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7年目でも好感持てる「実力車」 ボルボXC60へ試乗 速度を問わず快適 振るわない4気筒

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7年目でも好感持てる「実力車」 ボルボXC60へ試乗 速度を問わず快適 振るわない4気筒

依然として英国で高い人気を保つXC60

バッテリーEVの専門メーカーへ転身しつつある、ボルボ。だが従来的なXC60も、依然として高い人気を英国で保っている。

【画像】7年目でも好感持てる「実力車」 ボルボXC60 競合クラスの欧州製SUVはコレ 全166枚

同じスケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ(SPA)を採用した、XC90もさほど古くは感じられない。しかし、後継モデルとしてEX90が間近に控えている。英国ではS60やV60、S90、V90の販売は終了してしまった。

プレミアムSUVとして、XC60は混戦する市場で優れた評価を集めてきた。ライバルは、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツやBMW X3、アウディQ5など。発売から7年が経過しても、このクラスでトップ5に入る実力を持つ。

とはいえ英国では、モデル末期の接近とともにパワートレインの選択肢は減少。四輪駆動のみとなった。

2024年に選べるXC60は、ガソリン・ターボエンジンのB5の他、プラグイン・ハイブリッドのT6とT8という3種類。トリムグレードは、コア、プラス、アルティメットの3段階が用意される。

サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン。リアはマルチリンクで、横方向に固定された複合素材のリーフスプリングが支える。コイルスプリングより軽くコンパクトなことが強みで、滑らかで上質な乗り心地を得られる構成といえる。

トップグレードのアルティメットでは、車高調整可能なエアサスが標準。試乗車もそれだった。

ステアリングラックは、電動機械式のラック&ピニオン。エコ、コンフォート、ダイナミック、オフロード、インディビジュアルの各モードで、重み付けや鋭さが変化する。

高級感を増したスタイリング 居心地の良い車内

スタイリングは、プラットフォームを共有するXC90と似ている。2022年に大きなフェイスリフトが実施され、高級感を増した。トールハンマーと呼ばれるヘッドライト内のデイライトを得つつ、独自の特徴も備えている。

北欧的な雰囲気を漂わせ、派手さはないものの、無感情的だったり、当たり障りない退屈なものとも異なる。充分な車内空間を備えつつ、プロポーションも良い。ボディサイズは先代よりひと回り成長。全高は縮んだが、最低地上高は高められた。

インテリアは美しく使いやすい。素材の質感も高く、XC90から乗り換えても見劣りしない。実際、違いは限定的で、エアコンの送風口やスイッチ類程度。ダッシュボード全体やセンターモニターなどは、XC90と基本的に共有する。

デザインは考え抜かれ、製造品質は高い。メーター用モニターは8インチで、中央のタッチモニターは9インチ。新しいライバルほどの革新性はなくても、居心地の良い、素晴らしい車内といえる。

インフォテインメント・システムは、グーグルと共同開発されたもの。アップデートを経ているが、まだメニュー構造は複雑。ドライブモードを切り替えるだけでも、3回タップする必要がある。

従来はスクロール・コントローラーが備わり、前方から目線を長時間そらすことなく変更できた。インターフェイスは、残念だが逆行したといわざるを得ない。安全性を重視するブランドとして、改めるべきでは。

歴代ボルボ最強のT8 振るわない4気筒の印象

座面の位置は高め。シートはレザー張りで座り心地に優れ、サポート性も良好。車内空間にもゆとりがある。リアシート側も、高身長の大人でも快適に過ごせそうだ。

ただし、荷室容量はライバルに劣る。505Lと狭いわけではないものの、アウディQ5などは550L前後ある。それでも、形状はスクエアで荷物は積みやすい。ファミリーSUVとして、普段使いで困ることはないと思う。

2.0L直列4気筒エンジンの印象は、優等生のXC60で振るわない部分。電圧48Vのマイルド・ハイブリッドが組まれるB5では、最高出力250ps。0-100km/h加速を6.9秒でこなすが、燃費は10.6km/Lに留まり、現代基準では褒めにくい。

