もくじ
ー いつでも買えるタイプR 24台限定のクプラR
ー 争うのは満足感 タイプRのスタイリングには議論も
ー 驚くべきコーナリング性能 素晴らしいステアリング
ー クプラRに足りないもの タイプRの一体感
ー 結論はシンプル
ー 番外編:新生クプラについて
セアト、過去最高の業績に 若きCEOの1日に密着 見据える未来とは
いつでも買えるタイプR 24台限定のクプラR
いかなる結論が出ようと、いわゆるホットハッチとしては、現行シビック・タイプRが最高のモデルだ。近所のディーラーで購入でき、これほど深く機械との繋がり感じつつ、驚くべきペースで走れるモデルなど他にはない。
事実、選ばれしAUTOCAR英国版ロードテスターたちが星4.5に留めた唯一の理由は、星5つのモデルに比べて、少しコテコテしすぎるように感じたからということだけだった。喧騒はさったが、議論は終わらない。
おわかりだと思うが、われわれはこの原稿に編集部の命運をかけている訳でもなければ、はじめから判定を諦めたわけでもない。それでも、この2台ではホンダだけが実際に購入することができるモデルであり、優れたホットハッチには気前よく金を払うことで有名なこの国に、799台のみが生産されるセアトのうち、何故わずか24台しか割り当てがないのか、その理由は謎だ。
しかし、この溶岩のように熱いセアト・レオン・クプラRの右ハンドル仕様はその受注を開始しており、今回そのうちの1台を、この興味深くも机上の空論でしかないツインテストに借り出すことができた。
机上の空論? もし、この3万4995ポンド(531万円)のプライスタグを掲げたニューカマーが、高く評価されているライバルを叩きのめしたとしたら、それは驚きと歓迎をもって迎えられるだろうが、それでもこのクルマを手に入れることはできないからだ。そして興味深いのは、このクルマが、「クプラ」がメルセデス-AMGのように独立したパフォーマンスブランドになる前の、クプラを名乗る最後のモデルだからである。
だからこそ、このクルマのシビックに対する強みと弱み、目指しているものや、われわれにとっての最重要事項である、楽しめるモデルかどうかといったことは、ホットハッチの購入を真剣に検討しているすべてのドライバーにとって重大な関心事だろう。
争うのは満足感 タイプRのスタイリングには議論も
このツインテストで争われるのは動力性能だけではない。その意味では、日本が誇るシビックが既に負けを認めているとは受け入れがたいだろうが、このFK8世代のシビック・タイプRの美的感覚については、それぞれ意見があるとはいえ、そのすべてが好意的なものとはならないだろうことも事実なのだ。
それでも、セアトよりも長く、幅広い一方で、全高は低いボディに、独特のデザインをまとったホンダの純粋な存在感は、まるで冷徹なプロフェッショナルのごとく際立っている。
さらに、その伝統のチャンピオンシップホワイトのボディには、対照的な色味をもつ複雑な形状をしたパーツが数多く取付けられている。ルーフ後端に取り付けられた、三菱エボモデルのようなヴォルテックスジェネレータ、サイドスカートフィン、フロントフェンダー内の揚力を抑える為のエアベント、そして巨大なウイングのエンドプレートといったものだ。
近づくと、ヘッドライトレンズの形状まで空力を意識したものであることに気付く。
これまで、こういったデザインを生み出したのは日本だけだというのは、興味深くも驚くべき事実だ。恐らく、われわれがハギスを美味しいと思うように、彼らの目には、これが格好良く映るのだろう。
しかし、321psを誇るホンダのエンジンサウンドも、より激しく騒々しいライバルの前では、予想外に控えめに感じられる。
3代目レオンをベースにした先代クプラは、ふたつの地点を移動するには速いモデルだったが、気付かれることなくクルージングすることもできる穏やかさを持ち合わせていた。
しかし、このクルマは違う。フロントとリアに取り付けられたスカートやスポイラーといった空力パーツは本物のカーボンファイバー(ホンダはそうではない)で精巧に作られており、カッパーのテーマカラーは、インテークブレードやツートンの19インチアルミホイールだけでなく、そこかしこに用いられることで、素晴らしい効果を発揮している。
驚くべきコーナリング性能 素晴らしいステアリング
ホイールは、レオン・クプラ300よりも大径化されたブレンボ製ブレーキを誇示し、よりネガティブキャンバーを増すようにジオメトリーを変更したフロントアクスルを挟み込む。アップライトに取り付けられた新型サスペンションが示すように、セアトの狙いはシャシーのフィーリングをより磨き上げることであり、その車高はホンダよりも10mm低い。
スムースな路面と温められたタイヤに助けられたとはいえ、昨年スペインでの国際発表会で見せたクプラRの驚くほどダイレクトなコーナリング性能は、ホイールのリムからタイヤが外れるのではないかというほどのものだった。
英国の峠道を走らせてみれば、その優れた能力に気付かされる。ステアリングは中立付近からレシオが引き上げられており、心地よく軽い感触が、自然に重みを増していき、強固な軸が本物のフィールを感じさせる。
そのアルカンターラ張りの小径ホイール(非常にコストのかかった素晴らしい出来栄えだ)は、おそらく新型ポルシェ911 GT3と同じものであり、すべてにおいて素晴らしく、操作しやすいステアリングだ。
