知覚品質というゴルフの強みからの変化
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
筆者は、1990年代から自動車雑誌を熱心に読むようになった。その頃は、知覚品質という要素が重要になり始めた時期だった。
量産車でいえば、フォルクスワーゲンがその分野の先駆け。4代目ゴルフの強みだった。
フォルクスワーゲンを強く統制していた、今は亡きフェルディナント・ピエヒからの指示だったようだ。彼は、足元のシートレールが露出しているのを好まなかったらしい。
彼が上司だったら、と想像してしまう。穏やかな人が、わたしは好みだ。
4代目ゴルフ以降、フォルクスワーゲンはブランドとして品質を重要な要素にしていった。ステアリングコラムの見た目から、ヒータースイッチのしっかり感まで、細部にも気が配られていた。
そんな4代目ゴルフの登場から、20年以上が経過。欧州で最も数多く売れているファミリー・ハッチバックのゴルフは8代目へと進化した。ライバルモデルとの差別化に、新たな思想がもたらされたようだ。
AUTOCARの読者ならご存知かと思うが、8代目ゴルフのインテリアは、物理的なスイッチやボタン類が大幅に減らされている。眺めはシンプルで良いものの、実際に使ってみた印象が気になるところ。
ゴルフの運転席に座ってみる。ステアリングホイールのスポークと、ドアパネルのコンソールは、やや混雑気味だ。周囲に目を配ると、物理的に動かせるインターフェイスは、電子ハンドブレーキとドアロック、ハザードランプのスイッチのみ。
バージョン2.0とよべるインテリア
エンジンのスタートボタンとシフトノブ、3つのペダルも、もちろんある。でも、そのくらい。これこそ次世代のフォルクスワーゲン流インテリア。バージョン2.0といったところだろう。
従来はクロームメッキが適度に施された、視覚的にも満足感の高いインテリアが自慢だったと思う。最新型では、そんなスイッチ類はお役御免とばかりに姿を消してしまった。これは、見方によっては弱みにもなり得る。
エアコンのスイッチもないダッシュボードから、見慣れた、上質な雰囲気のゴルフという印象を受けられるのか。丁寧な設計を施されたであろう、あのインテリアが懐かしいのでは。
実際に8代目ゴルフに乗るまで、そんな疑問を抱いていた。しかし、こうして最新のゴルフのインテリアに触れてみると、心配は薄れていく。
バージョン2.0となったミニマリストなインテリアは、操作に慣れてしまえば、従来のゴルフのように扱いやすい。上質でソリッドな素材感は薄れていても、それを超える優れた部分にも気づくことができる。
今回、フォード・フォーカスとの比較試乗の相手に選んだゴルフは、幅広いグレードの中から手頃なものを選んだ。それでも、充分に普通以上の内容を備えている。
ちなみに8代目のゴルフへは、電圧48Vのマイルド・ハイブリッドが追加され、さらにプラグイン・ハイブリッドと、いくつかの高性能モデルも投入される。ゴルフのラインナップは、例によって多岐にわたる見込み。
高いテクノロジーが標準装備となるゴルフ
シンプルに比較をするため、シンプルなゴルフを選択した。130psの1.5L 4気筒ターボエンジンに、6速MTが組み合わされるエントリーグレードだ。英国でのトリムグレードは、ライフとなる。
ダンパーは一般的な固定式。リアサスペンションはトーションビーム式で、小径の16インチホイールを履く。シートはベーシックなクロス張り。
純粋なゴルフと並べるのは、欧州では嗜好的にも真っ向勝負を繰り広げる相手。最新のフォード・フォーカスだ。エンジンは124psを発生する3気筒ガソリンターボで、価格差は40ポンド(5000円)程度しかない。
トリムグレードは、中間となるチタニウムX。ハーフレザーの電動シートに、17インチアルミが標準装備される。
価格は近似するものの、フォーカスには備わらないテクノロジーが、最新のゴルフではベースグレードでも標準装備される。モニター式のメーターパネルにアダプティブ・クルーズコントロール、ワイヤレス・スマートフォン充電、LEDヘッドライトなど、かなりの内容だ。
インフォテインメント・システム用モニターも、ゴルフの方が一回り大きい。価格は2万5000ポンド(330万円)を切りつつ、英国仕様はコネクテッド機能もサポートする。
信号機や1km先までの道路標識を読み取り、制限速度や道路の危険性などを知らせてもくれる。フォーカスには、この機能も備わらない。むしろこれだけの機能を、このクラスで備えているのは8代目ゴルフだけ。
欧州で一番売れているハッチバックは、一番賢くもなったというわけ。
従来のゴルフらしさも残されている
フォルクスワーゲンのゴルフらしい要素も残されている。適度に低く、リラックスして座れるドライビングポジションは、明らかにフォーカスより良い。
車内の幅は広く、リアシートにも大人が快適に座れる。車内の組み立て品質も高く、ボディのプロポーションは、ちゃんとゴルフしている。
一方で、驚くほどクリーンに仕上げられたセンターコンソールと、表面の質感が不規則なプラスティック製パーツは、今までのゴルフでは見られなかった部分。ステアリングホイールの奥、ダッシュボードを横切る曲面的な仕上げも同様だ。
メルセデス・ベンツのデザインにも似た処理ではある。ドライバーに向いた角度の違いで、雰囲気は大きく異るけれど。
10.0インチのインフォテインメント・システム用タッチモニターは、ゴルフの多くの機能を操作するためのインターフェイス。その下には、エアコンの設定やパーキングセンサーのオンオフなど、特定の機能が割り振られたセンサー式のスイッチがある。
モニターで操作してみると、それほど難しさを感じない。深くメニューを掘り下げる必要がないところが良い。
さらに印象を高めるのが、ステアリングホイールのスポークに配されたボタン類から、多くの設定やシステムにアクセス可能なこと。運転中でも、視線や手を動かす量が最低限で済む。メーター用モニターに、操作内容が表示される点も評価できる。
この続きは後編にて。
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