近年、デザイン性が高く乗用車的に乗れる4ナンバー軽バンが増えている。その先駆者と言えるのがホンダのN-VANだ。N-VANはなんと軽自動車としては珍しい6速MTを採用している。こりゃもしかして走りもイケるのでは?
文/西川昇吾 画像/ベストカー編集部
6MTはS660の置き土産!? 軽バンに6MT装備はアツすぎる ホンダN-VAN徹底試乗
圧巻の完成度 これホントに商用車なの??
+STYLE FUNのヘッドライトは軽自動車の粋を超えた造形に感じる
広報車のN-VANを見た第一印象は何というか「オシャレ」といった具合だ。今回の車両は上級グレードの+STYLE FUNなのだが、ボディカラーのソニックグレー・パールで、トレンドを取り入れたカラーとなっているし、ヘッドライトもフルLEDが採用されていて丸目が強調される点灯パターンでキュートな印象だ。
ナンバーさえ見なければ流行りのトールワゴン軽「乗用車」と思う人も多いだろう。そう考えると、スライドドアが手動であることは普通の人は驚いてしまうかもしれない。
しかし、インテリアを見てみると徹底して道具として作られた印象だ。各所に加飾パネルを使用しているが、細かな全体的な作りやシートなどは商用モデルと言った印象だ。しかし小物入れやフックなども多く、このあたりは乗用使用でもありがたいポイントと言える。
スコスコ入るこのシフトフィール… まさにホンダ車!!
たくさんの人に刺さりそうな走りの"6速"MT
そんな乗用車と商用車の印象が交わった印象を抱きながら試乗開始。まず、「おっ、ホンダ車だな」と感じたのはシフトフィーリングだ。ホンダのマニュアル車に乗ると、その剛性感があってカチッとしたシフトフィーリングにいつも惚れ惚れする。
流石にシビック並みとはいかないものの、軽自動車の商用モデルとは思えないほどカチッとした印象で、シフトフィーリングが良い。思わずシフトチェンジが楽しくなってしまうほどだ。
また、シフト位置も良い。インパネから伸びるEPシビックを思い出すシフトレバーの配置は一見すると扱いづらく思うかもしれないが、ステアリングから手を放す時間が短くて済むし、ギア比の関係から街中で頻繁にシフトチェンジを繰り返すN-VANにはベストな位置といった印象だ。
また、ペダルの配置も軽バンの割にはヒール&トゥがしやすい印象だった。軽自動車のNAであるためエンジンパワーとトルクが小さい。そのためパワーバンドとトルクバンドをキープする運転を強いられるのだが、そこに合わせて小気味よくシフトチェンジするのが楽しい。街中の低速域で楽しさを感じることができるクルマだ。
続いて高速道路へ、合流する時はキッチリとパワーバンドをキープしてシフトアップしていく必要があるのだが、スロットル開度も大きく、この使い切っている感に運転の面白さを覚える。
高速道路での巡行は流石に楽ちんとは行かない。全高が高いため(1945mm)風の影響も受けやすいし、970kgの車重を最高出力53PSのエンジンで引っ張る訳だから、何というか高速道路「うぉぉぉ!」って言いながら走っている感じだ。高速道路で上り坂に差し掛かると冗談抜きで「トップギア、全開」となるシチュエーションもある。
軽快な走りで車としての趣味も車を使った遊びも超楽しいハズ
S07BはNAでも十分! 商用車向けに冷却系を改善、6MTの組み合わせは走りが楽しみになる
そしてワインディングへ、上り坂ではキッチリとトルクバンドに入れるシフトチェンジがここでも求められる。流石に全高が高いためロール感は大きいが、パワーステアリングのフィーリングはとてもナチュラルで安っぽい感じがしない。
ロールが大きい分いかにスムーズに前後左右に荷重をさせるかということに徹底的に向き合うことができる。ごまかしが効かないというか、安全な速度域で自身の運転の粗さを見つめ直すことが出来るクルマだ。
なお、軽バンとして大切な積載量も十分にある。助手席までフラットになるし、助手席のヘッドレストはキレイにドア内側に収納できるようになっているのもポイント。
大きい荷物を沢山載せたい人にとってもピッタリだし、これだけフラットならば自転車はもちろん、車種によってはバイクもスロープでそのまま載せることが可能だろう。また、車中泊にも適していそうだ。
軽バンとしての高い実用性を持ちながら、安全な速度域での運転が楽しい。N-VANはそんな2つの欲望を叶えるモデルだ。
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