モーガンに試乗するのは、実は初めてのことだった。もちろんモーターショーやイベントで何度も見かけたことはある。ただこれまで運転する機会に巡り合うことはなかった。モーガンについて知っているのは100年を超える歴史があって、いまもフレームの一部に木材を使い、創業の地であるイギリスでハンドメイドで作り続けられている、ということくらいだ。
今年4月、モーガンモーターカンパニーの日本における正規輸入元「モーガンカーズ・ジャパン」が発足したことを機に、こうして試乗するチャンスが訪れた。現在のモーガンのラインナップは、ルーツでもある「3-WHEELER」、1936年に登場してから約80年間ほぼ変わることなく作られてきた「4/4」、4/4をベースにワイドなフェンダー&タイヤと2リッターエンジンを搭載した「プラス4」、そしてもっともパワフルな3.7リッターフォード製エンジンを搭載した「ロードスター」の全4モデルだ。
試乗車は、ソリッドな紺色のボディカラーに、ブラックレザーの内装を組みあわせた4/4だった。小ぶりのドアは一見頼りなさそうに思えるけれど、Gクラスもかくやの「ガチャン」という剛性感のある金属音をたてて閉まる。モトリタ製の華奢なウッドステアリングに、スミス製のメーター類、縦畝のシートなど、いかにも英国ヴィンテージカーの雰囲気満載だ。ブレーキ&クラッチペダルは狭い足元に収まるよう、スチールの骨格にゴムのペダルを貼り合わせたシンプルなもの。アクセルペダルはローラー式という今どきめったに見ない形状のものだ。これではヒール&トゥは無理そうだと思った。
オフィス街で車両を受け取って、しばらく室内を眺めていたら、昼休みのサラリーマンのオジさんに話かけられた。じっくり見てもいいかというので、もちろんとふたつ返事で答えた。聞けば、モーガンを買う予定なんだという。「私はエアコンが欲しいから2リッターにしますけどね」と言われて、なるほどこの1.6リッターの「4/4」にはエアコンがついていないことに気付いた。ちなみにこの日の外気温は36℃を超える猛暑だった。
モーガンの骨格は、鉄製のラダーフレームに木製のボディフレームを載せ、それをアルミや鉄の金属パネルで覆っている。2000年代に入り衝突安全性能を高めるため補強用のバーなどが用いられるようになったというが、カタログ上の車両重量は795kg、実際の車検証をみても830kg。現代のクルマとしては驚異的に軽い。モーガンが“木”にこだわるのは、同じ英国のグローブトロッターが、軽さと堅牢さを両立するためにヴァルカンファイバーという“紙”でスーツケースを作り続けているのと似ているのかもしれない。
真横から見ればよくわかるが乗員は、全長4010mmのボディのかなり後方に座る。長いノーズのフロントミッドに縦置きされるエンジンは、フォード製1.6リッター4気筒DOHCで、112ps/132Nmを発揮。トランスミッションはマツダロードスター用の5速MTを組み合わせる。数値的には大したことないが、ボディが軽いこともあって良く走る。トランスミッションもロードスターのものと聞けばなんの心配もいらない。適度な節度感があって、シフトも小気味良く決まる。
足まわりは、フロントが独立懸架のスライディングピラー式、リアはリーフリジッド方式。聞き慣れないスライディングピラー式は、車体に対してホイールが直線的に上下運動しかしないサスペンション形式で、軽量かつ省スペースであることがメリットという。複雑なリンク機構によってアーム類が円弧状の軌跡を描く現代のサスペンションのようなしなやかな乗り心地は期待できないが、思いのほか快適だった。段差を越えたときなど大きな入力によってボディがワナワナと振動することもあるにはあるが、このクルマならそれも味だと思えるから不思議だ。ステアリングもノンアシストだが、意外に軽くて驚いた。重量バランスが前軸350kgに対して後軸480kgと、フロントエンジンのわりにリアヘビーであることも関係しているのかもしれない。
わずか半日の試乗だったけれど、80年前の設計だからと身構えるほど特別な操作も儀式も必要ないことはわかった。雨に降られなかったこともあるが想像以上に日常的に使えるクルマとも思った。そして、あらためてオープンカーと一口に言っても、現代のそれとはまったく違う体験を伴うものだった。
このモーガンはフロントウインドウも小さいし、サイドウインドウなんてないし、周囲を走るクルマや歩道を歩く人たちとの距離が近い。スーパーカーに乗っていて信号待ちをしていると、周囲の人が目を合わせないようにしている気配を感じることもあるけれど、このクルマはその逆だ。車内を覗き込まれなくてもおのずと目が合うし、コミュニケーションがオープンになる。お台場では高校生と思しき女の子が手を振ってくれた。いまどきそんなクルマはめったにない。モーガンの年間生産台数は850台。納車はほぼ1年待ちというが、これが新車で買えるなんて現代の奇跡なのかもしれない。
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