現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 屋根は「開けるか」「閉めるか」速いのはドッチ? オープンカーの謎に決着!

ここから本文です

屋根は「開けるか」「閉めるか」速いのはドッチ? オープンカーの謎に決着!

掲載 更新 7
屋根は「開けるか」「閉めるか」速いのはドッチ? オープンカーの謎に決着!

競技種別やセッティングによって どっちが速いかは諸説あり!?

 オープンカー論争のなかで、屋根を開けて走るのが速いのか、それとも閉めて走るほうが速いのか、度々、論争が繰り広げられることがある。空力なのか? 重量バランスなのか? 今回は、果たしてそれらが走りにどのように影響するのかを分析してみた。

なぜ「ロードスター」なのか? ドラテク鍛錬車で「いの一番」に名前が挙がるワケ

 また、各サーキットや競技によっては「オープンカー規定」なるものもあって、条件によっては、走れる/走れない に分かれたりもするので、そのあたりについても後ほど触れてみたいと思う。

サーキットで人気のオープンカーってどんな車種?

 運転手や助手席の搭乗者と、空の間になにも遮るものがないオープンカー。一度乗ると、その爽快さや開放感に溢れた感覚に感動して、虜になってしまう人も多い。太陽の暖かさ、顔やカラダに直接あたる風、草木の香り……、屋根が閉まっていてはなかなか感じることのない心地よい刺激がオープンカーなら味わえる。

 そんなに気持ちがイイのなら、全員にオープンカーをススメたいところではある。しかし、屋根をしまう(トランクなどの)スペースのことを考えると、たいてい2人乗りだったり、室内のスペースが極端にせまいことやオープン時はトランクに屋根が収納されるので、トランクに荷物が積めなくなってしまうなど普通のクルマにはない問題があるのも事実だ。

 こうなると家族で同時に乗ることができないし、数日かけてドライブ旅行に出かける際にはスーツケースが積めなかったり。ユーティリティに関しては少々不便であることを理由に、所有できる人を選んでしまうのも、オープンカーの特徴だったりもする。

 さて、オープンカーですぐに思い浮かぶのが、マツダのロードスターだろう。初代のNA系が誕生したのが1989年。ライトウエイトスポーツカーとして人気を博し、それ以降、国内ではオープンカーの代名詞のように慕われてきた。2代目がNB系、3代目がNC系、そして現行の4代目はND系である。いずれの世代のロードスターも身近なスポーツカーの一台として、サーキットやジムカーナなどモータースポーツの現場でもいまもなお多く見られる車種だ。

 モータースポーツで人気のオープンカーにはロードスター以外にも、軽自動車だとコペンやS660、そしてビートにカプチーノ、国産ではS2000、MR-S、輸入車系では、ポルシェボクスター、BMW Z4/Z3、ロータスエリーゼ、アバルト124スパイダーなどが挙げられる。

ロードスターだと「筑波TC2000」で1秒近く違うことも

 さて、オープンカーで屋根を開けた時と閉めている時、サーキットではどちらが速いのか? ロードスターに詳しい東京都町田市にある「TCR JAPAN(ロードスター専門ショップ)」の加藤彰彬代表に聞いてみた。加藤さんは、ロードスターのパーティレースで数え切れないほど優勝し、シリーズチャンピオンにも輝いたこともあるレーシングドライバーでもある。

 加藤さんは「文句なしに屋根は閉めたほうが速いです」と即答。「筑波サーキットのような比較的短いサーキットであっても0.7秒ぐらいの違いは出ます」とのこと。あらためて検証するまでもなく、ロードスター乗りの間ではすでにデータとして明らかになっていたのだ。

 この1秒近い差は何なのか? 屋根を閉めた状態で重量物が上にあったとしても、屋根を開けた状態よりも明らかに「空力」が優れているからだという。走行中の空気は、前方よりバンパー→ボンネット→フロントガラスに沿って流れるが、フロントガラス直後で室内に巻き込むように乱気流が発生し、車体にブレーキがかかってしまうのが原因とのこと。

 これはロードスターに限ったことではなく、ダイハツのコペンなどでも同様で、ストレートの長いスピード(100km/h)の出るコース(サーキット)であれば、もし、操縦性が悪くなったとしても、閉めたほうが断然に速い傾向にあることは間違いないようだ。

「オープン派」「クローズ派」どちらもいるジムカーナ

 速度の出るサーキットでは屋根を閉めて走るほうが断然に速いということが分かったが、ジムカーナのようなスピードが低く設定されている競技ではどうだろうか。

 前出TCR JAPANの加藤さんは「ジムカーナでは屋根を開けたほうが操縦性は良いと思いますが、セッティングによりけりだと思います」とコメント。スピードがあまり出ない競技では「オープン」でも「クローズ」でも大きな差にはならないようだ。

 一方、昨年、全日本ジムカーナにコペンで出場したダイハツ工業の殿村さん(というより選手)にも聞いてみた。「サーキットでも筑波TC1000のようなミニコースでは屋根の開閉でのタイム差はほとんどありません。屋根を開けたときに感じるのは、ボディ剛性が少し弱まり、コーナーで曲がりやすくなります」。

 さらにコペンに関していうと、屋根を開けたほうが前後の重量配分が50:50に近づくことも特筆すべき点だそうで、そして、屋根が上からトランクに収納されることで重心が下がり、先述したボディ剛性とのマッチングで曲がりやすい&運転しやすいと殿村選手は感じているようだ。

「ジムカーナ競技ではコペンとロードスターが同じクラスになるのですが、ロードスター勢は6~7割の選手が屋根を閉めて走っていますね。少なくともジムカーナでは、せっかくオープンカーなのに屋根を閉めて走るなんてもったいない(笑)と思っちゃいます」と話す殿村選手だった。

サーキットの「オープンカー規定」について

 最後に、オープンカーでサーキットを走る場合や競技に出場する場合。それぞれの規則で「オープンカー規定」があるので、事前に調査したり、場合によっては必要なものを用意しておかないと走行会あるいは競技に出場できなくなるので注意が必要だ。

 ズバリ申し上げると、もっとも厳しいケースになると、オープンカーは4点式以上のロールケージが装着されていないと走行できないサーキットもあるということ。逆のケースでは、フルフェイスヘルメットを前提に幌以上を装着していれば走れる走行会もある。

 いずれにしても、オープン状態で走ることは、ドライバーの頭部がむき出しになってしまうので、横転時に守るものが何もなく非常に危険であるということ。主催者によって推奨や義務などの見解が分かれるが、オープンカーが走れる条件を抜き出すと以下のような項目が挙げられる。

◆屋根は必ず閉めること(幌以上)◆ハードトップが望ましい◆フルフェイスヘルメットを被ること◆4点式のシートベルトが必要◆純正電動ハードトップのクローズ状態はオープンカーと見なさない◆屋根を開けて走る場合は4点式以上のロールケージが必要◆屋根を閉めても4点式以上のロールケージが必要

 以上のように、サーキットや主催によってオープンカー規定が違う。不明点があれば事前に問い合わせるのが間違いがない。

こんな記事も読まれています

次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
ベストカーWeb
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
AUTOSPORT web
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
AUTOSPORT web
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
ベストカーWeb
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス

みんなのコメント

7件
  • 屋根の開け閉めのスピードの話かと思ったw
  • それ以前に、オープンにして走っている人がなんて少ないのだろう、といつも思う。
    せっかくのオープンなのに、道行く車は閉じている車ばかり
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村