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乗ってわかったプジョーの新型ハッチバック「508GT line」の○と×

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乗ってわかったプジョーの新型ハッチバック「508GT line」の○と×

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 プジョーの新しい「508」はセダンではない。トランクが独立したクルマをセダンと呼ぶけれども、「508」はテールゲートを備えたハッチバックタイプとなる。テールゲートを開けると、キャビンと繋がっていて、リアシートを畳むとトランクスペースを拡大できる利便性を持っている。

乗ってわかった三菱「デリカD:5」の○と×



 ハッチバックタイプは日本ではコンパクトカーにしか定着しなかったが、ヨーロッパ、特にフランスでは大型車でもハッチバックが採用されたクルマが少なくない。クルマに権威性のようなものを強く求めない国民性が出ているようで面白い。



機械として優れているか ★★★★★5.0(★5つが満点)

 日本仕様には、エンジンの違いによって2つのモデルが設定されているが、そのうちの1.6L4気筒ターボのガソリンエンジンを搭載する「508GT line」に乗った。乗って、まずうれしく驚かされたのが乗り心地だ。ドイツ車のように、姿勢をフラットに保とうとするタイプとは対照的で、路面の変化や加減速にもすぐにタイヤが柔らかく反応する。タイヤがかんたんに柔らかく上下動している様子が感じられる。

 ドイツ車のようなフラットな姿勢は安定性を確保するのには大切なのだけれども、段差や凹凸を乗り越える時のショックが大きく、キツく感じられてしまう。マジメで何ごともキチキチッとこなすカタブツは信頼はできるけれど、融通が効かなかったり、面白味に欠けたり、想定外の事態に遭遇すると取り乱したりするのと似ている。

 そこへいくと、この「508GT line」の走りっぷりはというと反対に、いい加減そうだけど柔軟だから対処能力が高く、杓子定規じゃないから臨機応変。大袈裟に騒ぐことなく、それでいてセンスが良い感じ。非日常より、日常を大切にしている。

 いずれにしても「508GT line」の柔らかく、優しい乗り心地は大きな魅力になっている。ウォーターベッドで寝ているようで、これが心地良い。走行中にクルマが前後左右に傾くことをロールすると呼ぶけれども「508GT line」はロールを厭わない。平坦な直線路以外では常にどこかの向きにロールしているが、ロールする勢いや収まり方などが良く躾けられているから不快でない。むしろ、気持ち良いくらい。

 たった1.6Lとは思えないエンジンのパワーも不足を感じない。8速ATも賢い。パワートレインが主張し過ぎることがないのにも好感が持てた。前輪駆動なのに、意外と小回りが効くのも良い。メカニズムに何の共通性もないけれども、12年間乗っていたプジョー「505GTi」とやっぱりどことなく似ているのを思い出した。

商品として魅力的か ★★★★☆ 4.5(★5つが満点)

 走りっぷり以外にも「508GT line」には美点がある。ドライバーインターフェイスを重視しているところだ。特に、メーターパネルで運転支援機能の働きを大きく表示しているのは、とても助かる。プジョーと同じグループに属するシトロエンやその高級ブランド「DS」各車も同様で、同じフィロソフィーに基づいているのだろう。

急速に多機能化&高機能化している現代のクルマで、その機能群を漏らさず活用するには、今までの考え方のインターフェースではカバーし切れない。大胆に改めないと、大切なものがドライバーに伝え切れない。

 その点、プジョーやシトロエン各車は時代の流れを見据えて行動を起こしている。その機敏な動きを日本車も見習って欲しい。また、そうした新しい機能のひとつであるLKAS(レーンキーピングアシスト)機能はすでに珍しいものではなくなっているが「508GT line」のそれにはひとつ独自機能が備わっている。LKASの設定時にボタンを押すと、レーンの中のどこを走るかまでを定めることができるのだ。ただ真ん中を走るだけでなく、右寄り、左寄りと設定できるから便利。

 しかし「508GT line」のドライバーインターフェースも完璧ではない。ナビ画面前のピアノキー風のスイッチは姿勢によっては上から覗き込むようにしないと良く見えないし、中身のロジックがわかりにくい。おまけに、日本仕様のナビもロジックがわかりにくく、画面のクオリティーが高くない。とは言っても、それらはCarPlay経由でGoogle Mapsを使えば良いわけだから、今後の改変に期待したい。

 この「508GT line」が459万円~、同じパワートレインを搭載した標準仕様の「508 Allure」が417万円~、2.0Lディーゼルを搭載した「508GT Blue HDi」が492万円~。「508GT line」が価格以上の内容だったので、他のモデルもたぶんその通りだろう。ドイツ車ではないヨーロッパ車の中で大いに存在感を示している。まずは乗ってみて欲しい。すでにヨーロッパで発売されているステーションワゴンが遠くないうちに日本でも発表になるので、そちらも要チェックだ。

■関連情報
https://www.peugeot.co.jp/models/car-selector/508.html

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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