2020年10月15日、三菱のミッドサイズSUV、エクリプスクロスに待望のPHEVモデルが追加されることが正式に発表となった。
エクリプスクロスのデビューは2018年3月。当初は1.5Lガソリンターボエンジンのみだったが、翌2019年6月、2.2Lディーゼルターボが追加されていた。
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なお、今回のマイナーチェンジでは、PHEVモデルが設定される一方、ディーゼルターボが廃止されている。
トヨタ RAV4を筆頭にライバルひしめくミッドサイズSUVのカテゴリー。その荒波に耐えうるだけの力はあるのか? その実力と魅力を探った。
■ここがエクリプスクロスマイチェンのポイント
・アウトランダーと同じ前後2モーター式PHEVパワートレーンを新設定
・2.2Lディーゼルターボは廃止となった
・ダイナミックシールドをより強調した新デザインのフロントマスク
・ダブルウィンドウのテールゲートからシングルウィンドウに変更し、リアスタイルを一新
・大型モニターを採用するなど、インテリアも上質に進化
【画像ギャラリー】性能を考えると大バーゲン エクリプスクロスPHEVの真価をじっくり写真で検証
※本稿は2020年10月のものです。試乗日:10月7日
文/鈴木直也、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部、撮影/池之平昌信
初出:『ベストカー』 2020年11月26日号
■フロントマスク、リアスタイルともにイメージ一新!
PHEV追加が大きなトピックスなのだが、パッと見てわかるように、フロントマスクのデザインが一新され、シュッと伸びやかでシャープな“顔つき”に変身。
全長が140mm延長されており、これ、ほとんどがフロントオーバーハング。
フロントマスクの変化も大きいが、テールゲートのダブルウィンドウがシングルウィンドウになった新型は、リアビューの変化も大きい
全長は140mm延長され、伸びやかになった印象だ
三菱のファミリーフェイス『ダイナミックシールド』がより強調されたフロントマスクが印象的なのだが、ヘッドライトはバンパー両サイドに埋め込まれたアクセサリーランプ風の部分で、グリルサイドの、通常のヘッドライトの位置にあるのは常時点灯のデイライト。
最上部のヘッドランプ風の部分は常時点灯のデイライト、本当のヘッドライトはこの写真の中央部、バンパー両サイドにレイアウトされている。最下段はフォグランプである
これはデリカD:5やeKクロスなどの手法と同じ。ヘッドライトの下はフォグランプだ。
リアも大きく造形を変更。従来型はテールゲートに垂直部の上部、リアコンビランプを左右につなぐガーニッシュの下部にもガラスエリアを設けたダブルウィンドウだったが、新型は一般的なシングルウィンドウとした。
左右をつなぐ赤いガーニッシュが廃止されたことでリアコンビランプが強調され、スッキリしたリアスタイルに進化した。
●高級感が増したインテリア
インパネデザインは、基本造形に変更はないものの、モニター画面が8インチに大型化されるとともに、エアコン操作パネルのデザインを変更し、上質感が増した。
インテリアでは8インチ大型モニターの採用が大きな変更点。PHEV車は専用シフトノブとなるのが特徴
また、PHEVモデルはシフトノブが専用デザインとなることで、インテリアの印象も全体的に一新された印象。
シートは表皮のデザインが変更されるとともに、ブラック基調のほか、室内が明るく感じるライトグレーのコンビネーションインテリアが追加されたのもポイント。
●パワートレーンはPHEVを中軸に ディーゼルを廃止
冒頭でもお伝えしたように、PHEVが追加された一方、ディーゼルターボを廃止。1.5LガソリンターボとPHEVの2本立てのパワートレーンラインナップとなった。
10月15日に発表となったが発売開始はもうちょっと先の12月から。価格はPHEVが385万~450万円程度、1.5Lガソリンモデルが255万~335万円程度となるとのことだ。
■乗って実感! 三菱の4輪制御技術に感激
(TEXT/編集部)
皆さんはどんな時に「オレはこのクルマを完全にコントロールしてる!」と実感しますか?
