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【スーパーGT】18年ぶりのビッグタイトルを目指すスバル。新型BRZでの戴冠はレース活動拡大の第一歩に?

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【スーパーGT】18年ぶりのビッグタイトルを目指すスバル。新型BRZでの戴冠はレース活動拡大の第一歩に?

 R&D SPORTの運営でスーパーGTのGT300クラスに参戦するスバルは今季、新型のBRZを投入して悲願のタイトル獲得を狙っている。

 先代のBRZでの最後のシーズンとなった昨年、61号車SUBARU BRZ R&D SPORTは高い戦闘力を見せた。優勝こそなかったものの、ポールポジション1回、表彰台2回、トップ5フィニッシュ4回を記録し、井口卓人、山内英輝組がドライバーズランキング5位に。これは2014年以来となる好成績だった。

■新型BRZの魅力は美しい見た目以外にも……ドライバビリティ意識した数々の工夫アリ

 そして2代目となる新モデルのBRZ発表に伴い、スバルは今季からスーパーGTにもこの新型BRZを投入。デビュー戦となった開幕戦岡山はピットレーンの大渋滞に巻き込まれたことなどもあってクラス15位に終わったが、第2戦富士では山内がポールポジションを獲得し、決勝でも2位に入るなど、早くもそのポテンシャルの高さを見せつけている。

 そんなチームの総監督に今季から新たに就任したのが、かつてスバルがWRC(世界ラリー選手権)に参戦していた際にエンジニアを務め、ニュルブルクリンク24時間レースのプロジェクトにも携わった経験を持つ小澤正弘。小澤総監督は昨年の実績も踏まえ、チームがタイトルを狙わない理由はないと語る。

「ライバルは手強く、何が起こっても不思議ではありませんが、我々は常にタイトルを目指しています」

 小澤総監督はそう語った。

「もちろん、今年はこの新しいマシンでタイトルを勝ち取ることが目標です」

「昨年のマシンもかなり速かったので、今年は大きな変更を施さずに通常の開発に徹しました。(2012年に)レガシィからBRZへスイッチした時は大きな変更をした結果、最初はうまくいきませんでした。ですのでそれを繰り返さないためにも、大胆なことはしたくなかったのです」

「安定感のあるマシンにするために、冬の間たくさんのテストを行ないました。空力性能にも非常に満足しています」

 マシンに施された変更の詳細について、小澤総監督は次のように語った。

「フロントダンパーを車体中心に持ってきました。そしてドライバーの頭上にあったオイルタンクをエンジンルームに移動させて、低重心化を目指しました」

「またフレームを作る際にバラストが必要な部分には、バラストを追加しました。このような微調整をしたんです」

「エンジンはほとんど同じです。昨年我々はアンチラグシステムの設定を大幅に改善し、その結果トラクションが向上しました。引き続きドライバビリティを向上させていくために細かい部分を調整していますが、良くなっています」

 2L水平対向4気筒のターボエンジンを搭載する新型BRZは、依然として“コーナリングマシン”であり、テクニカルサーキットで強みを発揮するのは確か。しかし、より幅広いコンディションに対応できるマシンになるよう、取り組みを続けているという。

「我々のマシンはコーナリングに強みがありますので、鈴鹿、SUGO、オートポリスは我々のポテンシャルを発揮できるコースと言えます」と小澤総監督。

「我々が好成績を残せた昨年を振り返ると、コロナの影響で夏場にレースが集中していました。こういった暑いコンディションは(タイヤサプライヤーの)ダンロップさんが得意としています。しかし昨年の最終戦のような寒いコンディションではあまりパフォーマンスを発揮できませんでした」

「そのため、オフのテストでは寒いコンディションでの走行とロングランに集中しました。3月に富士で行なわれたテストのデータを基にセットアップを調整しましたが、うまくいっていると思います。シーズンの初めから良い感触が得られています」

 今季のGT300クラスでは、その大半を占めるFIA-GT3車両の他に、オーガナイザーであるGTアソシエイションが定めるGT300車両、GT300MC車両が参戦している。BRZは今季6台が走っているGT300車両のひとつだ。

 5月に行なわれた富士戦でクラス優勝した60号車SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTも、BRZと同じくGT300車両。このGRスープラはLM corsa、埼玉トヨペット Green Brave、Max Racingの3チームに供給されているが、小澤総監督は機会があればスバルも複数チームにBRZを供給したいと考えているという。

「(GT300車両が)たくさん走っているのを見たいです」

「日本のモータースポーツにとって、日本製のマシンが増えることは重要なことです。(GT3車両から)スイッチするのは簡単ではありませんが、他のチームに供給することが可能であれば、やってみたいとも思います」

 スバルはここ数年、スーパーGTの他にニュルブルクリンク24時間レースにも参戦しており、SP3Tクラスで6度の優勝を記録している。とはいえ、やはりスバルにとっての最後の“ビッグタイトル”は、2003年にペター・ソルベルグがインプレッサを駆って獲得したWRCタイトルということになるだろう。スバルは2008年を最後にWRCから離れ、2009年からR&D SPORTとの提携でスーパーGTに参戦している。

 以来スバルはスーパーGTで12シーズンを戦ってきたが、勝利こそ記録するもののタイトルには手が届いていない。小澤総監督はWRCでタイトルを獲得することとGT300でタイトルを獲得することの難しさを比較することはなかったが、選手権を制することで、スバルのモータースポーツ活動を拡大することができるはずだと語った。

「GT300では15台ほどのマシンがタイトル争いに絡んでいるので、そこで勝つのは簡単ではありません」

「もちろん、私としては他にもグローバルな選手権を戦いたいですが、今のところは難しいです。とはいえここでタイトルを獲得できれば、スバルにとっては大きな刺激となり、他の選手権への参戦に繋がるかもしれません」

 スバルのWRCファクトリー参戦復帰がすぐに実現するとは考えにくいが、スーパーGTで久々のビッグタイトルを獲得することが、スバルの今後のモータースポーツ活動における大きな一歩になるかもしれない。

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