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ヴァノスとSMGの不調にご用心! BMW M3(E36) UK版中古車ガイド(2) エンジン自体は高耐久

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ヴァノスとSMGの不調にご用心! BMW M3(E36) UK版中古車ガイド(2) エンジン自体は高耐久

ダブルヴァノスの不調に注意 エンジンは高耐久

スチール製ブロックの堅牢な直列6気筒に、先進的なヴァノス・システムを採用。E36型BMW M3のエンジンは、優れた動力性能と燃費を実現している。エンジンオイルの消費量が多いため、中古車を選ぶ際は、充分な量が入っているか真っ先に確かめたい。

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後期型のダブルヴァノス・システムは、エンジンオイルが汚れるとソレノイドに不調をきたす。過去の交換履歴も良く確かめたいところ。

アイドリング時に回転が安定しない場合や、鋭い加速を求めた時に重たい感じがするなら、ソレノイドのピストンシールが駄目になっている可能性がある。機械的な唸りが大きい場合は、ギアの磨耗が考えられる。

8万km毎に、ヴァノスのシールを交換する価値はある。作業はさほど難しくない。必要なら、英国ではMr.ヴァノス社が入念にオーバーホールしてくれる。執筆時の費用は、1595ポンド(約31万円)とのこと。

前期型の、吸気側だけのシングルヴァノスは故障が少ない。定期的な点検整備を怠らない限り、エンジンは24万kmは耐えられるようだ。ただし、バルブクリアランスが大きくなるとパワーは落ちる。

E36型M3は、1990年代のデザインとしては落ち着きがあり、モダンさも漂わせる。低く構えたスタンスが、通常のE36との違いを静かに主張する。もし走りに緩さを感じたら、ステアリングやサスペンション、タイヤなどのリフレッシュを考えたい。

SMGの修理は高額 北米仕様は243psに落ちる

前期型では5速、後期型では6速のマニュアルは、クラッチのフレキホースの詰まりや、マスターシリンダーとスレーブシリンダーの不調に注意したい。クラッチ自体の減りも、年式的には考えられる。

セミ・オートマティックのSMGでは、スポーツ・モードを選択し飛ばしてみて、クラッチの滑りがないか確かめたい。フルードが減ると、ギアが抜けてしまうことがある。

SMGは構造が複雑なため、修理には高額な予算が求められる。内部のポンプや電気系統が不調になると、英国ではMTへ換装されるケースも多い。

サスペンションは、特にリア側のトレーリングアーム・ブッシュと、ダンパーのトップマウントの状態がチェックポイント。ブレーキパイプは錆びやすく、交換作業ではガソリンタンクとマフラーを一式取り外す必要がある。

ちなみに北米仕様は、最高出力と最大トルクが243psと31.0kg-mへ低く設定されている。サスペンションもソフトで、オプションで5速オートマティックが用意された。

加えて、そのウォーターポンプにはプラスティック製のインペラー(水車)が実装され、10万km前後で割れる事が多い。欧州仕様の場合、金属製のインペラーで壊れることはほぼない。

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

直列6気筒エンジンは、メンテナンスを怠らなければ信頼性は低くなく、耐久性も高い。エンジンオイルの状態と、その交換履歴、回転の乱れや高負荷時のもたつきがないか確認したい。

機械的な唸りが大きい場合は、ヴァノス・システムの不調を疑う。ラムダセンサーやインジェクターのノイズにも、聞き耳を立てたい。排気ガスの煙と、触媒の状態もチェックポイント。

ボディ

この年代のBMWは酸化しやすい。前後のフェンダーにボンネットの縁、フロント・ストラットの固定部分、サイドシル、ジャッキアップポイント、フロアパン、シャシーレッグ、ドアの下側、荷室のフロア、トランクリッドなどが錆びていないか確かめたい。

ボディパネルの隙間や、バンパーとリアウイングのフィット感を観察する。修理すると、隙間などが均一でなくなることが多い。

コンバーチブルのソフトトップは構造が複雑で、修理は高額。滑らかに動くことを予め確かめたい。

トランスミッションとクラッチ

各部からフルードが漏れていないか調べる。MTでは、特に2速と3速で、変速時にギアの回転数を調整するシンクロメッシュが痛みがち。クラッチは、ミートポイントと足へ伝わる感触が不自然でないか、ペダルを踏み込んで確認する。

セミATのSMGでは、すべて正常に変速されるかチェックしたい。クラッチの滑りにも要注意。

サスペンションとブレーキ

ブレーキは、フルードのパイプが錆びがち。キャリパーは固着していないか調べる。

サスペンションは、ブッシュとマウントの劣化具合を点検する。リアのトレーリングアーム・ブッシュは、特にヘタりやすい。

インテリアと電気系統

集中ドアロック、パワーウインドウ、エアコン、メーターパネルのデジタルモニターなど、すべて正常か確かめたい。

運転席側のシートは、サイドボルスターが摩耗しがち。英国仕様は、本国ではオプションのレザーが標準だった。

BMW M3(E36)のまとめ

50:50の重量配分に、フロントエンジン・リアドライブのシャシー。Mが手掛けた、自然吸気の直列6気筒エンジン。運転する楽しさを追求したクルマこそ、E36型のM3といえる。

歴代のオーナーによって改造された例は多いが、望ましくない影響が出ている場合は珍しくない。次のオーナーの好み通り、という内容も少ない。オリジナル状態の方が、一般的に丁寧に乗られてきた傾向は高いだろう。

整備記録を調べ、できるだけ状態の良い例を選べば、素性の良さを味わえるはず。クーペやサルーン、前期や後期など、ボデイや年式にはとらわれ過ぎない方が良い。

良いトコロ

まだ妥当な価格帯で流通している、Mモデル。英国にはオーナーズクラブがあり、得意とするガレージも多い。燃費は悪くなく、車内空間も充分に広く、普段使いが難しくないドライバーズカーだ。

良くないトコロ

ボディはサビやすい。ダブルヴァノス・システムは複雑。メンテナンスが疎かだった車両を選ぶと、本来の魅力へ迫りにくい。

BMW M3(E36型/1992~1999年/英国仕様)のスペック

英国価格:3万7460~4万2980ポンド(1996年時)
生産数:3万3516台
全長:4433mm
全幅:1710mm
全高:1366mm
最高速度:246-260km/h
0-97km/h加速:5.3~5.7秒
燃費:8.1-11.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:1471-1580kg
パワートレイン:直列6気筒2990・3201cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:290ps/7000rpm-325ps/7400rpm
最大トルク:32.5kg-m/3600rpm-35.6kg-m/3250rpm
ギアボックス:5速・6速マニュアル/6速セミ・オートマティック/5速オートマティック(後輪駆動)

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みんなのコメント

4件
  • rqt********
    ボディが錆びやすいかといえば
    それは無い。亜鉛メッキがしてあるから
    海辺とかでなければ、大丈夫。
    ウォーターポンプと天井の内張りが
    駄目になる、
  • dee********
    エンジンオイルの消費量?
    大して減ることはないと思うが。減りが多い場合はどこかから漏れが考えられる。ヘッドカバーパッキン程度であればまだいいが、他の場合は既に不調の可能性が高い。日本車と違ってオイル量自体が多いのでそのこと?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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