現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「いきなり最高速度120キロ化」判断から1年 東北道の首都圏区間どう変化 事故はむしろ減少?【独自】

ここから本文です

「いきなり最高速度120キロ化」判断から1年 東北道の首都圏区間どう変化 事故はむしろ減少?【独自】

掲載 59
「いきなり最高速度120キロ化」判断から1年 東北道の首都圏区間どう変化 事故はむしろ減少?【独自】

最高速度120km/hでどう変化? 独自取材で判明

 東北道の首都圏区間にあたる岩槻IC 佐野藤岡IC間(約41km)で、2022年10月12日に最高速度が100km/hから120km/hに引き上げられ、1年以上が経過しました。これによりどのような変化があったのか、埼玉県警への独自取材で判明しました。

【画像】高速道「最高速度110km/h以上で走れる区間」

 高速道路における最高速度の見直しは、新東名の静岡県内と東北道の岩手県内の区間で2017年から試行され、110km/h、120km/hと段階的に引き上げられた結果、警察庁が2020年に正式運用を決定。その後、首都圏の区間でも引き上げが実施されています。

 東北道の首都圏では前出の通り、埼玉・群馬・栃木3県にまたがる岩槻IC 佐野藤岡IC間(約41km)で引き上げが実施されましたが、なかでも対象範囲が長く交通量も多いのが埼玉県内です。埼玉県警の協力により、県内区間における引き上げ前後の変化がわかりました。

●実勢速度の変化
・引き上げ前:上り115km/h、下り115km/h
・引き上げ後:上り117km/h、下り115km/h

※引き上げ前=2022年8月12日 10月11日、引き上げ後:2022年10月13日 12月11日、追越車線の計測。

●事故件数の変化(カッコ内はうち重傷・死亡事故件数)
・引き上げ前の人身事故件数:上り24(3)件、下り26(3)件
・引き上げ後の人身事故件数:上り17(1)件、下り22(3)件(うち死亡事故1件)

※引き上げ前=2021年10月12日 2022年10月11日、引き上げ後=2022年10月13日 2023年10月12日。

 引き上げ後1年は、引き上げ前の1年よりも事故件数が減少しています。なお埼玉県警によると、いずれの期間でも「速度に起因する事故はゼロ」とのことです。

 上記の結果から、県警は「引き上げ前後で大きな変化はない」、したがって現時点で追加の安全対策なども必要ないとしています。

東北道はなぜ「いきなり120キロ化」されたのか

 2023年12月現在で最高速度が引き上げられたのは、実証実験から続く新東名(静岡)、東北道(岩手)のほか、新たに対象となった東北道(首都圏)、常磐道(茨城)、東関東道(千葉)の5区間があります。新東名の静岡県内は実証実験を経て、6車線化の完成とともに120km/h規制の対象範囲を拡大。東関東道の千葉県内区間は110km/h化から半年後に120km/hとなりました。常磐道の茨城県内区間は現段階で110km/hです。

 この5つのなかで、既存の構造のまま「いきなり120km/h化」された唯一の例が、東北道の首都圏区間でした。理由について埼玉県警は次のように話します。

「新東名と東北道(岩手)で110km/hから120km/hに引き上げ、問題はないと判断され、同じような環境で引き上げを実施することになった経緯があります。安全であることが示されているからには、110km/hから始めることの説明がつかないという意見があり、3県警で協議のうえ、120km/hでスタートしました」

 新東名は、実証実験以前から実勢速度で120km/hを超えていたというデータがあります。道路としての設計速度は140km/hを担保した余裕のある構造の新東名は、いま実際に走ってみても、ACC(オート・クルーズ・コントロール)を120km/hに設定して走っているクルマが多いと感じるほどです。

 対して東北道、特に埼玉県内の区間は6車線とはいえ交通量も多く、しばしば渋滞もするため、実際に120km/hを出しているクルマは多くないということが見えてきます。これは4車線区間である東北道の岩手県内でも同様で、岩手県警は以前の取材時、「最高速度が120km/hだからといって、120km/hで走ろうと速度を上げるような動きは見られない」と話していました。

 120km/hで走れるとなれば、所要時間をそのスピードで計算できるのですから、数値上の速達化の影響は小さくないかもしれません。しかし、実際に速達化するかどうかは、道路構造や交通状況によりけりであって、最高速度の引き上げはそれほど関係ないともいえそうです。

 一方で現在、物流を効率化する観点から、80km/hのまま据え置きになっている大型車の最高速度を引き上げる方針を警察庁が固めています。これには、普通車などよりも、スピードに起因する重大事故が増えるのではないかといった声もありますが、引き上げが実施された場合にどのような結果を生むのか注目されます。

