英国の一般道を理解した足まわり
リッチフィールド社によるGRヤリスで、エンジン以上に支持したいのがサスペンション。チューニングの範囲としては限定的ながら、英国の一般道で効果的な足まわりを、彼らは完全に理解しているのだろう。見事に機能している。
【画像】BBR GTiにマウンチューン、リッチフィールド 英国チューナーが手掛けた3台 ベース車も 全77枚
ダンパーはナイトロン社製へ置換され、路面への追従性と操縦性を引き上げている。隆起部分を通過しても、リッチフィールドGRヤリスはまったく動揺する素振りがない。
一般的に高性能なダンパーへの交換は、ネガティブ要素のないアップグレードだといえる。落ち着きが増した乗り心地は、普段の快適性も高めている。
確かに、若干柔らかさが増したことで、シャープなステアリング・レスポンスに僅かな影響が出ているようではあった。それでも得られるメリットを考えれば、飲み込むことのできる代償といっていい。
試乗車はデモ車両で、ワイドなホイールに幅225のミシュラン・パイロットスポーツ5を履いていた。グリップ力が増すことで、314psのパワーと再調整された四輪駆動システムがもたらすであろう、操縦性の自由度がだいぶ制限されているようだった。
タイヤは、もう少し控えめなチョイスでも良いだろう。マウンチューン・フォード・フォーカス ST M365より、筆者の好みはあるが。
FRのドライビング体験を磨いたBBR社
BBR GTi ロードスターも、ノーマルよりシリアスなタイヤを履いている。フロントエンジン・リアドライブ(FR)の軽快な身のこなしが、やや鈍くなったように感じられた。とはいえ、こちらも全体的には素晴らしいチューニングにまとまっている。
エンジンは、もしかすると期待はずれかもしれない。BBR GTi社が用意するメニューで、ステージ1用のスーパーチャージャーが組まれているものの、鋭い悲鳴のような響きは聞こえてこない。
コンパクトな遠心式スーパーチャージャーが採用されており、全開のヘアドライヤーのような唸りを放つ。マウンチューンやリッチフィールドよりパワーアップも控えめで、乗り比べると自然吸気エンジンのように感じられた。
それでも、最高出力は251psへ高められている。車重は1132kgだから、動力性能に不足は微塵もない。先の2台より少し気持ちを高ぶらせ、7000rpm以上まで軽く許容する回転域を活用すれば痛快そのものだ。
エンジンを回すことで、マツダの気持ち良い6速MTを駆使する機会も生まれる。フォードもトヨタも変速フィールは悪くないが、より滑らかで軽快なロードスターの感触は、旧世代のNC型でも輝いている。
さらに、軽いFRのピュアなドライビング体験はロードスター独自のもの。BBR GTi社は、それに磨きをかけたといえる。
修正しやすい穏やかなテールスライド
彼らは複数のサスペンション・キットを提案しているが、お借りしたデモ車両に装備されていたのは1番お手頃なアイテム。しかも、サーキット向けの設定になっていた。
サーキット仕様と聞くと、一般道では我慢を強いられると想像するかもしれない。しかし、テイン社製の車高調コイルオーバー・キットの調整はパーフェクト。ボディロールやリアアクスルの乱れを抑え込みながら、滑らかに起伏をいなしてくれる。
タイヤの限界領域まで攻め込めば、修正しやすい穏やかなテールスライドが始まる。最高だ。
BBR GTi ロードスターにも僅かな弱点は残っている。だがそれぞれ対応は可能だろう。
路面が傷んだ区間では、ルーフのないボディに振動が出てしまう。剛性を高めるために、取り外し式のハードトップを探したいところ。身長が180cmを超えるドライバーの場合は、より座面の下がるスポーツシートに交換すればいい。
今回のチューニングカー乗り比べは、英国のチューニング・ガレージの専門性や技術力を改めて確かめることが目的だった。お気に入りの1台を選ぶつもりはなかった。
それでも、BBR GTi ロードスターの仕上がりに筆者が惹き込まれたことは間違いない。一緒に試乗した数名の同僚も、意見は同じだった。
量産モデルへ注がれる熱い情熱
BBR GTi社は、3代目ロードスターをマツダが理想とした姿に仕立てたわけではない。ほかの2台にも共通するが、量産モデルに与えられているクルマの「ゆとり」は多少削られている。
よりシリアスに、それぞれがフォーカスした能力を独自のメニューで高めている。ターゲットとするユーザーは絞られるかもしれないが、そこへ合致するドライバーは、深い充足感を得られるだろう。
ディーラーで新車を購入してチューニング・ガレージに持ち込むとすれば、それなりの予算が必要になる。だが、購入から数年が経過した場合や、状態の良い中古車をリフレッシュする手段の1つとして、彼らが提供するメニューは素晴らしい。
英国の自動車業界を見る限り、チューニング・ガレージが量産モデルに手を加えることに対して、メーカー側も煙たがっている様子はない。むしろ、自社のモデルへ注がれる熱い情熱に喜んでいるのではないかと思う。
ロードスターは本来の良さが引き出され、フォーカス STはパワフルでエキサイティング。GRヤリスは、秘めた速さが解き放たれていた。それらのチューニングは、筆者の期待を裏切らなかった。
フォーカス ST GRヤリス ロードスター チューニングカー3台のスペック
BBR GTi マツダMX-5(ロードスター)2.0 ステージ1スーパーチャージャー(NC型/英国仕様)のスペック
英国価格:9551ポンド(約158万円/チューニングキット)
全長:3995mm(標準NC型)
全幅:1720mm(標準NC型)
全高:1245mm(標準NC型)
最高速度:233km/h(予想)
0-100km/h加速:5.5秒(予想)
燃費:12.0km/L(予想)
CO2排出量:181g/km
車両重量:1132kg
パワートレイン: 直列4気筒1998ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:251ps/7000rpm
最大トルク:31.8kg-m/5350rpm
ギアボックス:6速マニュアル
マウンチューン・フォード・フォーカス ST M365(英国仕様)のスペック
価格:5507ポンド(約91万円/チューニングキット)
全長:4378mm(標準フォーカス ST)
全幅:1825mm(標準フォーカス ST)
全高:1454mm(標準フォーカス ST)
最高速度:265km/h(予想)
0-100km/h加速:5.5秒(予想)
燃費:12.2km/L
CO2排出量:179g/km
車両重量:1468kg
パワートレイン:直列4気筒2261ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:365ps/5500rpm
最大トルク:56.9kg-m/3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル
リッチフィールド・トヨタGRヤリス(英国仕様)のスペック
価格:6613ポンド(約109万円/ホイールとバケットシートを除くチューニングキット)
全長:3995mm(標準GRヤリス)
全幅:1805mm(標準GRヤリス)
全高:1455mm(標準GRヤリス)
最高速度:230km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.9秒(予想)
燃費:12.1km/L
CO2排出量:186g/km
乾燥重量:1569kg
パワートレイン:直列3気筒1618ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:314ps/7000rpm
最大トルク:42.7kg-m/4200-4600rpm
ギアボックス:6速マニュアル
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みんなのコメント
車両総重量と間違えてるだろ