現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 100%EV化に向けた「目標の調整」イコール「EV失速」は早とちり! ボルボの目標は揺るがない

ここから本文です

100%EV化に向けた「目標の調整」イコール「EV失速」は早とちり! ボルボの目標は揺るがない

掲載 58
100%EV化に向けた「目標の調整」イコール「EV失速」は早とちり! ボルボの目標は揺るがない

2030年までの歩みが少しだけ変化する「調整」

目下完全なるEVメーカーに変貌を遂げるべく邁進していたボルボ・カーズが、EVに対する市況の変化を鑑みて、そのロードマップを修正してきた。

ボルボ、「EX30」を発表!272ps、559万円のRWDから発売開始。立体駐車場に入る全高1,550mm

9月6日にボルボ・カーズから発表された内容では、2040年までに温室効果ガス排出量をネットゼロにするという当初の目標に変化はなく、完全なEVメーカーになる目標も据え置かれた。では何が変わったのかというと、「2030年までに新車のラインアップをすべてEVにする」という中期目標に変化がみられたのだ。

電動化における業界リーダーとしての立場を維持する一方で、市場環境や需要の変化により、電動化の目標の「調整」を決定したというのだ。目標の「修正」ではなく、「調整」という言葉を使っていることからもわかる通り、到達すべきゴールは変わっていない。そこまでのロードマップがやや変化したわけだ。具体的には、完全なEV化の早期実現をやや後ろ倒しにすることで、既存顧客の代替需要に応えつつ、先進的なEVを求める向きにもしっかりと応えられるラインアップを2030年までは保持するように、調整がなされるのだという。

この調整によって、2030年にラインアップの100%EV化を目指していたところから、世界販売台数の90~100%を電動化車両とするように目標が変化した。電動化車両が意味するところは、EVとプラグインハイブリッドモデルの組み合わせで目標達成を目指すということだ。

そして、残りの10~0%に関しては、必要に応じて限られた数のマイルドハイブリッドモデルを販売できるようにするとボルボ・カーズは説明している。

現在のところ、2025年までには電動化モデルの割合は50~60%になるとボルボ・カーズは推測している。2024年第2四半期にはEVのブランド内シェアが26%に達し、ほかのプレミアムブランドと比べても高いシェアとなっている。さらに、EVとプラグインハイブリッド車を含む電動化車両のシェアは48%と、極めて高い値を示していることが、この目標数値の根拠といえそうだ。

これによりボルボ・カーズは、完全な電動化という長期的な目標には引き続きコミットし、長期的な投資計画と製品戦略は依然としてEVに向けたものになると説明。目標の調整は、資本支出計画に重大な影響を与えることはないと予想している。

プラグイン・ハイブリッド車とマイルドハイブリッド車の開発を継続し、完全な電動化の未来に向けた強力な橋渡しとなるバランスの取れたポートフォリオを提供するとし、EVへの過渡期において、顧客のスムーズな電動車両への移行をサポートする姿勢を明らかにしている。

企業の自助努力だけでは成し得ない未来

一方で、ボルボ・カーズが調整を余儀なくされた要因として、充電インフラの整備が予想以上に遅れていること、一部の市場で政府の優遇措置が打ち切られたこと、さまざまな市場でEVに対する関税が導入され始めていることなど、不確実性が増していることを挙げている。これは、企業努力だけではなし得ることができない。カーボンニュートラル社会の実現に向けて、社会に一石を投じる発言ともとれる。

ボルボ・カーズCEOのジム・ローワン氏は次のように結んでいる。

「ボルボ・カーズの未来は電動化であるという信念は揺るぎません。電動化車両は優れたドライビング体験を提供し、カスタマー・エクスペリエンス全体を向上させる先進技術を活用する可能性を高めます。しかし、電動化への移行が直線的なものでないことは明らかであり、お客様と市場への受け入れスピードはそれぞれ異なっています。私たちは、電動化とサステナビリティに関して業界をリードする立場を維持しつつ、現実的で柔軟な姿勢で対応していきます」

これまでボルボ・カーズは日本未導入モデルもあるが、EX40、EC40、EX30、EM90、EX90という5つのEVを発売してきた。ことEX30に関しては現在欧州で3番目に売れているEVだという。プラグインハイブリッドモデルも好調で、同ジャンルにおいてXC60は欧州でセールストップを記録している。

ボルボ・カーズの現状ラインアップに対し、市場は好意的に見ているからこそ好調なセールスを記録しているわけで、今回の調整を一部メディアではこれをもって「EV失速」とまくしたてる向きもあるが、どの業種・製品であっても目標到達まで紆余曲折はあるわけで、3歩進んで2歩下がることぐらいはいくらでもあり得る。だから決して失速ではなく、市況変化に柔軟に対処した調整であり、2040年に完全なるEVメーカーになるという当初目標は決して揺らいではいないのだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

