奇跡が起こった。もはやモデル消滅は免れない、と思っていた「日産 フェアレディZ」に次期モデルが存在!
日産は5月28日に行われた2019年度決算・事業構造改革計画発表記者会見において、「今後18カ月の間に12車種をモデル更新し、投入する」と発表。
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会見の最後、その12車種の頭文字とシルエットを動画で公開し、そのなかになんと「Z」も入っていたのだ。長年追い求めてきた、新たなフェアレディZの姿が、日産が不振に苦しむこのタイミングで明らかになるとは、誰が想像しただろうか。
内田社長による「スポーツカーに力を入れる」というプレゼンは、「令和の奇跡」といえるだろう。まだ詳しい情報は明らかになってはいないが、シルエットや日産の持つリソースを考察しながら、新たな「フェアレディZ」の姿を考察してみたい。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、編集部
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新型フェアレディZはモデルチェンジか? ビッグマイナーか?
「NISSAN NEXT」と称したプレゼン動画のなかで、“大トリ”を飾ったのはアルファベットも最後となるニュー「Z」。その姿はハッキリと現行モデルと異なるものであった(YouTubeよりスクリーンショット)
わずか60秒程度の動画に登場したシルエット(Zが出るのはそのうち10秒足らず)から、新しいZの特徴をいくつか挙げてみた。
・ロングノーズショートデッキ
→Z33(先代モデル)、Z34(現行モデル)の流れを汲んでおりFRらしいプロポーションは維持される。
・逆スラントノーズ、丸目ヘッドライト(リング状のデイライト?)
→Z34よりも逆スラントがきつめになっているように見える。初代Zの逆スラントノーズに似ている。
・上下に分割されたヘッドライトのインナーライト
→インナーライトのおかげでヘッドライトが円状に近いものだと推測できる。
・ルーフからリアフェンダーまで入ったアクセント
→メッキパーツのキャラクターラインが入っているように見える。
・エッジが効いたリアフェンダー
→Z34の丸いフェンダーに対し、車両後端まで平らに伸びたリアフェンダーは大きく変わっている。
・テールランプはVシェイプではなく横長形状に?
→平らに伸びたフェンダーの後ろ側にとりつけられており、Z32以前のような横長のテールランプに見える。
ヘッドライトやリアフェンダー、テールランプなど、大掛かりな変更が加えられているため、新しいZは、モデルチェンジか、ビッグマイナーなのかが気になるところだが、筆者は「モデルチェンジに近いビッグマイナー」ではないか、と予想している。
何がどう変わる? 新型フェアレディZを大胆予測!
こちらも動画内に映った新型「Z」。基本フォルムは今とそう変わらないが、ヘッドランプ形状などは明らかに異なる新デザインだ(YouTubeよりスクリーンショット)
上記に挙げた特徴を参考にしつつ筆者が考えた、次期型Zの全貌は以下の通りだ。
基本となるFRプラットフォームや車体骨格は流用し、ホイールベースも、トレッドも維持する。
エンジンは、スカイラインに搭載されている3.0L・V6ツインターボを搭載。回転フィールが抜群に気持ちの良い、名エンジンだ。
スカイラインと同様に、405psと304psの2種類を用意し、上位モデルはスペシャルモデルにする(一説では、400Zという車名になるという情報もある)。
トランスミッションはZ34の7速AT、6速MTを流用する。その他のサスペンションアーム、メンバー、ブレーキシステム、タイヤなど、シャーシ部品も流用。最低限、最新の各国法規へ適合させる調整のみとし、新たな技術開発は極力行わない。(個人的には大きくなりすぎたタイヤを、一回り小径に戻してほしい)
フェアレディZを象徴するロングノーズ・ショートデッキは健在。だが、ルーフラインに沿った装飾や「Z」のロゴは現行型には見られない意匠だ(YouTubeよりスクリーンショット)
エクステリアはフロントマスクとリア周りを中心に、大胆に変える。
ヘッドライトパーツや樹脂フェンダー、インテリアで目に触れるセンターコンソール周りやメーター類、ドアインナーパネル部分など入れ替える。Z34のプロポーションはそのままに、目に触れる部分はすべてスキンチェンジを行い、印象をガラッと変える。
つまり、「コストをかけずに最大限の変更を行う」ということだ。これは、現行であるZ34が、登場から12年も経った現在でも、「超一級のハンドリング性能」を持っているからこそ、できることである。
こちらは新型フェアレディZの予想グラフィック(本誌CG)
Z34に課題がないわけではない。Z34はロードノイズがかなり大きい。高速道路を100km/hで走っていると、リアタイや付近から聞こえる「コー」という盛大なロードノイズで、オーディオの音がかき消されてしまうくらいだ。
しかし、価格を上げてまで、その対策をする必要は、少なくとも今のZにはないと考える。性能がピカピカに磨かれていなくても、多くのファンは、その登場を待ち望んでいるだろう。
「頑張れば手が届くスポーツカー」こそZの存在意義
2007年に発売された現行型フェアレディZ。今年で生誕50周年を迎えた「Z」にとって、新型は期待の、そして歴史の新たな1ページを刻むモデルとなる
初代Zは、日産が「3万ドル以下で誰でも買えるスポーツカーを作ろう」という意気込みでつくったクルマだ。現行Z34に至るまで、日産はこの「3万ドル以下」の縛りをずっと続けている。
実際に、日産USのホームページには、ベース車両の価格は30,090ドルと書かれている(※日本市場だと約398万円~)。
日産が「フェアレディZ」を作り続ける理由は、頑張れば手の届くスポーツモデルを売っているメーカーであると認知してもらうことである、と筆者は考える。
2019年5月に復活をしたA90スープラは約5万ドル~(※日本市場だと490万円~)と高価格だった。だからなおさら、「3万ドル以下」というコンセプトは活きる。
古くからのファン、そして新しく顧客になってくれそうな若い世代にNISSANというブランドを認知してもらう、「Z」はこういった役割を担っていると思う。
◆ ◆ ◆
「速さ」のために新技術をつぎ込めるGT-Rとは育ちが違い、フェアレディZはコストへの制約が特に厳しい。高い目標性能(ポルシェ ケイマンやボクスター)に対し、限られた開発予算の中で、最大限の性能を絞り出すのは、厳しいことである。
しかし、日産のなかにはZやGT-Rのようなスポーツカーが作りたくて入社したエンジニアがたくさんいる。Zを待ち望むファンのため、そしてなにより、日産のプライドにかけて、Zを作り続けていってほしい。
動画の最後に早映しで画面に現れた「Z」の文字。新生日産の船出とともに、名門スポーツも新たなスタートを切る
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