やっぱり、勝負はタイヤのグリップが限界に達してからだよね。それも、中速以上のコーナーで上手く4輪ドリフト状態に持ち込めた時。
実際にはそんなにうまくコントロールできることなんて滅多にないんだけど、だからこそ成功すると最高の達成感を得られるんだと思う。
ところが、先日久々にその達成感を味わったんですよ、ワタクシは。
13.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、F:82ps/14.0kgm、R:95ps/19.9kgmのモーターを駆動。高速巡行時はエンジンも駆動に参加
場所は富士スピードウェイのショートコース。路面状況はウェット。そしてクルマは新しいエクリプスクロスPHEV。これが、信じられないくらい素晴らしいハンドリング体験だったのだ。
富士のショートコースだから、スピードはまぁ大したことはないのだけれど、路面がウェットだからズルズルとよく滑る。4WDスポーツモデルだったとしても、細心の注意を要するシチュエーションだ。
ところが、なんの先入観もなくそこをエクリプスクロスPHEVで走り始めてビックリ。
車重が1900kgもあるのに素直にステアリングに追従してターンインするし、そこからパワーを入れてゆくとトラクションを効率よく自動制御し、特に何も意識せずとも4輪がバランスよくグリップ限界に到達する。
そこから先は、コーナーの入り口から出口までずーっと滑らせっぱなしのまま完全にコントロール可能。
毎ラップ毎ラップ同じように滑りをコントロールできるのは本当に快感でした!
PHEVはアウトランダーと共通のシステム
もちろん、これはドライバーの腕がイイわけではなく、三菱の誇るツインモーターAWDと4輪のトラクションを最適化するS-AWCの制御が素晴らしいから。
アウトランダーPHEVで雪道を攻めた時にも感心したけど、エクリプスクロスPHEVのウェットサーキットはさらに素晴らしいものだったのだ。
エンジンは直4、2.4Lガソリン。基本的には発電機を回すための存在なのがPHEVのシステム
世間では今、CO2削減のための環境技術としてPHEVが話題になっているけれど、三菱のPHEVは単なるエコカーから一歩先へ進めて、路面を選ばずに安全かつ楽しく走れるという付加価値が光る。
今回エクリプスクロスに導入されたPHEVのコンポーネンツは、クルマの性格がオンロードを主体とするということで、走行モード切り替えを[ロック←→スポーツ]から[ターマック←→グラベル]に変更したのがひとつの特徴。
ターマックモードはスリップ率を小さめに制御するから、操舵レスポンスやスラローム切り返しなどの挙動でソリッド感が高まる。
こういう小技が楽しめるのもS-AWCの楽しいところだが、システムの開発責任者としておなじみの澤瀬薫さんに言わせると「AYCを入れたらもっとよくなりますよ」とのこと。
現状でもコントロール性や自然なハンドリング感覚はこのカテゴリー随一だと思うけど、さらに発展の余地があるのは大いに楽しみだ。
エントリー385万円からというその価格は、内容を考えると大バーゲンだと思う。
■エクリプスクロスPHEV 主要諸元
・全長×全幅×全高:4545×1805×1685mm
・ホイールベース:2670mm
・最小回転半径:─
・車両重量:─
・エンジン:直列4気筒DOHC、2359cc
・最高出力:128ps/4500rpm
・最大トルク:20.3kgm/4500rpm
・フロントモーター:82ps/14.0kgm
・リアモーター:95ps/19.9kgm
・ハイブリッド燃料消費率(WLTC):─
・EV走行距離(WLTC):─
・駆動用バッテリー:リチウムイオン 300V 13.8kWh
・サスペンション:ストラット/マルチリンク
・タイヤサイズ:225/50R18
・価格:385万~450万円
※数値は認証前のため本誌予測の参考値です
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