2030年までに電気自動車だけにするのは到底ムリ! ベントレーが「ビヨンド100戦略」を見直し…2026年には初のBEVを投入予定
2030年までに電気自動車だけにするのは到底ムリ! ベントレーが「ビヨンド100戦略」を見直し…2026年には初のBEVを投入予定
Auto Messe Web
自分のEVが積んでる「電池のメーカー」がわからない! 最近自動車メーカーが「バッテリーのサプライヤー」を公表しないワケ
自分のEVが積んでる「電池のメーカー」がわからない! 最近自動車メーカーが「バッテリーのサプライヤー」を公表しないワケ
THE EV TIMES
【業界に激震!】 日産、厳しい状況に陥った背景と未来への道筋 「苦境に必要なのは夢を語ること」
【業界に激震!】 日産、厳しい状況に陥った背景と未来への道筋 「苦境に必要なのは夢を語ること」
AUTOCAR JAPAN
ボルボEX30が「2024~2025日本自動車殿堂 インポートカーオブザイヤー」受賞! その選定理由とは?
ボルボEX30が「2024~2025日本自動車殿堂 インポートカーオブザイヤー」受賞! その選定理由とは?
THE EV TIMES
マンション住まいだから自宅で充電できない! そんな人でもEVを選ぶ価値は十分にあるとEVオーナーが語るワケ
マンション住まいだから自宅で充電できない! そんな人でもEVを選ぶ価値は十分にあるとEVオーナーが語るワケ
THE EV TIMES
崖っぷちの英国自動車業界に「希望」がある理由 日本も無関係ではなかった
崖っぷちの英国自動車業界に「希望」がある理由 日本も無関係ではなかった
AUTOCAR JAPAN
日産9000人削減の衝撃! ゴーン前会長が残した3つの“負の遺産”とは何か? 「ルノー支配」「販売偏重」のツケが招いた辛らつ現実を再考する
日産9000人削減の衝撃! ゴーン前会長が残した3つの“負の遺産”とは何か? 「ルノー支配」「販売偏重」のツケが招いた辛らつ現実を再考する
Merkmal
日産9000人削減はまだ甘い? 本場「ドイツ」も大失職時代へ! 35年までに「19万人」雇用喪失という現実、残された希望は何か?
日産9000人削減はまだ甘い? 本場「ドイツ」も大失職時代へ! 35年までに「19万人」雇用喪失という現実、残された希望は何か?
Merkmal
電動化の勢いが止まらない! ホンダが電動二輪車のコンセプトモデル「EV Fun Concept」&「EV Urban Concept」を発表
電動化の勢いが止まらない! ホンダが電動二輪車のコンセプトモデル「EV Fun Concept」&「EV Urban Concept」を発表
THE EV TIMES
基本EVだけど電欠しそうになったらエンジンで発電! 一時話題になった「レンジエクステンダー」はなぜ消えたのか?
基本EVだけど電欠しそうになったらエンジンで発電! 一時話題になった「レンジエクステンダー」はなぜ消えたのか?
THE EV TIMES
「ラグジュアリーアーバンSUV」2026年発表へ、ベントレーが描く2030年の姿とは
「ラグジュアリーアーバンSUV」2026年発表へ、ベントレーが描く2030年の姿とは
レスポンス
「期待してるぜ!」マツダの新型エンジン「SKYACTIV-Z」発表に、驚きと不安混じるSNSの声
「期待してるぜ!」マツダの新型エンジン「SKYACTIV-Z」発表に、驚きと不安混じるSNSの声
レスポンス
BYDが着実に日本に浸透! 第3弾として導入された「シール」は圧倒的にお買い得だった
BYDが着実に日本に浸透! 第3弾として導入された「シール」は圧倒的にお買い得だった
THE EV TIMES
WRC、来季Rally1車両のハイブリッド廃止が正式決定。FIA「もはや最善策ではない」と判断
WRC、来季Rally1車両のハイブリッド廃止が正式決定。FIA「もはや最善策ではない」と判断
motorsport.com 日本版
もっとも長く走れるモデルは東京から青森までノンストップ! いま日本で買える航続距離が長い電気自動車TOP10
もっとも長く走れるモデルは東京から青森までノンストップ! いま日本で買える航続距離が長い電気自動車TOP10
THE EV TIMES
欧州の新世代ユーザーは「未知のブランド」も恐れない?──パリ・モーターショー2024<外国車編>【Movie】
欧州の新世代ユーザーは「未知のブランド」も恐れない?──パリ・モーターショー2024<外国車編>【Movie】
くるくら
なぜ日本人はBEVを買わないのか? 世界で乗用車新車販売比率18%だけど日本だと1.8%な理由
なぜ日本人はBEVを買わないのか? 世界で乗用車新車販売比率18%だけど日本だと1.8%な理由
ベストカーWeb
ジャガーが次世代モデル、12月2日発表へ 新時代の到来 電動「4ドアGT」コンセプトか
ジャガーが次世代モデル、12月2日発表へ 新時代の到来 電動「4ドアGT」コンセプトか
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

58件
  • ham
    × ボルボの目標
    〇 EV信者が思い込むボルボの目標

    結局ユーザー次第
    カルト宗教EV教に騙されていた消費者が多かった頃はEV全振りと発表して歓心を買い
    騙されていた事を悟った消費者が増えればそれに対応する未来を示す
  • h_s********
    BEVの販売の加速度が落ちたんだから、失速であってるでしょ?

    で、販売台数が増えても加速って言わないのか?

    販売台数の増加率が増えれば加速、拡大
    販売台数の増加率が減っても失速では無い!

    って、なんなん?

    もう中韓の訳分からない奴らと同じやね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

559.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

468.0499.0万円

中古車を検索
EX30の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

559.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

468.0499.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村