この記事をまとめると
■スズキ・ワゴンRは軽自動車に革命的な室内の広さを与えたパイオニア的存在
「ミニカトッポ」に「アルトハッスル」! 「トール軽」バカ売れ前夜の「挑戦車」たち
■現行型は2017年にFX、FZ、スティングレーという3つグレードを用意して登場
■2022年8月の仕様変更で新設定されたカスタムZは注目すべきグレードだ
6代目登場時の「FZ」は3代目以降のスティングレーに相当
軽自動車に革命的な室内の広さを与えたパイオニア的1台が、1993年に発売された、ハイトワゴンというジャンルを先駆けた初代スズキ・ワゴンRだった。以降、その流れを受けて、各社のハイトワゴン、そして今を席巻するスーパーハイト系軽自動車が誕生したことになる。当時、軽自動車らしからぬ室内の広さに驚愕したことは、今でも記憶に残っているほどだ。ちなみに車名のRの由来は、レボリューション&リラクゼーション。つまり革新的でくつろげるワゴンという意味であった。
そんなワゴンRは現在、2017年デビューの6代目。初代を現代的にアレンジしたエクステリアデザイン、5代目から進化を遂げたマイルドハイブリッドによるパワーユニット、スズキの上級車並みの先進運転支援機能の搭載、ライバルよりフラットになる後席のシートアレンジ性などが大きな特徴となる。
6代目登場時のラインアップはベーシックなFX、スタイリッシュさを前面に出したFZ、ストロングをアピールするスティングレーという3つグレードで、それぞれ別の顔を持っていた。注目点は3代目以降のスティングレーに相当するのがこの6代目では標準系のFZだったこと。6代目スティングレーはその上のさらに尖った、2代目RRのようなカスタマイズ派向けのアメリカンなテイストを意識したグレードとなったのだ。スティングレーの顔がアメ車っぽく見えたとしても!? 当然である。
最新のモデルラインアップは、なんと121.9万円から買える標準車のワゴンR(2WD/4WD、ガソリンエンジン、マイルドハイブリッド、CVT/5速MT)を基本に、カスタム系のワゴンRスティングレー(2WD/4WD、マイルドハイブリッドターボエンジン)の2グレードを基本とし、整理されている。
そんなワゴンRが2022年8月30日に一部仕様変更を行うとともに、新たにワゴンR カスタムZグレードを新設定。
注目すべきは新設定の「カスタムZ」
一部仕様変更の内容は、夜間の歩行者にも対応し検知するデュアルカメラブレーキサポートをワゴンR全車に標準装備したほか、フロントシートSRSサイドエアバッグ、SRSカーテンエアバッグ、全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)、車線逸脱抑制機能をワゴンR FX、ワゴンR昇降シート車を除いて標準装備。安全機能を一段と充実させているのである。
さらにコネクテッドサービスのスズキ・コネクトに対応したほか、全方位モニター付きディスプレーオーディオをワゴンR FX、ワゴンR昇降シート車を除いてオプション設定している。
しかし、最大のハイライトは、ワゴンR カスタムZグレードの追加だろう。流行りの大開口のフロントグリル、専用デザインのヘッドライト、フロントバンパーを採用し、フロントマスクの精悍さをアップ。また、インテリアをブラック基調として力強さと上質さを表現している。さらにアップグレードパッケージやマイルドハイブリッドターボモデルの設定もあり、これまでにないワゴンRを登場させたことになる。なお、ターボモデル比較では、スティングレーHYBRID T 2WDの168.85万円に対して、15インチタイヤを装着し、装備類がほぼ同等のワゴンR カスタムZ HYBRID ZTは163.35万円と、5.5万円安い価格設定としている。
つまり、これまでの標準車とカスタム系のスティングレーという展開から、カスタムZグレードを加えた3モデル展開となり、標準車だとちょっと大人しすぎる、しかしスティングレーのアメリカンな顔つき!? には抵抗がある……といったユーザーに、SUVやミニバンでも大流行の押し出し感と迫力ある顔つきを持つカスタムZは文句なしに最適なグレードなるに違いない。顔つきが立派でも、マイルドハイブリッドとマイルドハイブリッドターボが選べる自由度は、今のスティングレーには望めない購入ポイントとなるはずだ。
走りの上質さ、静かさで圧倒することは間違いないターボを選ばなくても、マイルドハイブリッドのアップグレードパッケージ(6.6万円)を選べば、15インチアルミホイール、リモート格納ドアミラー、本革巻ステアリング、本革巻シフトノブやIRカット機能付きフロントガラス、プレミアムUV&IRカットガラス(フロントドア)、メッキドアハンドル、フロント2ツイーター&リヤ2スピーカーが備わるから、速さは必要ないけれど、軽自動車らしからぬ迫力ある顔つき、上級装備は欲しいし購入価格も抑えたい……という人にカスタムZはもうピッタリだろう。
これでハイトワゴンのパイオニアというべきワゴンRの商品力が増したことは確かだが、あとはライバルメーカーにある、ACCの機能をさらに充実させ、運転席の足もとがすっきりする電子パーキングブレーキと、一時停止時にブレーキを踏み続けなくてよくなるとオートブレーキホールド機能が加われば、文句なし。純スズキ車がまだ持っていない電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能の追加は急務ではないだろうか。
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みんなのコメント
私のようにこの記事だけを読まれたらカスタムZの追加で現行ワゴンRが4つの顔になったと誤解する人もいるでしょう。わざわざ画像も載せてますしね。