ロータスの日本総代理店エルシーアイは2023年9月1日、ロータスで初となる電気自動車の高性能ラグジュアリーSUV「エレトレ」を発表した。
発表会に登壇したロータスカーズの日本・台湾担当寺島正一氏(左)と、エルシーアイの大谷明弘取締役管理部長エルトレは2023年6月にヨーロッパで発表されているが、早くも日本への導入が決定した。今回はイギリス仕様のプロトタイプが展示され、日本市場での先行予約モデルは2024年初頭に、そして通常販売モデルは2024年夏頃が予定されている。
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いうまでもなく従来のロータスは、軽量の2シーターでハンドリング性能を極限まで追求したマニアックなスポーツカー・メーカーとして認知されてきた。だが、現在導入されているエミーラ(2.0L・直4/3.5L・V6エンジン搭載)がエンジンを搭載する最終モデルとされており、今回発表されたエルトレを第1弾として、高性能EVメーカーに成長させる計画を2021年に決定している。
その計画では、ロータスは2028年までに完全なEVメーカーとなり、年間数万台の高性能EVを販売するとしている。そしてこれを実現するため2017年以来、ロータスの親会社となっている吉利(ジーリー)汽車は巨額の出資を行なっている。
言い換えればロータスカーズというスポーツカーメーカーは、軽量スポーツカー専門の少量生産メーカーから、ラグジュアリークラスの高性能EVメーカーへと大きく方向転換することを意味している。
エレトレは、快適性、実用性、多用途なスペース、最先端技術、モダンなラグジュアリーデザインとハイパフォーマンスを融合させ、全く新しい顧客に提供する先進的なSUVだ。ロータスならではのドライバーズカーであり、数ある高性能EVと比較しても最もダイナミックなパフォーマンスを備えているのだ。
また、エレトレは世界初の展開型LiDARセンサーを含む最先端レベルの運転支援システムを備え、同時にクラス最高の性能を発揮するインフォテインメントシステムも実現している。そのインフォテイメントを支える車載OSは5G通信に対応したロータス・ハイパーOSを採用。そうした意味で、これまで作られた中で最も先進的なロータスとなっている。
■ パワートレインとバッテリー
エレトレは前後アクスルに永久磁石同期式モーターを配置した4WDシステムを採用。標準モデル、Sモデルの前後モーターの総合出力は612ps、最大トルク710Nm、Rモデルは905ps/985Nmという驚異的なパワーを発揮する。
0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は258km/hだ。Rモデルは0-100km/h加速が2.95秒、最高速度は265km/hを記録する。
なお前後のモーターはSiCインバーター、減速機を一体パッケージ化したe-アクスルになっている。Rモデルのみは2速減速ギヤを装備している。
床下に配置されたバッテリーの容量は112kWhで、最先端の800Vシステムを採用。Sモデルの航続距離は600km、Rモデルは490kmとなっている。
回生ブレーキは、ステアリングパドルにより2段階の調整が可能だ。
充電は車載AC充電器を搭載しており、22kWまでの家庭用充電システムを利用できる。22kWを使用することで0-100%充電は6時間となっている。
また急速充電は350kW出力にまで対応しており、10%−80%充電は20分で完了することができる。なお現時点では、エレトレはヨーロッパCCS規格と、中国のGB規格に対応しているが、当然日本仕様はCHaDEMO規格に対応する計画だ。
■ ボディとプラットフォーム
エレトレは吉利汽車と共同開発した完全なEV専用のモジュラー・プラットフォーム「EPA(Electric Premium Architecture)」を採用しており、今後登場するEVもこのプラットフォームを採用することになる。
吉利汽車のEPAEPAは、前後アクスルにコンパクトなe-アクスル、そして床下にバッテリーを配置し、ロングホイールベースを実現している。低重心、室内空間を最大化するなどEVの優位点を生かしたパッケージングを実現している。
ボディサイズは全長5103mm、全幅2002mm(リヤビューカメラ仕様)~2060mm(電動ミラー仕様)、全高1636mm、ホイールベース3019mmで、Eセグメント・サイズのクロスオーバーSUVであり、最低地上高は194mm(22/23インチタイヤ。20インチタイヤの場合は187mm)となっている。
ボディ骨格はアルミ材を多用し、軽量化と剛性向上を両立。ボンネット、ドアはアルミ材でダンパーマウント部はアルミ鋳造材としている。一方で、ボディ骨格部はホットスタンプ材、超高張力鋼などを組み合わせ、高強度化を図っている。アルミ材はボディ重量の50.7%を占めている。
