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豪華絢爛なSUVを自ら操る意味とは?──新型メルセデス・マイバッハGLS試乗記

掲載 更新 2
豪華絢爛なSUVを自ら操る意味とは?──新型メルセデス・マイバッハGLS試乗記

日本に上陸した新型メルセデス・マイバッハ「GLS600 4マティック」を小川フミオがテストドライブ。超豪華SUVの印象は?

快適すぎるリアシート

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メルセデスの最高級ブランド、メルセデス・マイバッハが、やはり最高級のSUV「メルセデス・マイバッハGLS600 4マティック」を発表。2021年7月1日より日本での販売が始まった。リムジンというと、セダン、あるいは昨今はミニバンが定番だったところにもってきて、SUVのリムジンがあってもいいのでは? という提案だ。

全長5205mm、ホイールベース3135mmのボディは、威風堂々というか、かなりの迫力だ。ベースになっているメルセデス・ベンツGLSでもじゅうぶんな押し出し感だった。GLS600は、さらにフロントのエアダムのクローム加飾をはじめ、各所にクロームパーツがおごられ、華やかさでは上をいっている。

くわえて、インテリアのぜいたくさには、おどろくほど。ドライバーズシートをはじめ前席も、試乗車ではホワイトとシルバーグレーによるオプションのインテリアが装備されていた。それだけで約270万円と豪華だ。着座位置は高めで、クルマを運転しているのに、高級ホテルの高層階で窓際のカウチに座って”下界”を見下ろしているような、ふしぎな錯覚が味わえた。

リアシートは、メルセデス・マイバッハGLS600の最大の見どころだ。いや、買いどころというべきか。GLSでは3列シートが並んでいたところ、2列に変更し、シートを出来るだけ後ろに下げて(120mm)、広いレッグスペースを作りだしている。

後席の「エグゼクティブパワーシート」は、大きくリラクライニングするうえ、左右席のあいだには広いセンターコンソール。

かつ、眼の前には7インチのモニタースクリーンと専用のヘッドセットまで用意される。航空機にいるようなプライベート感たっぷりだ。

とくに助手席の後ろのシートはボタンひとつで、(乗員がいないときは)前席のバックレストが前に倒れるとともに前方にスライド。同時に後席シートのバックレストが大きく後ろに倒れ(43.5度)、足もとからはオットマンが出てくる。

運転席背後のリアシートは、バックレストも同じ角度だけ寝るし、オットマンも出てくる。そこはおなじだ。ただし、シート調節用スイッチを使って、バックレストならバックレストのスイッチを押し続ける必要がある。

もうひとつ驚いたのは、リアハッチゲートを開けて荷室をのぞいてみたら、大きな箱状のものがスペースを占めていたこと。シャンペンのフルボトルが3本収納できるワインクーラーなのだ。後席のアームレストには専用のグラス(キラキラとコーティングされた金属製)が2脚おさまる。

すこし目線をあげれば、天井の内張りまで内装と同色に統一されており、しかもそこにまでナッパレザーが貼られているのだ。さらに、大きなグラスルーフ(一部開閉可能)がはめこまれているので、外気が入ってきて爽快な気分を味わえる。

ゆったり乗りたい

メルセデス・マイバッハGLS600は、「Eアクティブボディコントロール」と名付けたエアサスペンション搭載し、前後左右個別にスプリングレートとダンパーの減衰力のコントロールを行う。

SUVはサスペンションストロークが短くなりがちで、乗り心地にハンデを負うこともある。GLS600ではそれも感じさせない。

それを利用した「マイバッハ」モードをドライブモードにくわえているのも特徴だ。ドライビングのためにフロントサスペンションのダンパーをやや締めつつ、リアのダンパーはコンフォートの設定という組合せなのだ。後席のひとのためにトルクをコントロール(加速時に頭が揺さぶられないよう)、エンジン出力もすこししぼられる。

じっさい、数値は発表されていないものの、けっこうな重量級と感じられるボディだけに、脚まわりの設定はむずかしかったろう。最高出力410kW(558ps)、最大トルク730Nmの3982ccのV型8気筒のパワーにまかせて、「コンフォート」モードのままコーナーにとびこんでいくようなドライビングは向いていない。

ていねいに、かつ早め早めにステアリングホイールを操作することが、この“SUVリムジン”をラインどおりにスムーズに走らせるコツ。まあ、このクルマに興味を持つひとなら、ドライブの楽しさというより、後席の安楽のためにこれを買うのだろうが。

今回は新世代のマイルドハイブリッドシステム(ギア駆動のISG=インテグレーテッドスタータージェネレーター)が装着された。基本的には、走り出しや急加速など、エンジンがいまひとつ得意でない分野をモーターがカバーするシステムだ。

その恩恵は、じつにスムーズな走り出しで感じられる。加えて、ごく短時間にかぎられるものの、今回はISGシステムが250Nmものトルクの積み増しを行うようになったのが注目点だ。

あいにくというべきか、設定は左ハンドルのみ。助手席うしろの特等席へのアプローチは車道側からとなるものの、このクルマを愛用するひとは、そういうちょっとキケンなところでは乗り降りしないかもしれない。

結論的にいうと、本当にリムジンが欲しいひとには、メルセデス・ベンツSクラスのLong(ロングホイールベース車)、あるいはメルセデス・マイバッハのSクラスのほうを勧めたい。乗り心地や乗降性でセダンに如くものはないからだ。それでも、GLS600は目線が高くて、気分がいい。スタイルも迫力がある。

こういうクルマに乗ったら、むしろジェントルにいきたいものだ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

2件
  • この赤色のが町中で走ってるのを早速見かけたが、なんとも感じの悪いオーラを放つクルマだなと思った。
    今どき左ハンドルもバカっぽかったし。
    ふつうのGLSをふつうに乗る方が絶対マシ。
  • その名もマイバッハ会長
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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