レッドブル首脳陣にとっては、今季も苦戦が続くセルジオ・ペレスが頭痛の種になっているが、それもウイリアムズからフランコ・コラピントを獲得することで解消されるかもしれない。
2023年までは、ペレスの得点力不足は彼自身のドライバーズチャンピオンシップに影響を及ぼす程度で、レッドブルのコンストラクターズタイトル争いにはさほど悪影響はなかった。
■衝撃デビューのコラピント、来季RBに”レンタル移籍”の可能性を否定「きっと僕は他のレースに出る……でも、絶対F1に戻ってくるよ」
しかし2024年シーズンは、マクラーレンとフェラーリが台頭してきたことで、レッドブルとしてはペレスの不振が深刻な問題になっている。
レッドブルはアゼルバイジャンGPでマクラーレンにコンストラクターズランキング首位の座を奪われ、アメリカラウンドに入り攻勢を見せるフェラーリにも先行を許し、残り4戦という段階でランキング3番手に転落した。
レッドブルは現時点でマクラーレンまで54ポイント差、フェラーリまでは25ポイント差という状況。数字上は逆転も不可能ではないが、勢いを考えれば現実的にはエースドライバーのマックス・フェルスタッペンをしてもライバル2チームに食らいつくのがやっとという状況……大きな改善が見られなければ、レッドブルは2019年以来となるランキング3位を記録してしまうことになる。
調子が上向かないペレスをシーズン終了前に更迭したとしても、レッドブルの旨味は少ない。この窮状からチームを引っ張り上げることを保証できるドライバーは、今のところ誰もいないのだ。
F1の分配金システムはコンストラクターズランキングの順位に基づいており、レッドブルにとって、マクラーレンとフェラーリの後塵を拝することは大きな影響を及ぼす。
分配金はコンストラクターズランキングの順位をひとつ上げるごとに1000万ドル(約15億円)の価値があるとされ、コンストラクターズタイトルはレッドブルのモノだと見られていたシーズン序盤から一変、2024年を3位で終えることになればレッドブルは2000万ドル(約30億円)規模の打撃を受ける。
レッドブルがマックス・フェルスタッペンの来季チームメイトを決める時に、この要素が大きな指標になることは間違いない。
今のところ、レッドブルの姉妹チームであるRBのリアム・ローソンに白羽の矢が立つと考えられる。アメリカGPからダニエル・リカルドの後任としてF1にカムバックをして以来、力強い走りを見せた。先日のメキシコシティGPではペレスに対して中指を立てるなど激しい1面もあったが、レッドブル首脳陣が常に望んでいる「果敢に挑む姿勢」も見せている。
しかしレッドブル陣営のドライバー決定は、シニアチームにとってベストなコンビを選ぶという単純なモノではない。ドライバーを引き抜いた結果、姉妹チームのラインアップが脆弱になってしまっては仕方がないのだ。
つまり、2025年にローソンがトップチームへ昇格するというシナリオは、RBで角田裕毅のチームメイトになる有力候補が確実にいる場合に限られるのだ。
現時点でF1に最も近いレッドブルジュニアは、アイザック・ハジャーだ。今季はFIA F2で好調なシーズンを送っているものの、RBでのタイトなF1中団争いに放り込まれる前に1年間、テストやシミュレータでの開発作業を通じてF1への準備を行なった方が良いというのは間違いない。
メキシコシティGPの週末には、レッドブルがウイリアムズからコラピントをRBの来季ドライバーとして引き抜くという、もうひとつの興味深いシナリオが浮上した。
ウイリアムズ育成出身のコラピントは、ローガン・サージェントの後任としてイタリアGPでF1デビューを果たして以降5戦中2戦で入賞。時にチームメイトのアレクサンダー・アルボンを凌駕するパフォーマンスを見せ、ファンの心を掴んだ。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、コラピントが「頭角を現している」とパフォーマンスを絶賛しており、メキシコのメディアに対しては獲得の可能性について問い合わせしていなければ、自身の仕事ができていないことになると語っていた。
また情報筋によれば、アルゼンチン出身のコラピントの活躍によってF1への関心が高まるラテンアメリカ市場のスポンサーにレッドブルが大きな興味を示しているようだ。レッドブルはペレスの存在によってスポンサー面で大きな後押しを受けてきたが、ウイリアムズもコラピント加入によって恩恵を受けている。
既に来季ドライバーラインアップを確定しているためコラピントに自チームのシートを用意できないウイリアムズは、コラピントが直近のライバルF1チームに移籍することになっても構わないという姿勢を見せてきた。ただ、それでも可能な限りコラピントとの関係を“レンタル移籍”という形で維持したいと考えているようだ。
レッドブルからしてみると、ここが譲れない条件になるかもしれない。実際、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは先週末、他陣営からドライバーをレンタル契約で獲得し、最終的に“育て損”を被るつもりはないと認めていた。
「彼の問題は、ウイリアムズと長期契約を結んでいることだ」
マルコはKleine Zeitung紙にそう語った。
「(コラピントをレンタル起用するのは)どのチームにとっても面白いモノではない。他のチームのためにドライバーを育てようとは思わないだろう」
現在の状況はかなり流動的なようで、ウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表は、コラピントとRBとの間に何が起きているのかと尋ねられた際、かなり微妙な状況であることをほのめかしていた。
「彼(コラピント)はグリッドでのポジションを手に入れた。我々は彼が居場所を見つけられるよう手助けしたい」
「それがどのようなモノかは、現時点では言えない。理由のひとつは、非常にデリケートな問題であるから。もうひとつは、今はまだ話すことがあまりないからだ」
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みんなのコメント
もうレッドブル、グダグダやん。