では、エンジンはどうだろう。ホットハッチのエンジンに感銘を受けることは少なく、クプラRの4気筒エンジンも素晴らしい出来だとはいえ、やはり、それはこのモデルにもあてはまる。38.7kg-mの最大トルクは1800rpmという低回転から発生し、6速マニュアルギアボックスを介して5700rpmまで続く。
そのやり過ぎともいえるキャラクターはエグゾーストのチューニングによるところが大きいが、これよりも扱い易い4気筒エンジンなど、5人が乗れてトランクスペースまで備えた他のクルマには望めないだろう。
クプラRに足りないもの タイプRの一体感
しかし、いくつかの基本的な部分と、さらに細かな点については不満がある。シートは奇妙なほど高く座らせるタイプであり、そのホールド性に対して、シートバックもフラットに過ぎる。
マニュアルギアボックスのストロークは程よくショートだが、その操作感は軽すぎ、アクセルとクラッチとの位置関係が素晴らしいブレーキペダルも、サーボアシストの感触が強すぎる。
さらに、チューニングを受けたアダプティブダンパーをもつシャシーは、最後のところでドライバーの操作に対応する柔軟性が欠けている。
しかし、最大の問題は、驚くほどのペースで走っていても、今回写真撮影を行ったようなウェットコンディションでさえ、ホットハッチ好きが望むような調整能力が悲しいことに備わっていないことだ。
つまり、英国の路上における全般的な評価は、独特の個性を持つモデルではあるが、最終的にこのクルマが見せてくれるのは見せかけのパンチに過ぎないということだろう。
一方、シビックは強烈な一撃で混乱させ、即座に「フィーリング」の意味を書き換えさせる。スカーレット(=緋色)のシートは見た目が素晴らしいだけでなく、上半身をしっかりと固定する一方で、ドライバーの下半身を低く受け止め、このクルマのライバルたちでは得られないほどの、シャシーと一体化したような感覚を味わわせてくれる。
走り出せば、ステアリングとクラッチ、そしてスロットルが返してくる素晴らしい重みに気付く。エンジンのレスポンスはセアトほどシャープではないし、ツインスクロールターボをもたないこのクルマの321ps、2.0ℓ4気筒エンジンは低回転を得意とはしていないが、ショートストローク型のVTECをレッドゾーン近くまで回せば、覚悟が必要なほどの勢いで7000rpmのレッドラインへと一気に上り詰める。そして、このホンダは、セアトほど大人の体格をもつパッセンジャーに対して厳しくもない。
1速から2速へのギアチェンジとそのダンピングは、セアトをタイプRの前に跪かせる。ホンダが20年にもわたって磨き上げて来たそのシフトクオリティーは、短く、タイトなもので、完成の域に達している。且つては堅すぎると非難されたリアサスペンションには、新たにマルチリンクが採用され、少なくともこの時点では、より洗練されたフィールを感じさせてくれる。
シビックのフロントは氷結した海を進む砕氷船の如き落ち着きでエイペックスを捉えるが、こうしたコンディションであれば、レオンの扱い易い電子式LSDにくらべ、よりその動きを意識することで、シビックの機械式LSDであれば、さらに素晴らしい効果を発揮させることができるはずだ。
低μ路では、予測が難しくはなるが、ロックアップが速くなり、フロントをさらに押し出すことで驚くような効果をみせる。つまり、オーバーステアを好むそのステアリングと相まって、このホンダにはリスクを犯すだけの価値があるということだ。
結論はシンプル
距離を重ねれば同じように維持するためのコストは掛かり、わずかな全長の違い以外にはこのふたつのモデルの間に違いなどなくなる。
オーナーの5人にひとりが選ぶだろうレオンのサーキット用ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2を履けば、このクルマはさらに速くなる。そして、タイヤが何であれ、それほどクルマ好きではない家族とも、この2台であれば上手く暮らしていけるだろう。しかし、それこそがこのフェアな戦いで、セアトが最終的には多少の差をつけられて敗れた原因でもある。
シビック・タイプRは本物のスポーツカーたちを黙らせるとともに、ドライバーはその能力を、どんな道でも、ほとんどどんな速度でも十分に発揮させることができるモデルなのだ。
結局、今回の結論はシンプルだ。この限定版セアトは生まれたばかりのクプラ・ブランドへの期待を抱かせるモデルではあるが、ホンダは既に確固たる地位を築いている。
番外編:新生クプラについて
奇妙に聞こえるだろうが、このページに写っているレオンは、そのフロントとリアにセアトのバッジを付けた最後の「クプラ」となる。2月に、今後この名前はセアトに属するスポーティなサブブランドとなることが発表されている。
クプラからは、アテカをベースに、レオンと同じテーマカラーとスタイリングをもつ、300psを発揮するコンセプトモデルが既に発表されている。さらに、スーパーミニのイビーザとSUV風の姉妹モデルであるアローナをベースとした車両も開発中だ。
これはセアトの収益性を持続可能なものにするためのものであり、同社CEOのルカ・デ・メオは以前、フィアットが誇るパフォーマンス・サブブランドであるアバルトの立上げに深く関わっていた。
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