Cd値0.21の流線型 バッテリー容量は77.4kWh
「サルーンではなく、ストリームライナーと呼んでください」。アイオニック6に対し、ヒョンデの担当者が口にしていた。それでもAUTOCARはサルーンと呼びたい。読者の方は、お好みでどうぞ。
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少なくとも、アイオニック6がSUVではないことは確かだ。ヒョンデ・アイオニック5や、欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したキア EV6が採用するE-GMPプラットフォームを基礎骨格に、低く滑らかな流線型ボディが載っている。
スケートボード構造と呼ばれる、シャシーのフロア部分に駆動用バッテリーが敷き詰められたレイアウトが一般化するバッテリーEV(BEV)は、そもそも重心位置が低い。ヒョンデは、このプロポーションが生む操縦性でのメリットを強調しなかった。
しかし、低いボディは空気抵抗で有利。それが影響し、エネルギー効率でも有利となる。
彼らが自信を見せるのが、Cd値0.21という空気抵抗。アイオニック6は、走行中に空気の力を最も受けない量産車の1台となる。その結果、一度の充電で走れる距離も伸びる。
駆動用バッテリーの容量は77.4kWhと大きく、後輪駆動モデルの場合、航続距離はWLTP値で611kmに届くとしている。同じ容量を持つアイオニック5より104kmも長い。ライバルとされる、テスラ・モデル3 ロングレンジと同等となる。
E-GMPプラットフォームの強みの1つが、急速充電能力。最大350kWまで対応でき、残量10%から80%まで18分で充電をこなすことができる。
170psと228psの後輪駆動と325psの四輪駆動
現在、アイオニック6でほかに知らされている情報としては、77.4kWhのほかに、ひと回り小さい53kWhの駆動用バッテリーが選べること。大きなバッテリーを載せた方では、325psの四輪駆動も選択できるそうだ。
後輪駆動版の最高出力は、まだ明らかになっていない。アイオニック5と同等の、170psと228psの2択になるだろうと考えられる。
写真でもおわかりのとおり、今回試乗したクルマは偽装されたプロトタイプ。欧州市場へは2022年から導入が始まり、2023年には本格的に各ディーラーへ並ぶという。
試乗車が、どちらの駆動用バッテリーを搭載する、何馬力のモデルなのか教えてくれなかった。運転を許された時間も短く、具体的な評価は難しい。それでも、有望なモデルになるだろうという印象は受けた。
偽装の外されたデザインも見せてくれたが、石鹸のように滑らかで個性が薄いテスラより、筆者には強い印象を与えるものだった。見る角度によってはまとまりの悪い処理もなくはないが、ディティールも見応えがあると感じた。
BMW i4やポールスター2などとは異なり、独立したトランクリッドが付いている。デザイナーによれば、高い位置にヒンジが付くテールゲートでは、空力特性とリアシート側の頭上空間に影響が出るという。開口部自体は大きく、荷室も広い。
広々とした車内空間 内装も好印象
フロントに内燃エンジンがないぶん、車内空間も広々としている。リアシートの足元まわりは、メルセデス・ベンツSクラス並みにゆとりがある。
フロアが高く全高が低いため、上下方向には多少の制限がある。体を寝かして座るために、余裕のある前後長は必要でもあるようだ。外からボディを眺めている限り、フロア下の駆動用バッテリーが高さを奪っていることはわかりにくい。
ドライビングポジションはBMW 3シリーズほど低くはないが、窮屈でもなかった。ステアリングホイールの調整域は大きく、丁度いい姿勢に整えることは難しくない。
インテリアでは、実際に押せるハードボタンの数を減らしたとヒョンデは説明する。タッチモニターに集約すると使い勝手に影響が出そうだが、実際にアイオニック6へ触れた限り、想像以上に扱いやすかった。
ダッシュボードの中央には、大きなタッチモニターが据えられている。同時にショートカットキーが用意され、エアコン用に独立したインターフェイスが設けられ、機能的といっていい。
パワーウインドウのスイッチは、ドアパネル側にない。センターコンソールに並んでおり、少し前のレイアウトだと懐かしむユーザーもいそうだ。
内装はプロトタイプ然としており、仮に成形されたプラスティック製部品が多かったが、デザイン自体は魅力的でもあった。本来の素材が用いられソフトタッチ加工されれば、ぐっと雰囲気は高まりそうだ。車内は明るく、居心地が良かった。
チューニング次第で高評価も難しくない
筆者が試乗したのは、欧州本土の都市部に近い一般道。サスペンションの設定は、この地域に合わせてさらにチューニングを加える予定だという。
運転した印象は、全般的にアイオニック5と似たものだった。ステアリングホイールはやや重めに設定され、直感的に操舵できる。クイックなテスラとは反応も異なる。
後輪操舵システムの採用予定はないようだが、全長4855mm、全幅1880mm、ホイールベース2950mmもある比較的大きなサルーンは、驚くほど小回りが効いた。乗り心地はアイオニック5よりエッジのあるものだったが、今後の調整で変わってくるはず。
パワートレインはヒョンデのBEVらしく、滑らかで力強い。加速は鋭く、ステアリングホイール裏のパドルで回生ブレーキの強さを調整できる。
アイオニック6の英国価格は、約4万5000ポンド(約742万円)からが見込まれている。アイオニック5やテスラ・モデル3より僅かに高いものの、ボディサイズはこちらの方が大きい。
今回のプロトタイプ試乗は短時間で、もどかしい思いになった。それでも、第一印象が良かったことは告白しよう。英国の一般道にも適したチューニングを与えることができれば、高い評価を得ることも難しくないだろう。
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