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【アルファードとは異なる味つけ】“上級送迎車” トヨタ・グランエースの秘密に迫る

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【アルファードとは異なる味つけ】“上級送迎車” トヨタ・グランエースの秘密に迫る

16ページ目に、やっと運転席

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

【画像】トヨタ・グランエースと、そのキャンピングカー仕様【比べる】 全92枚

photo:Keisuke Maeda(前田恵介)/編集部

昨年開催された東京モーターショーで日本初公開となったトヨタ・グランエース。新興国向けに販売を開始している300系と呼ばれるハイエースをベースにしたフルサイズ・ワゴンであり、車両価格は600万円を超える高級車となっている。

すでにトヨタには高級ミニバンとしてアルファード/ヴェルファイアが存在しているが、それらの車種との差別化はズバリ“上級送迎車”であるということ。アルヴェルはオーナーが主役のハイオーナーカーという側面も持ち合わせているのに対し、グランエースは後部座席に座るゲストが第一と考えるモデルというわけだ。

いうなれば、クラウンとセンチュリーの関係性に近いとでも言えば分かりやすいだろうか。

実際、カタログを見てみても、先に登場するのは後部座席の快適さについての記述であり、運転席については16ページまで読み進めて初めて登場するほどなのである。

運転席にも本革の表皮を使用したパワーシートがおごられているが、後部座席のような凝ったステッチはなく、インパネ周りを見ても全体の雰囲気を壊さない程度に加飾は施されているが、後部座席周辺に比べれば非常にシンプルなものとなっている。

とはいえ、送迎目的ではない一般ユーザーからの問い合わせも思ったより多いということで、今後オーナードライバー向けの仕様が登場する可能性もゼロではなさそうである。

上級送迎車なのに、ディーゼルしかない理由

“高級送迎車”と言うからには静粛性は当然おろそかにできない部分。しかしながら、グランエースは2.8リッター直列4気筒ディーゼル・ターボエンジンのみのラインナップとなっている。騒音面では不利なディーゼル・エンジンのみというのはいささか疑問が残るというもの。

グランエースは従来のハイエースとは異なり、エンジンをフロントのボンネット下に収めているため、大排気量のガソリン・エンジンを搭載するスペースがないのか……と思いきや、新興国向けに販売している300系ハイエースには3.5リッターV型6気筒のガソリン・エンジンの仕様も用意されているのだ。

これについては、ある程度高回転まで回さないとパワーとトルクが出てこないガソリン・エンジンよりも、低回転からトルクがあってスムーズに加速できるディーゼル・エンジンの方が乗り心地に寄与するという観点でディーゼル・エンジンを採用したとのこと。

騒音面については、ダッシュパネルに最適な遮音、吸音材を設定。フロントウインドウにはアコースティック・ガラスを採用し、プレミアムグレードにはスライド・ドアに合わせガラスを採用することで、アルヴェル並みの静粛性を実現したという。

これにより、実際に乗ってみてもアイドリング時と発進時にかすかにディーゼルらしいカラカラ音が聞こえてくる程度で、走り出してしまえばほとんど聞こえてこないレベル。2列目以降に座ってしまえばディーゼル・エンジンであることは感じ取ることができなかった。

上級送迎車なのに、商用車用タイヤを履く理由

次に気になったのが足元だ。グランエースには、高級車らしい堂々としていながら伸びやかな印象のある17インチ・アルミホイールが標準装備されているのだが、そのアルミホイールに組み合わせるタイヤがなんと商用車用(ライトトラック)タイヤなのである。

具体的にはダンロップのSP LT30AとブリヂストンのデュラビスR660Aで、235/60R17というサイズ。このサイズは商用車用タイヤとしてかなり特殊なものであり、トレッドパターンや内部構造、使用する材質などをグランエースに最適化して作られたことは想像に難くない。

トヨタの開発陣に話を聞くと、やはり2740kg(Gグレードは2770kg)という車両重量に加え、多人数乗車が多くなるグランエースだけに、耐荷重性の高い商用車用タイヤをチョイスしたそうだ。もちろん、タイヤの味付けはグランエースのキャラクターに合わせ乗用車用に近いものとなっており、それはタイヤのトレッドパターンをみても一目瞭然だろう。

今後、オーナーカーのグランエースが増えていくにつれ、カスタマイズでインチアップを狙うユーザーも増えてくるだろうが、それに合った商用車用タイヤサイズがないというのが現状。恐らくこれから登場することになるとは思うが、ドレスアップ派のユーザーは注意が必要だろう。

なお、余談ではあるが、ダンロップ、ブリヂストン両メーカーとも、同サイズの商用車用スタッドレス・タイヤをリリースしているので、冬のシーズンでも安心だ。

ハイルーフは? 電動パーキングは? 気になる点を聞いてみた

発表から今年の1月末までの間、“年間”目標販売台数600台のところ、950台ほどの受注を受けたというグランエース。その7割が法人ということだが、東京モーターショー展示時にも多くの一般ユーザーから真剣に購入を考えている旨の問い合わせがあったという。そんな個人ユーザーが気になっているであろう点をいくつか聞いてみた。

まずはモーターショーでも質問があったというハイルーフ仕様について。

実はグランエースはあれだけ巨大なボディを持っているが、300系ハイエースのショートボディ標準ルーフがベースとなっている。現状ハイルーフはロングボディのみとなり、そうなると全長が6m弱となってしまうため、日本国内で乗るには現実的ではない、というのが正直なところ。また、ハイルーフになると全高が2mを超えてしまい、ハイルーフ用の立体駐車場にも入れないというのもネックとなりそうだ。

次にパーキングブレーキが手動式である点。

これによりレーダークルーズコントロールに停止保持機能が備わらないのだが、これは送迎車として使われる際に頻繁に使用する部分なだけに信頼性を重視した結果とのこと。足踏み式にしなかったのは、ベース車にMT仕様が用意されるためである。

とはいえ、グランエースは登場したばかりの新型車。今後は市場の声などに耳を傾け、ユーザーが求める形に応えられるように改良を続けていくとのことなので、個人ユーザーも期待して待ちたいところだ。

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みんなのコメント

6件
  • レクサスLMには防音ガラスが付くが、
    グランエースには防弾ガラスが必要だ。
  • この記者、「上級国民」から「上級送迎車」思いついて得意になってるであろうところが痛い
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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