関連タグ

こんな記事も読まれています

メルセデスマイバッハ、『S580』特別仕様を発表…専用のツートーンペイントやホイール
メルセデスマイバッハ、『S580』特別仕様を発表…専用のツートーンペイントやホイール
レスポンス
アメリカンマッスルまでEV化かよ……でもじつはローパワーFFなんて世代もあった「ダッジ・チャージャー」の歴史を振り返る
アメリカンマッスルまでEV化かよ……でもじつはローパワーFFなんて世代もあった「ダッジ・チャージャー」の歴史を振り返る
WEB CARTOP
新生9X8はまだやれる……! プジョー、“勝負にならなかった”ル・マン終えても「マシンの方向性は良いと確信」
新生9X8はまだやれる……! プジョー、“勝負にならなかった”ル・マン終えても「マシンの方向性は良いと確信」
motorsport.com 日本版
パジェロ 復活! 次世代SUVの詳細…ベストカーグラフィカ
パジェロ 復活! 次世代SUVの詳細…ベストカーグラフィカ
レスポンス
「アクシデントがなければ勝てたと思う」トヨタ、ル・マンで悔しい2位表彰台。優勝まであと一歩届かず
「アクシデントがなければ勝てたと思う」トヨタ、ル・マンで悔しい2位表彰台。優勝まであと一歩届かず
AUTOSPORT web
いまクルマ界のファッショントレンドは「差し色」! 「ちょい足し」がオシャレすぎるクルマ5台
いまクルマ界のファッショントレンドは「差し色」! 「ちょい足し」がオシャレすぎるクルマ5台
WEB CARTOP
アンダー200万円のホンダ「新型“2人乗り”軽バン」発表! 斬新すぎる「タンデムシート」が超スゴい! 新型「N-VAN e:」の画期的モデルとは
アンダー200万円のホンダ「新型“2人乗り”軽バン」発表! 斬新すぎる「タンデムシート」が超スゴい! 新型「N-VAN e:」の画期的モデルとは
くるまのニュース
【SBK第4戦エミリア・ロマーニャ】BMW Motorradのラズガットリオグルがすべてのレース制覇
【SBK第4戦エミリア・ロマーニャ】BMW Motorradのラズガットリオグルがすべてのレース制覇
バイクのニュース
「ランクルつながり」でチラ見する、200系ハイエースのネクストステップとは?【連載 桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】
「ランクルつながり」でチラ見する、200系ハイエースのネクストステップとは?【連載 桃田健史の突撃!キャンパーライフ「コンちゃんと一緒」】
LE VOLANT CARSMEET WEB
[15秒でわかる]日産『ノートオーラ』マイナーチェンジ…新しい顔で存在感を高める
[15秒でわかる]日産『ノートオーラ』マイナーチェンジ…新しい顔で存在感を高める
レスポンス
あの迫力が手軽に楽しめる!アオシマ、1/24楽プラ第二弾「R35 GT-R」を10月に発売【CARSMEET モデルカー倶楽部】
あの迫力が手軽に楽しめる!アオシマ、1/24楽プラ第二弾「R35 GT-R」を10月に発売【CARSMEET モデルカー倶楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
日本限定30台の最上級ラグジュアリーモデル「マイバッハ S 580 Night Edition」受注開始
日本限定30台の最上級ラグジュアリーモデル「マイバッハ S 580 Night Edition」受注開始
Auto Prove
フェラーリ83号車と接触でリタイアのBMW15号車、ペナルティに納得できず「非常にアンフェアだ」|ル・マン24時間
フェラーリ83号車と接触でリタイアのBMW15号車、ペナルティに納得できず「非常にアンフェアだ」|ル・マン24時間
motorsport.com 日本版
ロゴスの WEBマガジン vol.164「17歳のフジロック。」が公開/夏フェスのマストアイテム15はコレ!
ロゴスの WEBマガジン vol.164「17歳のフジロック。」が公開/夏フェスのマストアイテム15はコレ!
バイクブロス
アルパインマーケティング、スズキ・ジムニー向けにカーナビなど3製品を発売
アルパインマーケティング、スズキ・ジムニー向けにカーナビなど3製品を発売
日刊自動車新聞
ボルボの新型SUV「EX90」米国で生産開始 全長5mのフラッグシップ電動SUV 日本での登場はいつになる?
ボルボの新型SUV「EX90」米国で生産開始 全長5mのフラッグシップ電動SUV 日本での登場はいつになる?
VAGUE
900万円のド派手「クラウン」現る!?  リアスポイラーがイケてる! 存在感凄いエアロ仕様とは
900万円のド派手「クラウン」現る!? リアスポイラーがイケてる! 存在感凄いエアロ仕様とは
くるまのニュース
走る快適ベッドルーム! 外に出たくないくらい快適なトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
走る快適ベッドルーム! 外に出たくないくらい快適なトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

59件
  • Benchan3770
    最高速度を上げるより、最低速度を80キロに上げましょう
  • lan********
    普通車の最低速度は第一走行車線80km/h、第二走行車線100km/h、追越車線120km/h、最高速度は追越車線に限り140km/h。
    大型の追越車線進入厳禁。第二走行車線の居座りは通行帯違反。
    追越車線に限っては後方からのパッシングを許可、前が空いていても退かない奴は妨害運転。

    これくらいやっても構わんぞ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村