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「コンピュータチューニング」を創造し確立したMine’s「新倉通蔵」代表のこだわり

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「コンピュータチューニング」を創造し確立したMine’s「新倉通蔵」代表のこだわり

マインズVX-ROMが新世代チューンを提案 未来を見据えた拘りでGT-Rの走りを変える

日産・スカイラインGT-R(R32~R34型)が現役だった当時は、チューニング全盛期。その中でユーザーの心を掴み、一世を風靡したパーツが今、どのように進化しているのか。その歴史とこだわりについて探る。 自動車のコンピュータに手を加える、という概念をイチから作り出した逸品。新倉通蔵代表にお話を伺った。今回、GT-Rマガジン133号で紹介した『マインズVX-ROM』について振り返ってみたい。

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『マインズVX-ROM』はスカイラインGT-Rと共に歩んできたといっても、決して大袈裟な話ではない。 BNR32型スカイラインGT-Rの現役時代には、多くのチューニングユーザーの中で、”コンピュータチューン=マインズ”というイメージを確立させた。

「実はR31型スカイラインのGTSやGTS-Rが始まりなんですよ。当時はまだ追加コンピュータが主流の時代でした。メインのコンピュータはブラックボックスであり、自動車メーカーだけが触れる領域。チューナーは手が出せない、出してはいけないものでしたね。しかし、GTS-Rのチューニングを進めていくうちに、ココをいじらない限り、パーフェクトなチューニングにはならない。フューエルカットをコントロールすると点火時期が変化するなどの弊害が出てしまう。チューン”アップ”ということに対して、納得できなくなっていたのです」。

「昔からシンプルでスマートなクルマ作りが好きだった」という新倉代表。「マインズ」では最近、日産ノートNISMOやマーチNISMOなどのホットハッチ系にも着手している。

新倉通蔵代表は当時を振り返る。クルマが好きで始めた仕事。自動車メーカーを越えるのはおこがましいけれど、メーカーができないことをやって行きたいという想いから、パーフェクトな結果が出ないことが許せなかった。そして、今後はコンピュータのチューニングが必要だ、ブラックボックスを味方につけようという考えに至った。

「大々的に広まったのはBNR32(R32型スカイラインGT-R)ですね。ほかにもコンピュータに手を出すメーカーやショップが増えましたが、なかでも先駆者的な部分はあったと思います。ロム(ROM)ひとつで谷田部やサーキットに出向きました。コンピュータだけで500㎰を出せるわけではないけれど、スマートでシンプルなクルマ作りをしたんです。見た目はステッカーでカッコつける程度。それが評判になったんですよね」。

それまでのチューニングは大掛かりで泥臭い部分があった。その中で「マインズ」は異色な存在。それでも筑波サーキットのラップタイムは1分を切り、最高速では300km/h弱まで叩き出す。いつしかマインズ=常勝軍団というイメージが定着し、VX-ROMの存在が世間に幅広く認知されるようになったのだ。

「吊るしのクルマを自分だけのモノにしたいというユーザーが多かった。大掛かりなチューニングはしたくないけど、タイヤ&ホイールと同様に、 ROMチューンならやってみよう、という雰囲気になりました。そこでVX-ROMは独走したんだと思います」

BNR32で筑波サーキットのラップタイムで1分切りを目指した。最高速でも300km/h目前まで迫り、”速さのマインズ”を印象付けた。

かつて「マインズのコンピュータは吊るし。個々に作る現車合わせが偉い」という風評が流れた。しかし、それはマインズを知らない人が流した、根拠のないウワサだったのである。

「ROMチューンするにあたり、ひたすらデータを収集しました。マフラーやエアクリーナーなどセッティングにはいろいろな要因が絡んでくるからです。そして、この組み合わせならこのセッティング、というように同じクルマでも個体差がある。データ収集でそれを知り尽くした手法ならば、現車合わせは決して必要ではなかった。コンピュータには自動対応機能みたいなものが存在します。エアフロメーターがどういう状況でどれくらい燃料を出すのか、ノッキングが出たら遅角するとか。そこまでイジってしまわない限り、大丈夫という自信がありましたね」。

なるほど、現車を見ずともクルマの仕様さえ知れば、豊富なデータと照らし合わせてベストなセッティングを提供できたというワケだ。

パワー競争の時代に突入したBCNR33型スカイラインGT-Rも他のチューニングカーとは一線を画す作りを目指した。あくまでもシンプルに速さを求めた、それが「マインズ」の答えだった。

マインズの味付けは尖ったところがない。ノーマルの良さは崩さず、全体的にアップグレードする。速いけれど下がない(低回転域のパワー&トルク不足)、速いけれど燃費が悪いなど、「けれど」という言葉が出ないように作るのがマインズらしさ、と新倉氏。 「仕事を続けていくうちに、マインズらしさというものはユーザーであったり周囲の人たちが形作ってくれました。これは宝ですね」

馬力競争になった時もマインズはそれらとは一線を画した。何が流行ろうと我が道を行く。例えば、デモカーにはGTウイングを付けないとか、レイアウトの変わるシングルターボは使わないなど、クルマ作りにおいてもブレなかった。

2001年にBNR34型スカイラインGT-Rによって筑波サーキットで57秒746を叩き出した。多くを語らずに結果を出す。新倉氏、そして「マインズ」が支持されるカッコよさはここにある。

チューニングにパーフェクトを求める新倉氏は、ロムチューンにおいて、もうひとつ、絶対のこだわりがある。これは長いVX-ROMの歴史の中で初めて明かされる事実だ。

「それはロム本体です。マインズでは自動車用のJ品番というものを使っています。詳細は明かされていないですが、温度特性のレンジが広かったり、耐震対策であったりとか、A級グレードだと考えていただければいいと思います。自動車メーカーが使っているものと同じ。高価で手に入りにくいけど、安定度などでメリットがあるんですよね。」 メーカーと契約すると、そのロムは一般に出回らなくなり手に入りづらい。しかし長年もの間、コンピュータに携わることで、この先どういう流れになるかを予測し、先取りで入手する。そこまでしてパーフェクトを目指すのだ。

他メーカーと比べて見た目には変わらないが、品番の最後に「J」の文字が入っているのがいわゆるJ品番を使用。手に入りにくいアイテムだが、「マインズ」のROMはすべてこれを使っている。

「一番大切なのは感性だと思います。また、言葉がなくてもGT‐Rらしさ、マインズらしさはある。そこはブレてはいけないと思っていますね」。 変わらないことの偉大さをVX-ROMは教えてくれた。

マインズ http://www.mines-wave.com/

(レポート:GT-Rマガジン編集部)

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