現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > マッドマックスかベン・ハーか!? バイクで戦車を引く実在のレース「モーターサイクルチャリオット」の世紀末感が半端ない

ここから本文です

マッドマックスかベン・ハーか!? バイクで戦車を引く実在のレース「モーターサイクルチャリオット」の世紀末感が半端ない

掲載 13
マッドマックスかベン・ハーか!? バイクで戦車を引く実在のレース「モーターサイクルチャリオット」の世紀末感が半端ない

馬の代わりにバイクで戦車を引くトンデモ競技「モーターサイクルチャリオットレース」
乗り物に乗って速さを競う競技は昔からあるものです。F1世界選手権やル・マン24時間レースなど世界的な権威と知名度をもつものから、本来乗用ではない芝刈り機に乗って行うものや、事務用の椅子(もはや乗り物かどうか分かりませんが……)を足で漕いで競うものなど、目を疑うような「B級」「ゲテモノ」レースまで日々様々なレースが開催されています。

そんな中でもひときわ衝撃的な競技風景を繰り広げていたのが、1920年代から1930年代にかけて人気があったという「モーターサイクルチャリオットレース」です。

【画像】どうやって複数のバイクをひとりで制御していた? 衝撃の競技風景

「チャリオット」は古代に戦争で用いられた戦闘用馬車で、主に戦士の乗った台車を馬で引いて動かしていました。現代でも「戦車」を意味する言葉として使われることがあります。そんな「チャリオット」を馬ではなくバイクに引かせてしまおうというのが「モーターサイクルチャリオットレース」の出発点です。

1920年代にはバイクにも台車にも人が乗っていたが……
「モーターサイクルチャリオットレース」はオーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、ヨーロッパの一部などで盛んに行われたといいます。世界中の国々で当時撮影された写真を見てみると、初期の頃にはバイクにもライダーが乗り、仲間が乗った台車を牽引するというスタイルだったものが、やがて複数台のバイクを台車に乗った操縦者が1人で操作するという競技スタイルに変わっていったことが分かります。

アメリカの通俗技術雑誌『ポピュラーメカニクス』の1922年9月号によると、現在確認できる範囲でもっとも古いモーターサイクルチャリオットレース用車両は 1922 年に作られたもので、台車の部分はワイン樽を切ったものの前方にクルマの車輪を取り付けて作られていました。この台車と市販のバイクをパイプやロープでつなぎ、競技用のチャリオットとしていたのです。

また、「チャリオティア」と呼ばれた運転者は、バイクに乗って操縦するライダーと、台車部分の樽に乗り、体重移動などによって走行を助けるパッセンジャーに分かれていました。ちなみに、どちらも競技における正装は、ローマ時代の鎧に着想を得た衣装だったそうです(全てのレースで着用していたというわけではないようですが……)。

1930年代以降は複数台のバイクを1人で操縦する高難易度競技に!!
ところが時代とともに競技スタイルが変化し、1930年代以降は複数のオートバイを台車部分に繋ぎ、台車に乗る「チャリオティア」1人が手綱だけを駆使して全ての車両を操縦するようになりました。

1938年にドイツのスポーツフェスティバルの中で行われた「モーターサイクルチャリオットレース」を紹介する新聞記事を参照してみると「操縦者の手の中にある“手綱”は、それぞれ4台のバイクのスロットルバーに繋がれている」と書かれています。操縦者がそれぞれ対応した“手綱”を引いたり緩めたりすることで、複数のバイクを適当な速度で制御していたのでしょう。またライダーが乗ってバランスを取らなくてもバイクが転倒しないよう「全てのバイクは水平のバーによって結合されていた」といいます。

現代にも「モーターサイクルチャリオットレース」の愛好家がいる
残念ながら「モーターサイクルチャリオットレース」は世界大戦による鉄不足、車両不足などの影響で徐々に廃れてしまい、現代ではあまり知られていません。しかし、ヨーロッパを中心に「モーターサイクルチャリオットレース用競技車両」を現代に再現しようとする愛好家や愛好団体が存在するそうで、動画配信サイトなどでは愛好家による実際の走行シーンを見ることもできます。

レポート●モーサイ編集部・中牟田歩実 写真●ポピュラーメカニック社/reddit/Michael Mokossura/Chariots and coaches.com

