■どんなクルマ?
小型SUV時代 ルノーの一手
ルノー・コレオス2017年モデルに試乗 いま「大型SUV」投入の価値は?
ルノー・キャプチャーが発売された2013年、直接的なライバルはたったひとつ、日産ジュークのみだった。
それから4年。コンパクトクロスオーバーのセグメントは、いまや競合車種にあふれて、さらに韓国勢などの新規参入もつづいている。
それゆえにキャプチャーは、英国におけるルノーのベストセラーで、2016年には欧州全体でも最大の売れ筋だからといって、あぐらをかいてはいられず、競争力を強化する必要に迫られているわけだ。
では、ルノーが大手術を敢行したのかというと、そんなことはなかった。モデルライフ中盤で行われる類のマイナーチェンジとしても、思いのほかマイルドなものだ。
エクステリアの変更点は、他のルノー車と同様にオプション設定されたLEDヘッドランプ程度。
デザインも変更されたが、顔周りのクロームのストリップと、前後バンパーに取り付けられた新たなスキッドプレートの追加くらいで、これにより上位車種のカジャールに近いルックスとなった。
インテリアは、高級感を増すための演出が主体。あとは死角警告やハンズフリー駐車機能、固定式パノラミック・サンルーフといったオプションの追加といったところだ。
エンジンのラインナップはこれまで通りで、ディーゼルは90psと109psの1.5ℓ直4、ガソリンは90psの直3と、120psの直4から選択できる。
走りの印象はどうだろう?
■どんな感じ?
ルノー・キャプチャー 走りの印象
今回の試乗車は、ディーゼルの高出力版である。素晴らしい燃費をマークする一方、ほとんどのシチュエーションで活力ある走りをするにも十分なエンジンだ。
スロットルペダルを強く踏み込めば、十二分にパワフルで、0-100km/h=11.0秒という公称スペックより速く感じられる。
ディーゼルとしての洗練度は悪くなく、キャプチャーの主な活躍の場となる市街地での控えめな速度域では、ノイズも振動もほどほどに抑えられている。
しかし、コッツウォルドのB級道路で100km/h近くまで出すと、盛大なロードノイズや多少気がかりなAピラー近辺で発生する風切り音により、快適性はやや損なわれる。
ほかの多くのコンパクトクロスオーバーと同じく、キャプチャーの脚回りもコンフォート志向で、運動性能よりも路面の凹凸を吸収することを重視したセッティングだ。
そうしたサスペンションには曖昧模糊としたステアリングフィールがまた付き物だが、このクルマが立派なのは、そうした予想に反して、期待以上にステアリングが精確でダイレクトなことだ。
詳しく見ていこう。
ハンドリング、装備を検証
ハンドリングも同様で、全てのコーナーをなめらかに駆け抜けていく。
しかし当然ながら、キャプチャーはコーナーを本気で攻めるクルマではなく、街なかをゆっくり走ったり、子供の送り迎えをしたりするような使い方が似合う。
ルノーが確約するように、中間グレードである「ダイナミークSナビ」のインテリアは以前より改善され、目に入る部分のプラスティックはクオリティが高い。
なお、Android Autoが標準装備となったのも改良点だが、なぜかApple CarPlayはインストールされていない。
また、試乗車には、新設定のパノラミックサンルーフが装備されるものの、これは£400(5万8000円)のオプション。子供が喜びそうなアイテムで、それほど高価でもないので、ファミリー層を中心に人気が出るだろう。
■「買い」か?
改良版キャプチャーはハートに火をつけるほどのことはないが、日常遣いにはぴったりで、熟成された、好ましいクルマだ。
しかしディーゼル仕様はガソリン仕様より高価なので、走行距離が少ないユーザーは元を取るのが難しい。また、キャプチャーは一般的にあまり長い距離を走らないユーザーが多いので、ガソリン車を選ぶ方が有意義といえるだろう。
4気筒ガソリンで、今回の試乗車と同程度の装備内容なら、£2,000(29万円)ほど節約できる。
ルノー・キャプチャー・ダイナミークSナビdCI110
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