■ルノーが欧州、ロシア、アフリカ。FCAは北米と南米市場なのでカニバリしない?
コネクテッドやシェアリング、そして自動運転に電動化などなど、これまでのビジネスモデルを変えていかなくては生き残れないともいわれている自動車業界。各社の決算を眺めてみても変動の時代を感じさせるわけですが、2019年5月27日に大きな発表がありました。それはFCA(フィアット・クライスラー)がルノーに対して、対等で持ち株会社を設立しての経営統合を提案したというものです。ルノー単体とFCAの規模を比べると対等での経営統合というのはルノーに美味しい部分もありますが、ルノー傘下の日産や三菱自を加えるとFCAのほうに旨味があるという、それぞれの利害が複雑に絡みあう提案といえます。現時点ではFCAは日産や三菱自とは関係なく、ルノーとだけ交渉するというスタンスなのも欧州メーカー同士のこわさを感じさせるのではないでしょうか。
こうした交渉については「提案した」、「検討している」という程度のシンプルな発表しかないのが常ですが、今回はFCAからの提案について、かなり詳細に公開されています。たとえば持ち株会社を置くのはオランダであったり、それぞれの本拠地であるミラノ、パリ、ニューヨークの証券市場に上場したりといった内容も含まれています。もちろん、経営統合することによるメリットもいくつも記されています。FCAはGoogle(アルファベット)傘下のWaymoと共同で自動運転技術を開発しているので、その技術をルノーのEV技術と合わせることで新しい価値を生み出せるであろうということも書かれていますし、また両グループのアライアンス効果により、年間50億ユーロものコスト効果を生むとされています。
さらに販売面においても、ルノーが欧州、ロシア、アフリカ、中東で強く、FCAは北米、南米で強いので共存できること。そのため工場の閉鎖などは考慮しなくてよいだろうということも記されているのです。フィアットが本体といえるFCAですが「欧州はルノーに任せますよ」というスタンスは、この経営統合への強い意思を感じさせます。しかしながら、北米はFCAに任せてほしいという主張が感じられることは日産としては気になる部分といえるでしょう。2018年度の決算では非常に厳しい数字だった日産は、その回復の足掛かりとして北米市場での売り上げを伸ばすことを掲げているからです。
現在、交渉中というFCAとルノーの経営統合については一年を目途に結論を出すともいわれていますが、交渉の結果として経営統合が選ばれたときには、日産とFCAが北米市場でお互いに食い合いをしてしまうことを避ける方向に向かうと考えられます。そのときに、どちらが手を引くことになるのかはじっくりと考えずとも結論は出ることでしょう。なお、FCAが発表した内容を見ると、このご時世にもかかわらず中国市場については言及されていません。そこは日産の担当として残しておくというニュアンスを感じとることもできるといえそうです。三菱自については東南アジアで確固たる地位を固めているのは知られていますから、日系の自動車メーカーはアジア方面を担当するといったことになるのかどうか。議論の途中段階で正確な情報が洩れてくることはないでしょうが、FCAとルノーが話し合った結論次第で、日産や三菱自の経営戦略に大きな影響が出てくることは必至といえそうです。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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