サスペンションは前後ともマルチリンク式で、ダンパーは電子制御連続可変(CDC)を組み合わせている。またRグレードはリヤアクスルステアリング、48V電装による電子制御可変スタビライザーも組み合わせている。
シャシー制御はアクティブ・エアサスペンション、トルクベクタリング、ロータス・インテリジェント6軸ダイナミックシャシーコントロールを採用。
テールゲートにはアクティブリヤスポイラーを装備している。このスポイラーは、上部の特徴的なスプリットフローティングルーフスポイラーと連動し、車速、加速度、ブレーキ、ドライブモードの設定に応じて、3つのポジションに自動的に調整されるようになっている。
その他の装備ではマトリクスヘッドライト、アダプティブクルーズコントロール、ビジュアルパークアシスト、29インチ・ヘッドアップディスプレイ、ワイヤレス接続のApple Carplay、Andoroid Auto、15スピーカー/1380WのKEF社製プレミアムオーディオシステムなどが上げられる。
またエレトレは、5人乗り仕様で688Lのラゲッジスペースを備えており、リヤシートバックをたためば1532Lの容量に増大。長距離ドライブ時の利便性を高めている。なおリヤが2座席・4人乗りのコンフォートパッケージも設定されている。
顧客はグレードにかかわらず、様々なパッケージの組み合わせが可能なことも特長で、エグゼクティブシートパック、コンフォートシートパック、エクステンドカーボンファイバーパック、インテリアカーボンファイバーパック、パーキングパック、ハイウェイアシストパックなどがラインアップされている。
■ 装備
エレトレRは、ドアミラーの代わりにリヤカメラを装備し、後方の映像は室内左右の6インチ・ディスプレイに表示される。
またエレトレは、前後のルーフ端、左右のフロントフェンダーの頂点部に合計4個の引き込み式LiDARセンサーを搭載している。この引き込み式LiDARは世界初の試みだ。もちろんLiDAR以外に6個のレーダー、7個のカメラ、12個の超音波ソナー、そしてLiDAR、NVIDIA製チップによる中央演算システムを組み合わせた運転支援システムは世界最先端となっており、性能的にはレベル4の自動運転も可能になっているのだ。
インテリアは、ラグジュアリーで広々としたキャビンを備え、パフォーマンス重視のデザインと、最先端のインフォテインメントやコネクティビティ、そして厳選された最高級の素材や仕上げにより、高級感のある、精密なクラフトマンシップを感じさせる空間となっている。
「デジタル・コックピット」により、高精細なグラフィックが表現され、超高速のレスポンス、直感的な操作によりソフトウエア・ディファインド・ビークルであることを実感させる。それを支えるのが初採用されたロータス・ハイパーOSだ。
このOSにより、クラス最高のパフォーマンスとインタラクティブなフィードバックが実現している。また仮想パーソナルアシスタントも搭載され、乗員は自然な会話で話しかけることで車両の様々な操作ができる。
センターディスプレイは15.1インチの大型有機LEDディスプレイを採用し、ヨーロッパ仕様ではHEREテクノロジー製のオンライン・ナビシステムが利用できる。またの助手席にも高解像度のタッチスクリーンが配置され、メディア再生のコントロールや音声コントロールコマンドに対応した情報などが表示される。
リヤシートでも4座席仕様で9インチ、5座席仕様で8インチのタッチ・ディスプレイが搭載され、各種操作やメディア再生を行なうことができる。
メーターパネル部は12.6インチ有機LEDディスプレイを装備し、さらに前面ガラス部に29インチサイズのヘッドアップディスプレイが表示され、半拡張現実画面となって各種の情報や進路が表示されるようになっている。
またオーディオもハイエンドな世界が追求され、イギリス製のKEF社製オーディオを搭載。KEFプレミアムは、1380W・15スピーカーのサラウンドサウンドシステム、KEFリファレンスを選択すると2160W・23スピーカーによる3Dサラウンドのオーディオが可能となる。
エレトレは、従来のロータスのスポーツカー・ブランドから、グローバルなハイエンドの高性能車へとブランド・イメージを一新する超高性能SUVであり、ロータスを初めて体験するライフスタイルを重視する新たな顧客層をターゲットにしている。そのためのディーラーネットワークの拡充、デジタルマーケティングの展開、そしてブランドの変革と認知度の向上を目指す準備が始まっている。
価格
ロータス エレトレS:2332万円(税込み)
ロータス エレトレR:2585万円(税込み)
ロータス 関連情報
ロータス ジャパン 公式サイト
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