極端なところがあるスポーツカーがスーパーカー
スーパーカーの公式的な解釈はどういうものか。それを確認すべく、まずは『大車林』(三栄書房)を紐解いてみたが、スーパーカーという項目はナシ! ガーン! 続いて『広辞苑 第四版』(岩波書店)を調べたところ、スーパーの項目に、用例として「…カー」とあるのみでした。
ちなみに広辞苑によると、スーパーの意味は「超…」「上の」「より優れた」とのこと。つまりスーパーカーとは、“超上の優れた”「クルマ」という意味になるが、全世界的な合意として、「クルマ」の部分を「スポーツカー」とすべし、というのがある。ロールスロイスは、どんなに“超上の優れた”クルマでも、いわゆる「高級車」の部類に入り、スーパーカーには分類されない。
スーパーカーブーマーにとってのスーパーカーは、さらに若干範囲が狭くなって、「2シーターのミッドシップであること」が必須となる。フェラーリであっても、スーパーカーと呼べるのは2シーターのミッドシップモデルのみで、FRモデルは「あればスーパーカーじゃないよね」というのが、スーパーカーブーマーの共通認識だ。なかには、リトラクタブルヘッドライトをスーパーカーの必須条件に挙げる者もいるが、さすがに範囲を狭めすぎ……か?
結局のところスーパーカーというのは、「極端なスポーツカー」と解釈するのが妥当ではないか。スポーツカーとて、それなりの実用性を確保するのが普通だが、実用性をかなり犠牲にして、スーパーな速さやカッコを実現したのがスーパーカーだ。ちなみに「極端な」の部分は、その時代時代における極端さで、時代とともに変わる。
個人的な解釈としては、「ヘンテコなので乗るとすぐ疲れちゃう」のがスーパーカーである。たとえばフェラーリ・テスタロッサ系は、ペダル配置が極端に車体中央寄りで、体をねじるようにして運転しなければならない。そこには人間工学などカケラもなく、クルマにカラダを合わせる必要がある。だからちょっぴり疲れちゃう。
ランボルギーニ・カウンタックは、ヘッドライトボタンを押すためには、バックレストから背中を離して軽くかがむような姿勢を取る必要があり、よほど極上のコンディションでない限り、ヘッドライトを点けるだけで軽くクルマが左右によれる。私はカウンタック・アニバーサリーに乗っていた時、同乗者に「清水さん、怖いから片手運転やめてください」と言われた。でもそうしなきゃライトを点けられなのでトンネルに入れない。かなり疲れるクルマである。
そういうヘンテコさ、極端さを楽しむのがスーパーカーではないだろうか? だから私に言わせれば、マツダAZ-1はスーパーカーの中のスーパーカー。スズキ・ツインもスーパーカーだと思っている。スーパーカーなんて、各人が勝手に解釈すればいいんですよ!
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