現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 最近のクルマはなぜ窓が小さいのか 後方視界の悪さ、車室に閉塞感…メリットはどこに

ここから本文です

最近のクルマはなぜ窓が小さいのか 後方視界の悪さ、車室に閉塞感…メリットはどこに

掲載 更新
最近のクルマはなぜ窓が小さいのか 後方視界の悪さ、車室に閉塞感…メリットはどこに

スポーティさが演出できる?

 トヨタ「CH-R」、ホンダ「ヴェゼル」「N-BOX SLASH」、日産「ジューク」、スズキ「スイフト」……これらのクルマには、共通する特徴があります。後部ドアのハンドルがピラーに埋め込まれていること、そして、特に後席の窓の面積が小さいことです。

駐車場でドアミラーたたむ? そもそもなんのための電動なのか

 このようなタイプの後部ドアハンドルは、欧州のハッチバック車などでは以前から見られます。たとえばスズキは「スイフト」について、欧州の傾向を取り入れつつ、「スポーティなイメージを大切にすべくスタイリングを優先した結果」としていました。後席の窓が小さいのはトヨタ「C-HR」で特に顕著ですが、この点についてはトヨタも「『デザインと走り』に徹底的にこだわり、それを優先して開発した結果、ウィンドウが比較的小さくなりました」と認めるところです。

「C-HR」は側窓だけでなくバックウインドウも比較的小さく、インターネット上などでは「後方視界が悪い」「車内に閉塞感がある」といった評価も見られます。トヨタに話を聞きました。

――「C-HR」の窓が小さいことには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

 メリットはスタイリッシュになった点です。具体的には、後席窓を小さくすることで、キャビンをクーペ風に見せてパーソナル感を強調しています。またキャビンとアンダーボディの一体感を増すことで、引き締まった力強さとスポーティーさを増す効果に寄与しています。お客様からは後席窓が小さいことで、「外から見られにくい」「守られているようで安心感がある」といったご意見をいただいております。

――後方視界についてはどうお考えでしょうか?

 後方視界が比較的小さいのは確かですが、それを補う安全機能を装備しています。後方視界をナビ画面に表示するバックカメラ、周辺の障害物を感知するクリアランスソナーやバックソナー、隣の車線を走行する車両をレーダー検知してドアミラーに搭載のインジケーターに点灯させるブラインドスポットモニター、駐車場から後退する際に左右後方から接近する車両を検知してドライバーに知らせるリヤクロストラフィックアラートなどです。

※ ※ ※

 トヨタによると、「C-HR」は後方側の視界が小さいぶん、前席側については前方視界を向上させ、開放感も演出もしているとのこと。その一端は、車両側面の前部から後部にかけて、窓の下端ラインが持ち上がるようなデザインに表れています。ラインが持ち上がった後方側の窓が相対的に小さくなっているのは、上に挙げたほかの車種も同様です。

窓の下端ラインの角度でこんなに違う印象

 ある自動車メーカーの担当者は、側窓の下端が描くラインについて、「一般的にリアにかけて持ち上がると軽快さやキビキビさ、躍動感を印象付け、水平に近づくほどにエレガントさや落ち着き、大人っぽさが出てきます」と話します。

 モデルチェンジの過程で、こうしたデザイン思想が反映されていった車種もあります。たとえばマツダの「デミオ」では、初代および2代目は窓の下端が水平に近かったものが、2007(平成19)年発売の3代目からラインが大きく持ち上がり、後席の窓も小さくなりました。

「初代および2代目は、箱型を基本としたデザインで実用性を重視した『コンパクトスペースワゴン』というコンセプトでしたが、3代目はグローバルなコンパクトカーの本流である『パーソナルスマートコミューター』へシフトしました。軽量化、サイズの絞り込みとともに、『躍動と凝縮』をテーマにして本場欧州でも存在感を放つスポーティさを前面に訴求した、カタマリ感あるスタイリングが特徴です」(マツダ)

 その傾向は、形は違えど現行の4代目にも踏襲されています。「デミオ」のみならず、マツダは現在「魂動」というデザインテーマを掲げ、「クルマのデザインに生命の躍動感を吹き込むことを追求している」とのこと。そのため、ほかの車種でも窓の下端が後ろ上がりのラインを描いている傾向にあるといいます。

 前出の自動車メーカー担当者は、国産メーカー全体にそうした「エモーショナル(心を動かされる、躍動感のある)」なデザインの傾向を指摘しつつ、特にコンパクトカーでは窓の下端ラインが後ろ上がりになることが多いといいます。「コンパクトという小さなキャンバスのなかで狙いたいテーマを表現しようとすれば、多少強調されることもあるでしょう」とのこと。

 同担当者によると、後席の乗員が閉塞感を感じたり、安全運転に必要な視界が小さくなったりしないようデザイナーと設計者が調整しているといいますが、様々な要件をすり合わせた結果、相対的に窓やキャビンが小さく見えるようなスタイリングとする場合もあるといいます。一方、窓が小さく見えることについては、側面の衝突安全性を保持する観点から、下端ラインの高さ自体が上がっている傾向にあることも、理由のひとつに考えられるそうです。

 もちろん最近のクルマでも、このようなデザイン傾向に当てはまらない車種もあります。たとえばダイハツ「ミラ トコット」などは、窓の下端ラインも水平です。このクルマは主たるターゲットを「初めてクルマを運転する女性」とし、運転のしやすさ、見切りの良さなどを追求したデザインとなっています。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

239.2302.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

99.0418.0万円

中古車を検索
C-HRの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

239.2302.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

99.0418.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村