーフスピンをしてコースアウトした。グラベルに止まったBRZ GT300は41周目にはいったところでレースを終了してしまった。
ピットに戻ってきた山内は「見ての通りです。何も言うことありません」とだけいいトレーラーに引き上げた。隣にいる井口も「信用できない」と。小澤総監督は「今のタイミングでコメントを出さなければいけないのであれば、申し訳ありませんだけです」と怒りを抑える。
前戦のオートポリスでブレーキトラブルによるクラッシュがあったが、驚異的なスピードでマシンを修復するも、今回もブレーキトラブルのよう。レース前「ブレーキシステムは変更し、ややストッピングパワーは劣りますが、チャンピオンを取ったときのブレーキに戻しているので、信頼はある部品です」と語っていた小澤総監督。
詳細な原因はこれからガレージに戻ってメーカーの解析等を待つことになるが、ブレーキ系のトラブルであることは間違いない。それが部品そのものなのか、他に起因するものがあるのか徹底した調査が必要になるだろう。
STI賚社長も「変化点を探せ」と憤り、広報マンも熱い応援をしてくれるファンに申し訳ないと肩を落とす。次の第5戦鈴鹿300kmレースが最終戦。果たしてどんな姿で戻ってくるのか、緻密な作業を得意とするSTIとR&D SPORTはどんな解決策を出すのか。気持ちよくシーズンを終えたいものだ。
The post 【スーパーGT2024】第8戦もてぎ300kmレース 悪夢再び first appeared on オートプルーブ - Auto Prove.
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