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ザ・直線番長!! 三菱の技術と気合があふれていた「GTO」の雄姿と最期

掲載 更新 25
ザ・直線番長!! 三菱の技術と気合があふれていた「GTO」の雄姿と最期

 バブル景気の真っ只中の1990年に「スーパー4WDスポーツカー」と銘打ち、華々しくデビューした、三菱「GTO」。高出力のV6ツインターボエンジンを搭載して、スポーツカーとしては珍しい4WDに4WSを組み合わせたGTOは、先進技術満載のスポーツカーとして、当時注目はされたものの、あまり評価をされなかったモデルです。

 三菱のフラグシップスポーツカー「GTO」の魅力をお伝えするとともに、実力は確かながら、評価をされなかった理由について、解説していきます。

【車名当てクイズ】この名車、迷車、珍車、ご存じですか? 第9回

文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:MITSUBISHI、HONDA、TOYOTA、NISSAN、MAZDA、SUBARU

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スポーツカーとしては珍しいフルタイム4WD

 1980年代から1990年代は、バブル景気の後押しもあり、クルマの高性能化とハイテク化が急速に進んだ時代。三菱自動車も、ターボ化と4WD化のフルラインナップ戦略を進め、スポーツスペシャルティカーのスタリオン、スーパーセダンのギャランVR-4など、個性的なクルマを続々と投入するなか、スポーツモデルのフラグシップとして、1990年10月、GTOを投入しました。

 GTOは、実質的にはスタリオンの後継車でしたが、車名は往年の名車であるギャランGTOから受け継ぎました。スタリオンは、斬新なデザインと高い動力性能が評価されたものの、ヒットモデルとはならなかったことから、スポーツモデルとして今も多くのファンを魅了している、ギャランGTOの名を冠したのです。

 GTOが、当時同クラスのライバルであった、ホンダNSXや日産スカイラインGT-R、トヨタのスープラと決定的に違った点、それは、スーパーカーを除けばスポーツカーとしては採用例が少ないフルタイム4WDであったこと(スカイラインGT-Rは当時、パートタイム4WDを採用)です。

GTOの先代にあたる1982年デビューのスタリオン。主に北米市場をターゲットにしたスポーツスペシャリティカーで、リトラクタブルライトを装備したシャープなスタイルが特徴

誰でも乗れる安全なスポーツカーを目指した

 高性能スポーツカーにとって、高出力・高トルクのエンジンは絶対条件。ただ、強大なエンジントルクを効率的に路面に伝達するとなると、FFは論外、FRやミッドシップでも不十分。スポーツカーらしい優れた動力性能を目指すなら、駆動力を前後輪で分担して路面に伝達できる4WDが理想的、三菱はこのように考えたのです。

 またスポーツカーらしさを求めるなら、フロントセクションが軽くできるミッドシップのレイアウトが理想的ですが、操縦の仕方や、タイヤサイズによっては、限界を超えると突然スピンしてしまうリスクも。現代の500psを越えているようなスーパーカーが、ミッドシップで4WDの採用例が多いのは、これが理由です。

 GTOは、最高出力280PS/最大トルク42.5kgmを発揮するV6ツインターボの高性能エンジンをフロントに横置きで搭載して4WDとした、ハイパワーのスポーツカー。このようなハイパワーのスポーツカーでも4WDであれば、あらゆる条件の下でも、より安全に運転しやすくなります。

 GTOは、扱いにくく、乗り手を選ぶのが当然だった従来のスポーツカーではなく、誰でも乗れる安全なスポーツカーを目指したのです。

4WDだけじゃない!! ハイテク満載のGTO

 GTOは、ワイド&ローのZラインと呼ばれるダイナミックなボディに、曲面ガラスを使ったカプセル状のキャビンなど、エクステリアもインテリアも斬新なフォルムを採用。加えて、「スーパー4WDスポーツカー」に相応しい、当時のありとあらゆる先進技術が盛り込こまれたスポーツカーでした。

・高性能ツインターボエンジン
 排気量3.0LのV型6気筒DOHC 24バルブエンジンにツインターボを搭載。最高出力は、出力自主規制値の280PS/6000rpm、最大トルクは国産車でダントツのトップ42.5kgm/4500rpmを発揮
・フルタイム4WD(4輪駆動)+4WS(4輪操舵)
 センターデフ式4WDに、車速50km/h以上で後輪を前輪と同じように操舵する4WSを使って、高速での旋回性能を向上
・ECS(電子制御サスペンション)
 走行条件に応じて、フロントおよびリアの4本のショックアブソーバーの減衰力を3段階に制御
・ベンチレーテッドディスク
 フロントのブレーキは、対向4ピストンのアルミキャリパーに冷却性能に優れた大容量ベンチレーテッドディスク、リアもベンチレーテッドディスクを装着
・アクティブ・エアロシステム
 車速80km/h以上で前後スポイラーを可変化させ、揚力とダウンフォースを制御
・アクティブ・エキゾーストシステム
 スイッチによってマフラーの流入経路を変更し、排気音をノーマルモードとサイレントモードの2種に切替え

ダイナミックなスタイリングのGTO。高性能V6ツインターボエンジンに、4WD、4WS、ECS、ベンチレーテッドディスク、アクティブエアロ、アクティブエキゾーストなど先進技術を満載

「スポーツカーらしくない」と評価されてしまった

 最強のトルクを発生するGTOの動力性能は凄まじく、最高速度は260km/hに達し、0→400m加速は13.3秒と、同クラスのライバルであるNSXやスカインラインGT-Rに対して同等以上の性能を誇りました。ところが、GTOはあまり評価されず、センセーショナルに登場した初代NSXやスカイラインGT-Rの陰に埋もれてしまいました。

 プラットフォームがスポーツカー専用でなくセダンのディアマンテがベースであること、V6エンジンがスポーツカーに不向きの横置き搭載であること、4WDのおかげで車重はライバルより150kg以上重い1700kg超であることなどから、「スポーツカーらしくない」と評価されてしまったことが大きな要因です。

 国内では評価されなかったGTOですが、海外では高い評価を受けました。1.7トンを超える車重をものともしない走りや、高い低中速トルクによる実用域での扱いやすさ、4WD+4WSによる高速走行時の安定性などが、北米の大型高性能スポーツカーマーケットで高く評価され、モータートレンド誌の1991年「インポート・カーオブザイヤー」にも輝いています。GTOはアメリカンスポーツカーだった、といえるでしょう。

1990年に鮮烈にデビューしたホンダNSX。ミッドシップレイアウトのアルミボディで車重1400kgを切る新世代のスーパースポーツ、V型6気筒エンジンは自然吸気ながら280PSを発揮

◆     ◆     ◆

 NSXとスカイラインGT-Rが、日本のスポーツカーとして圧倒的な支持を受け、後継車モデルが続いてきたのとは対照的に、2001年に1代限りで生産を終了したGTO。日本ではあまり評価をされなかったモデルですが、当時考えられるすべての先進技術を搭載した、バブルが生んだ攻撃的なアメリカンスポーツカー、それが三菱「GTO」でした。

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みんなのコメント

25件
  • シビアに煮詰めたRに対して
    既存システム利用して作った大雑把感があったな。
    なんとなくアメ車っぽい豪快なイメージで、今思うとアリですな
  • (スカイラインGT-Rは当時、パートタイム4WDを採用)
    記事の内容より、R32のアテーサE-TSをパートタイム4WDと表現することに驚き!
    あれは実質アクティブセンターデフなので、ジムニー等のクロカン4駆のパートタイムとは全然違うのですが。。。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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