伝統的なデザインを継承したジュリアの最高峰グレードに試乗
私が初めて購入したイタリア車は、1964年製の“アルファ ロメオ ジュリア スプリント GT”というモデルだった。通称“段付き”というフロントマスクをもった個性的なモデルだ。若き日の巨匠“ジウジアーロ”の作品だ。
あれから30年経過した今、これから試乗するのは2代目となったジュリアで、最高峰グレードのクアドリフォリオである。このモデルは、2017年に日本導入されていたが、どういうわけか試乗する機会がなかった。
試乗するモデルは、2020年にマイナーチェンジを受けた仕様だ。アルファロメオの神髄は、決してこびないスタイリングだと思う。量産モデルを輩出してから、歴史的にどれも他にはないデザインで皆を魅了してきた。
この3つのグリルを用いたフロントマスクは、伝統的であると同時に、今となってはアルファロメオのアイデンティティとなっている。
エンジンは、90度のV型6気筒ツインターボを搭載している。これは、フェラーリ製のエンジンとボアストロークも同様なことから、共用しているということが理解できる。ちなみにプラットフォームも、フェラーリが監修しているそうだ。
高い運動性能を有するがクルージングも快適にこなす
地下の駐車場からエンジンボタンを押してスタートだ。人けのない地下に軽やかな6気筒の音がこだまする。2.9Lツインターボエンジンは、高度にチューニングされたエンジンのように軽やかに回ってくれる。 一般道を走り首都高速に向かう。低中速で街中を走っていて感じることは、とにかく軽いの一言だ。動き出しが本当に軽くノーズも軽い。ステアリング操作においては、全く重みを感じさせないのだ。今から向かう八ヶ岳のワインディングも楽しみになってくる。
首都高速は、トリッキーな路面と不安定な速度の連続である。なので、ハイパフォーマンスカーやチューニングされたモデルは、スムーズに走らせることが難しいが、クアドリフォリオはストレスなく快適に走る。
アクセルを踏み込めば、最適にセレクトしたギアとエンジントルクでマナーのいいATといった印象だ。500馬力以上の対応が可能なZF社製の8速ATは、歯切れよくスムーズにシフトアップしてくれる。 そして、剛性感が高いバイワイヤシステムのブレーキは、制動力をリニアにさせている。それにより、動き自体の安定感が増すイメージなのである。
時速60km/hの不規則なクルージングも難なくこなす。ここからは80km/hで中央自動車道を走る。日も暮れているが、乗り心地がよいおかげで快適だ。
マウンテン区間も、ボディを水平に保ちながら走ることができるので、身体や負担も少ない。まるで質の高いグランツーリスモ、といった顔ももち合わせている。
八ヶ岳に近いインターを出たときは、すでに山道は深い闇へとなっていた。夜道のワインディングは、深いところまで照らし続けるヘッドライトが必要である。アルファ ロメオのヘッドライトは、デザイン性が優先だと思っていたが、思った以上にコーナーを深く照らした。こういったシチュエーションは、ハンドリングの正確さと視認性が高いことが大切だと感じる。
一夜明け、晴天のワインディングでの試乗だ。V型6気筒とは思えないハーモニックで軽快なリズムが野山に響く。今までのアルファ ロメオで、最もラグジュアリーでファンタスティックな1台である。
ハンドリングと乗り心地、エンジンとトランスミッションのマッチング、文句のつけようがない。
ブレーキは、コントロールされている感じは否めないが、ブレーキ上手なドライビングを心がければ、同乗者の気分を害することはないだろう。
他のジュリアと比べると倍以上の価格ではあるが、他のブランドでは味わえないエンジンフィールや高次元の走り。加えて、第一級のグランツーリスモとしての満足感は、計り知れないに違いない。 文/松本英雄、写真/尾形和美【試乗車 諸元・スペック表】●2.9 V6 ビターボ クアドリフォリオ型式ABA-95229最小回転半径5.7m駆動方式FR全長×全幅×全高4.64m×1.87m×1.44mドア数4ホイールベース2.82mミッション8AT前トレッド/後トレッド1.56m/1.61mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS-車両重量1710kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量-kgミッション位置フロア最低地上高-mマニュアルモード◯標準色アルファレッドオプション色ヴェスヴィオグレーメタリック、ブルカノブラックメタリック、シルバーストーングレーメタリック、トロフェオホワイトトリコート、コンペティツォーネレッドトリコート、ミザーノブルーメタリック掲載コメント-エンジン型式670050436環境対策エンジン-種類V型6気筒DOHC使用燃料ハイオク過給器ターボ燃料タンク容量58リットル可変気筒装置◯燃費(10.15モード)-km/L総排気量2891cc燃費(WLTCモード)-燃費基準達成-最高出力510ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm600(61.2)/2550型式ABA-95229駆動方式FRドア数4ミッション8ATAI-SHIFT-4WS-標準色アルファレッドオプション色ヴェスヴィオグレーメタリック、ブルカノブラックメタリック、シルバーストーングレーメタリック、トロフェオホワイトトリコート、コンペティツォーネレッドトリコート、ミザーノブルーメタリックシート列数2乗車定員5名ミッション位置フロアマニュアルモード◯最小回転半径5.7m全長×全幅×全高4.64m×1.87m×1.44mホイールベース2.82m前トレッド/後トレッド1.56m/1.61m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量1710kg最大積載量-kg車両総重量-kg最低地上高-m掲載用コメント-エンジン型式670050436種類V型6気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置◯総排気量2891cc最高出力510ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm600(61.2)/2550環境対策エンジン-使用燃料ハイオク燃料タンク容量58リットル燃費(10.15モード)-km/L燃費(WLTCモード)-km/L燃費基準達成-
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