また8速ATは、発進時や高負荷時の変速で若干もたつく印象。中程度の加速時は、変速完了前にトルクコンバーターが滑る感覚も小さくない。急いでいる時は、気にするドライバーもいるだろう。トルク感では、Dモードが1番強いようだ。

プラグイン・ハイブリッドでは、T6が350psで、T8が歴代ボルボ最強となる455ps。どちらも2.0L 4気筒を基本に、T6はターボチャージャー、T8はスーパーチャージャーが組まれる。駆動用モーターは共通して145psあり、リアアクスルを受け持つ。

駆動用バッテリーの容量は18.8kWhあり、64km以上エンジンを始動せずに走れる。今回の試乗では77kmが予測され、実際に近い数字を得られた。

カーナビで目的地を設定すると、コンピューターがバッテリーの使用量を調整。到着時に残量を見事に「0」とする、制御の正確さには驚かされた。

気象条件に関わらず、平穏に遠くを目指せる

T6は、電気モーターと内燃エンジンとの切り替えがシームレス。アクセルペダルを踏み込むと、僅かにエンジン音を響かせながら、駆動用モーターが先行して前方へ押し出してくれる。0-100km/h加速は5.7秒だ。

T8は驚くほど速い。180km/hへ制限された最高速度が、不自然なほど低く思えてしまう。かつての自主規制、249km/hも簡単に突破できるはず。洗練性は高いものの、勢いよく走るとガソリンエンジンのノイズが目立つようだ。

駆動用モーターだけで走るピュア・モードを選べば、ほぼ無音で穏やかに進む。ワンペダル・ドライブの制御は素晴らしい。極めて滑らかに、アクセルペダルの加減だけで停止できる。

パワートレインを問わず、車内の遮音性は高く、高速道路では称賛したいほど静か。風切り音も殆ど響いてこない。

ブレーキペダルの感触は、軽くスポンジー。精度や滑らかさでは劣るかもしれないが、日常的な運転ではそっとクルマを減速してくれる。ボルボを支持するユーザーが、好む特性といえる。

操縦性も、積極的なドライバー向きとはいえない。XC60を選ぶ人は、ドライバーズカー・ライクな体験を期待しないと思うものの、全般的におっとり気味。ドライブモードにダイナミック・モードがあっても、スポーティな体験を与えるわけではない。

エアサスペンションが組まれたXC60の上質さは、発売時の2017年から大幅に改善している。速度域を問わず快適で、乗り心地も優秀。気象条件に関わらず、平穏に遠くを目指せると思う。

高い競争力を保持 好感の持てる実力車

英国仕様の標準装備は充実している。ヒーター内臓のレザーシートに18インチ・アルミホイール、インフォテインメント・システムが共通。アルティメット・グレードには、
エアサスペンションが与えられる。

B5 コアの英国価格は、5万ポンド(約930万円)を切る。他方、T8 アルティメットでは7万ポンド(約1302万円)に迫る。値の張るプラグイン・ハイブリッド版だが、英国では一般的な会社からの貸与車両として乗る場合は、税制面での恩恵を受けられる。

モデル末期として、熟成度を高めたXC60。依然として、高い競争力を保持するといえる。スタイリングは精悍だし、インテリアはより新しいライバルへ見劣りしない。快適性と実用性も、高く評価できる。

乗り心地が改善したことも、歓迎したい。ドライバーの気持ちを穏やかに保つ、快適なファミリーSUVとして完成度を増している。

唯一、惜しいのがガソリンエンジン。ディーゼルターボを選べないのが残念に思えてしまう。それでも、好感の持てる実力車であることに変わりはないだろう。

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みんなのコメント

1件
  • mak********
    my2021のディスカバリースポーツP250に乗ってました
    今同じ様な仕様にすると取り出しがほぼ1000万円となった
    輸入車の値上がり方に驚きが隠せません。
    その前にはmy2019のX3 20iに乗ってましたがこちらはグレードがカタログ落ちして比較できず(笑)
    昨年XC90 B6 ultimateに乗り換えましたがその後数ヶ月でグレードがカタログ落ちしました
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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