こんな記事も読まれています

オールトヨタ製になるぞ!!!!!! 新型[スープラ]は新開発の2L直4ターボ+ハイブリッドが濃厚か!?
オールトヨタ製になるぞ!!!!!! 新型[スープラ]は新開発の2L直4ターボ+ハイブリッドが濃厚か!?
ベストカーWeb
全幅1.97mはデカすぎた!? 中身はよかったけど新規市場開拓ならず? 生産終了した[グランエース]に販売現場が思うこと
全幅1.97mはデカすぎた!? 中身はよかったけど新規市場開拓ならず? 生産終了した[グランエース]に販売現場が思うこと
ベストカーWeb
冷静貫徹のサービスパーク/贅沢すぎるデモラン/多くの著名人も来場【ラリージャパン写真日記最終回】
冷静貫徹のサービスパーク/贅沢すぎるデモラン/多くの著名人も来場【ラリージャパン写真日記最終回】
AUTOSPORT web
[発炎筒と発煙筒の違い]知ってた!? 車載するのはどっち!? 意外と知られていない発炎筒の基礎知識
[発炎筒と発煙筒の違い]知ってた!? 車載するのはどっち!? 意外と知られていない発炎筒の基礎知識
ベストカーWeb
96年前のル・マンで優勝したベントレーが東京を走った!「コッパ・ディ東京」に降臨した「オールド・マザー・ガン」とは?
96年前のル・マンで優勝したベントレーが東京を走った!「コッパ・ディ東京」に降臨した「オールド・マザー・ガン」とは?
Auto Messe Web
一番後ろまで段差ゼロ! いすゞの新型路線バス ついに量産開始へ 「市場が待ち望んでいた」モデル
一番後ろまで段差ゼロ! いすゞの新型路線バス ついに量産開始へ 「市場が待ち望んでいた」モデル
乗りものニュース
こちらも“5気筒500PS”級の新型SUVがテスト。週末は連覇王者がポール獲得で僚友が連勝/TC2000第11戦
こちらも“5気筒500PS”級の新型SUVがテスト。週末は連覇王者がポール獲得で僚友が連勝/TC2000第11戦
AUTOSPORT web
新型「GRヤリス」がマフラー交換だけでパワーアップ! 「スーパーターボマフラー/スーパーターボマフラー アーバンマットエディション」がHKSから同時発売
新型「GRヤリス」がマフラー交換だけでパワーアップ! 「スーパーターボマフラー/スーパーターボマフラー アーバンマットエディション」がHKSから同時発売
くるまのニュース
メルセデスAMG、4シーターカブリオレ『CLE』にワイドな専用エクステリアの“53 4MATIC+”を導入
メルセデスAMG、4シーターカブリオレ『CLE』にワイドな専用エクステリアの“53 4MATIC+”を導入
AUTOSPORT web
ニュル「7分37秒」切り アウディRS Q8 パフォーマンスへ試乗 RSシリーズ最強の640ps!
ニュル「7分37秒」切り アウディRS Q8 パフォーマンスへ試乗 RSシリーズ最強の640ps!
AUTOCAR JAPAN
ランボルギーニ「ウラカンGT3 EVO2」を応援する「JLOC AMBASSADOR」を紹介…コスチュームはひと目で分かる大胆トリコローレカラー!
ランボルギーニ「ウラカンGT3 EVO2」を応援する「JLOC AMBASSADOR」を紹介…コスチュームはひと目で分かる大胆トリコローレカラー!
Auto Messe Web
フェルスタッペン「ラスベガスは今季を象徴するような週末」これまでとは異なる価値を実感/チャンピオン会見 (1)
フェルスタッペン「ラスベガスは今季を象徴するような週末」これまでとは異なる価値を実感/チャンピオン会見 (1)
AUTOSPORT web
「厳しいシーズンを団結して戦ったことは誇り」フェルスタッペンも予想外の苦戦。転機はモンツァ/チャンピオン会見 (2)
「厳しいシーズンを団結して戦ったことは誇り」フェルスタッペンも予想外の苦戦。転機はモンツァ/チャンピオン会見 (2)
AUTOSPORT web
「イライラが和らぐ」とドライバーも支持。IMSA、GTDプロ/GTDをめぐるルール変更を発表
「イライラが和らぐ」とドライバーも支持。IMSA、GTDプロ/GTDをめぐるルール変更を発表
AUTOSPORT web
トヨタ版「CX-80」は“4人乗り”仕様! 衝撃的な「カクカクボディ」採用した“個性派デザイン”が凄い! マツダ「3列シートSUV」とは異なる“めちゃ未来”なモデルとは!
トヨタ版「CX-80」は“4人乗り”仕様! 衝撃的な「カクカクボディ」採用した“個性派デザイン”が凄い! マツダ「3列シートSUV」とは異なる“めちゃ未来”なモデルとは!
くるまのニュース
【F1第22戦無線レビュー(2)】「目的を見失うなよ」「自分のレースをしている」戴冠を見据え冷静に走り続けたフェルスタッペン
【F1第22戦無線レビュー(2)】「目的を見失うなよ」「自分のレースをしている」戴冠を見据え冷静に走り続けたフェルスタッペン
AUTOSPORT web
ACコブラ、なぜ「大波乱」を呼んだ? 1960年代の伝説的スポーツカー 歴史アーカイブ
ACコブラ、なぜ「大波乱」を呼んだ? 1960年代の伝説的スポーツカー 歴史アーカイブ
AUTOCAR JAPAN
【今さら人には聞けないEV生活の基礎知識】充電スタンドの種類や探し方、電欠しない充電の仕方など、基本中の基本をお教えします
【今さら人には聞けないEV生活の基礎知識】充電スタンドの種類や探し方、電欠しない充電の仕方など、基本中の基本をお教えします
Auto Messe Web

みんなのコメント

13件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村