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クルマ屋の造ったEVとニューカマーの創ったEV ベンチマークを比較試乗 VW ID.4/テスラ・モデルY

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クルマ屋の造ったEVとニューカマーの創ったEV ベンチマークを比較試乗 VW ID.4/テスラ・モデルY

ベンチマークという存在意義

テスラ・モデルY(ロングレンジ)とフォルクスワーゲンID.4(ライト)のそれぞれ最新モデルを一般公道で乗り比べてみた。すると「ベンチマーク」というキーワードが頭に浮かんだ。

【画像】比較試乗したテスラ・モデルYとフォルクスワーゲンID.4の写真を見る 全94枚

ベンチマークとは、測量での水準点のことだが、一般的には様々な比較をする際の基準といった意味合いで使われる。

自動車産業界では、クルマのカテゴリー毎にベンチマークがあり、自動車メーカーが新車開発を行う場合にベンチマークを含めた複数の他社モデルを購入する。実験担当部署がテストコース/高速道路/一般道で比較走行をするのだ。

そんなベンチマークという観点で見れば、モデルYは当然、EVのべンチマークだ。EVといってもいまや、軽自動車から数千万円級のプレミアムモデルまで様々なEVがグローバルで販売されているが、それら全てのEVの中で、モデルYはベンチマークと言える存在だと言える。

さらに言えば、EVに限らず、いわゆる次世代車という括りでも、モデルYはベンチマークという印象を持った。なぜならば、モデルYは2023年に「世界で最も売れた自動車」だからだ。まさにベンチマークである。

常識破り

テスラのグローバル生産台数は184万5985台。販売は180万8581台。

このうち「モデル3」と「モデルY」の生産台数はあわせて177万5159台(販売173万9707台)で、残り7万826台(6万8874台)が「モデルS」と「モデルX」さらに少量ながら「サイバートラック」という構成である。

このうち、モデルYだけの販売数は約120万台となり、これはピックアップトラックのフォード「Fシリーズ」や、トヨタ「カローラ」などを抜いて世界第一位となった。

では、なぜモデルYはそんなに売れているのか?

今回、最新モデルに試乗して改めて感じたモデルYの魅力とは「これまでもクルマは本当にいろいろなことが大きく違う」という点だ。

モデル3も同様だが、モデルYのドアを開けて室内に入ると、他社にはないような大型ディスプレイがダッシュボード中央に位置し、一般的な操作系のスイッチ類がない。

テスラオーナーにとってはお馴染みの光景だが、初めてテスラに触れる人にとっては違和感があるほど、大きな違いだ。

最新型モデルYではナビゲーションの利便性が上がった。例えば、目的地検索の結果の中でスーパーチャージャー(テスラ社の急速充電設備)の位置や充電に対するアドバイスがすぐに出てくるのが心強い。

圧倒的な走りの違い

走り出してすぐに感じたのは、雑味がなくなったことだ。

クルマの乗り心地とハンドリングの指標である、NVH(ノイズ「音」/バイブレーション「振動」/ハーシュネス「路面からの突き上げ」)において高性能であると感じる。尚今回の試乗ではスタッドレスタイヤを装着していて、これだけの高評価であることを付け加えておく。

NVH性能が上がったことで、モデルYの設計思想がしっかりとドライバーに伝わってくるようになった。

具体的には、ハンドルが旋回するためのスイッチであり、旋回はモーターが司るといった感じで動く。加速モードを「コンフォート」から「標準」に変えて有料道路の合流で加速すると、相変わらず「かなり速い」と感じる。

ステアリングモードを「コンフォート」/「標準」/「スポーツ」と順に使い分けると、旋回するためのスイッチとしての存在感が増していく。

回生ブレーキ力も強く、コーナーが続く状況だと、クルマの「張りの強さ」を痛感する。こうした走行感を持つクルマが、今や世界売上第一位となった時代。

これがEVに限らず、クルマのベンチマークとなったわけだから、従来の自動車メーカーとしては、新車開発に対してかなり頭を切り替えてクルマと接する必要があると思う。

クルマ屋が造ったEVベンチマーク

モデルYの走行感をベンチマークとして、ID.4に乗ると「従来のクルマがEVに進化した」といった印象を持つ。

そうはいっても、ID.4はEV専用プラットフォームによって開発されたものである。市場には、従来の内燃機関車をEV化したモデルも多数存在している。

その上で、ID.4のインテリアの発想、そしてクルマの挙動は確かにEVなのだが、モデルYとは設計思想が全く違うと感じる。言うなれば「クルマ屋が作るEV」という印象だ。サスペンションがしっかり動いて、そこにモーターがアシストして旋回していく。モデルYとは動きの質感が明らかに違う。

長きに渡って熟成させたフォルクスワーゲンのクルマ作りをEVに活かしているのがよく分かる。これまでフォルクスワーゲンは「ゴルフ」を筆頭に、グローバルカーのベンチマークと位置付けられてきた。その立ち位置をEVではID.シリーズが担う。

このように、ひとことで最新型EVといっても、モデルYとID.4では開発思想が違い、その違いをユーザーはダイレクトに実感できる。ユーザーがどちらを選ぶかは、それぞれのユーザーのクルマに対する考え方や捉え方によって違いが出てくると感じた今回の比較試乗であった。

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みんなのコメント

7件
  • *******
    全く売れない日本のEVは今更テスラをベンチマークとして開発してるが遅過ぎて遅過ぎてあくびが出ちゃう
    どうせ今年も日本EVは売れないのは分かってる
    全固体出しても売れない
    なぜか?相変わらずガソリン車の延長でしか物事を考えられない時代遅れな車作りをしてるから
  • ********
    ★★★★☆ って奴の正体って、
    食糞族のトンスラーなんでしょ?🤣
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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