523psと105kWhが与えられるiXの50
まったく新しい純EV SUVのBMW iX。日本でも販売がスタートしたようだ。
【画像】BMWの純EV SUV iXとiX 3 競合モデルと写真で比較 全103枚
ブランドが推進するゼロエミッション・モデルの旗振り役として、先進的なプラットフォームを採用し、インターネット接続を可能とするコネクティビティと、半自律運転システムなどが盛り込まれている。もちろん、有能な電動化技術も。
AUTOCARでは、すでに何度かiXの試乗レポートをご紹介してきた。最近、英国で試乗したのは、エントリーグレードに当たるxドライブ40だった。今回したxドライブ50 Mスポーツは、英国では中間グレードに位置する。
他ブランドでは、グレードによってシングルモーターとツインモーターとで差別化される例も多いが、iXの場合は共通してツインモーター。四輪駆動が標準だ。
かといって2万5000ポンド(約387万円)の追加費用を払って、iX 40から50へアップグレードする価値がないわけではない。一番大きな違いが最高出力。iX 40では326psだが、50では523psが与えられている。
さらに駆動用バッテリーの容量も違う。iX 40では71kWhだが、50では105kWhと、4割ほど増える。そのぶん航続距離も伸び、iX 50なら40より193kmも遠くまで走ることが可能。DCでの急速充電能力も、最大で150kW対195kWと、差が付けられている。
加えて、50はエアサスペンションとアクティブレシオ四輪操舵システムも標準装備。40にも搭載可能だが、追加費用のオプションになる。実際は、ある程度予算が決まっているはずだから、40と50のどちらを選ぶべきか悩まないかもしれないが。
カーボンケージに新世代プラットフォーム
iXは、BMWがカーボンケージと呼ぶ複合素材構造と、アルミニウム製の新世代プラットフォームで構成される。駆動用モーターも、レアアースを使用しない新開発のものだという。だが日産リーフの2倍の蓄電量を持つ、全長5mのSUVだから、車重は重い。
今回の試乗車のようにMスポーツを選択すると、ディスクブレーキもアップグレードされる。車重2510kgあるiXを鋭く減速させる際、役立ってくれるだろう。
BMW iXを目の当たりにすると、全高が高く、全幅もかなりある。ところが、運転してみると驚くほど扱いやすく、操縦性のバランスも秀でている印象だった。ドライバーが望めば、充分に鋭く方向転換も可能だ。
高級SUVと呼べるモデルだから、活発な運転をしようと考えるオーナーは少ないかもしれない。それでも、見た目以上に多彩な能力を備えていることは間違いない。
ある時はとても穏やかで滑らかに、心地よく運転できる。反面その気になれば、手のひらを返したように素早くも走る。それでいて車内は広く、実用性も高い。これほど多能なモデルは、他にすぐには思いつかない。
直接的なライバルを挙げるなら、アウディeトロン Sが近いかもしれない。テスラ・モデルXは、そこまでではないだろう。
iブランドが巧みに展開されたデザイン
BMWのデザインは近年物議を呼ぶことが多いが、iXでは更に1段、進展したように思う。社の上層部も、成功の仕上がりだと考えているかもしれない。美しさではなく、個性的で人目を引くスタイリングが目指されている。写真以上に、実物は存在感が大きい。
概して、プロポーションに難があるSUVやクロスオーバー、ミニバンなどを、美しく仕上げることは非常に難しい。個性的な見た目にすることは可能でも。そこでBMWは、大胆で独創的なスタイリングを選んだのだろう。
内側から外側へデザインされたクルマだと、BMWは表現している。iXから受ける印象は様々かもしれないが、独自性は間違いなく高い。そして、強く心に残る。
縦に長いフロントグリルは依然として大きいが、プレス資料ではインテリジェンス・パネルと呼ばれている。正直なところ、筆者が受けたiXの印象は悪いものではなかった。眺める時間が長くなるほど、iブランド・イメージが巧みに展開されているとも感じた。
実のところ、BMW i3を拡大したようにも見えなくはない。幅の広いCピラーに、アンダーカバー風に処理されたボディ下部、クラムシェル・ボンネットなど、似た要素が与えられている。
i3ほどウエストラインが高くなく、ボンネットも長い。それでも、全体的なプロポーションは、さほど違わないように見える。
i3での既視感を感じるインテリア
インテリアを観察すると、i3との関係性を更に強く感じる。ステアリングホイールは、太い2本のスポークが支えている。ダッシュボードは全面が傾斜し、位置が低い。前方視界も良好だ。
車内フロアはフラットで、センターコンソールは巧妙に高い位置へ持ち上げられている。内装には天然素材やリサイクル素材が積極的に用いられている。ドアの開口部は、カーボンファイバーが露出する。
サイズは違うが、ダッシュボードから浮き上がるように据えられた、インフォテイメント用タッチモニターとメーター用モニターの存在が大きい。i3での既視感を感じるのは、筆者だけではないと思う。
10万ポンド(約1550万円)もするフラッグシップSUVの車内と、多くは売れなかった3万5000ポンド(約542万円)のシティ・ハッチバックとを比較することは、適切ではないかもしれない。でも、共通性を感じることは否めない。
まったく新しい高級モデルをデザインする際のリスクの1つは、これまでのモデルとの断絶だといえる。従来のブランド・イメージとの不一致だ。少なくとも、BMWはそのリスクを回避できている。
iXは、広々とした車内に豊かな装備を得つつ、上質ながら控え目な雰囲気も併せ持っている。高級モデルとして、長旅を快適に過ごすことができる。ボディにもインテリアにも、BMWらしさが香るといえる。その走りにも。
前置きが長くなったが、iX xドライブ50 Mスポーツを運転してみよう。
この続きは後編にて。
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