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登場10年で苦しむ“高級の入門” レクサス CTの価値と存在意義

掲載 更新 45
登場10年で苦しむ“高級の入門” レクサス CTの価値と存在意義

 2011年、「CT200h」はレクサス初のCセグメントハッチバックとしてデビュー。その当時こそ話題になったが、現在は小型SUVの「UX」などに人気を奪われ、低空飛行が続く。

 10年間でフルモデルチェンジは一度もなく、2度のマイナーチェンジがおこなわれただけのCTは、先進性よりも古さの方が目立ってきた。

国産セダン冬の時代 レクサスが進む道は?

 レクサスにとってCT200hは、どのような意図をもって開発され、現在も販売を続けられているのだろうか。レクサス販売店で営業活動に従事してきた筆者が、CTの価値と存在意義を考える。

文/佐々木亘 写真/LEXUS

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■「セカンドカー需要」を考えたレクサス CTの気配りとは?

エントリーモデル、そしてセカンドカーとしての需要を見込んで登場したのがCTだ

 CTがデビューした2011年当時、LS・GS・RXといったラージサイズのクルマが、レクサスの主力商品だった。比較的コンパクトなIS・HSでも、小さなクルマというイメージは薄い。

 レクサスオーナーは男性が多く、その配偶者が運転するセカンドカーには、欧州メーカーのハッチバックや、国産コンパクトカーが選ばれていた。ファーストカーがレクサスなら、セカンドカーもレクサスにしませんかという営業は、当時ほとんどできていない。

 そこで登場したCTは、エントリーモデル、そしてセカンドカー需要に対して、レクサスが出した答えのひとつだ。特に、女性オーナーへ向けた、細やかな気遣いや心づかいを、表現したクルマになっている。

 筆者が、女性のお客様に対してCTを紹介する際に、必ず伝えていたこだわりの箇所が2つある。

 ひとつは、運転席の位置だ。多くのクルマで運転席の位置は、ボディ前部に寄せてレイアウトされることが多い。これにより、前進時と後退時には、進行方向に対するボディの長さが変わってしまい、より長さを感じる後退時の運転を苦手にする人がいる。

 CTの運転席は、ボディの長さに対して、限りなく真ん中に近づくようレイアウトされた。

 この運転席の位置は、運転席からボディ前端と後端までの距離が、ほとんど同じ長さに見えるようになっており、ボディの大きさを掴みやすくなっている。狭い道での運転やバックでの駐車でも、車両感覚が掴みやすいというわけだ。

 ふたつ目はアウトサイドドアハンドルだ。レクサスでは、ドアハンドルを握り込んで開閉するグリップ式を、多くのクルマで採用している。実は、このドアハンドル内側のくぼみに、CTのこだわりがあるのだ。

 CTのドアハンドル内側のくぼみは、他のレクサス車に比べて、深くなっている。これには、綺麗に整えられた女性の爪が、ドアハンドルを握った際に、ボディと接触するのを防ぐ目的がある。

 他のレクサスとは違う、女性へ向けた気配りを、ラインナップの中で初めて取り入れたクルマがCTだ。こういった気配りは、コンパクトSUVのUXにも引き継がれている。この2点を紹介すると、女性のお客様がCTを興味深そうに見る。それは、CTの隠れた気配りを、もっと探してみたいと思っているようだった。

 装備やスペックに現われない、気遣いのできるCTは日本人が作り出すプレミアムコンパクトにふさわしい。使い心地の良さを感じられるクルマは、世界を見回しても、そう多くはないだろう。

■「想像より大きいな」 実は“コンパクト”ではないCT

室内の広さは後部座席の実用性を保つギリギリの広さに設定されている

 CTは、男性の単身者や、若年層夫婦(子供1人)などからも選ばれる。全長4355mm、全幅1765mmのボディサイズは、後部座席へ人を乗せても、ギリギリ苦しくないレベルだ。

 メルセデスベンツのAクラスや、BMWの1シリーズと同じCセグメントで戦っているわけだが、個人的にはBセグメントで戦うほうが、CTのキャラクターには合っているのではないかと考える。アウディA1やVWポロ程度の、全長4000~4100mm程度のサイズ感がいい。

 4355mmという全長は、日本のコンパクトカーを基準にすると、大きな部類に入る。ショールームでは、来店客から「想像より大きいな」という言葉をよく聞いた。日本国内でのコンパクトカーに対するイメージは、もう少し小さいクルマになるのだろう。

 家族ユースのハッチバックとして使用することもでき、購入ユーザー層への守備範囲は広いのは、現在のCTが持つメリットだ。

 また、全長4300mm台は、欧州市場では人気のサイズ感であり、欧州での人気はまだまだ衰えていない。しかし、サイズと価格に中途半端感があるからか、日本での人気はどんどんと下火になってきている。

 Bセグメントハッチバックにすれば、もう少し車両価格も下がるだろう。今より、小さくて安価なクルマが、日本市場に限っていうと、CTにふさわしいカタチではないだろうか。

■今後のレクサスにとってCTはどうあるべきか

作るのが難しいプレミアムコンパクトだからこそ、レクサスがそれをどう料理するのかを見てみたい

 CTはデビューから10年、フルモデルチェンジは0回だ。フラッグシップカーのLSが11年間フルモデルチェンジをせずに、販売されていたことはあるが、CTはエントリーモデルである点に注目したい。

 エントリーモデルだからこそ、クルマの鮮度は重要なポイントとなる。中身をどれだけ改装しようにも、入り口が古ぼけているところには、足を踏み入れる気が薄れてしまうものだ。CTの鮮度は、レクサス全体のイメージにも関わってくる。

 筆者としては、早急にCTのフルモデルチェンジを望みたい。小さななかに、あれこれと詰め込まなければならないプレミアムコンパクトは、作るのが難しいクルマだ。しかし、今のレクサスがコンパクト市場で何がしたいのか、その答えを10年間聞けていないのは寂しい。

 UXはあくまでもSUVであり、CTの代わりにはなれないだろう。低重心で走行性能を高められるハッチバックを、日本のプレミアムはどう料理するのか、楽しみに待っていたい。

【画像ギャラリー】エントリーモデルだからこそモデルチェンジを!! 登場から10年を迎えるレクサス CTを見る

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みんなのコメント

45件
  • レクサスをプレミアムブランドに育て上げたいのなら
    放置したりGSのように簡単に廃止にするのは良くないよね。
    例え改良をしてるとは言え技術進歩が著しい現代において、
    わかりやすい部分が10年前から殆ど変更されていないまま
    放置してるのには疑問でしか無い。
  • 基本的には2世代前のプリウスを利用して作った高額車
    こんなんでも買ってくれる人がまだいるから放置しているだけでしょう
    車好きからすればこういうレクサス商法が嫌われる原因になっているのだが
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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