英国上陸から50年 製造品質と技術力で高い評価
半世紀前の1974年、英国人は日本のブランド、三菱と正式に出会った。当初は、BMWの輸入代理店から分離して誕生した、コルト・カー社という名で英国部門がスタート。ランサーとギャランの2台体制で、提供が始まった。
【画像】英国上陸50周年ファンミーティングの参加車両 三菱のクーペたち 新型トライトンも 全114枚
多くの新参メーカーと同じく、市場の関心を掴むため、販売価格は低めに設定された。だが、優れた製造品質が評価され、短期間に高い評価を掴んでいった。数年先の目標販売数は年間1万台だったが、あっさり達成している。
その頃、技術的な強みといえたのが「サイレントシャフト」エンジン。英国人技術者、フレデリック・ランチェスター氏が開発した、バランサーシャフトの特許を三菱は取得しており、驚くほど滑らかな回転を実現していた。
1980年代には、ランサー・セレステとサッポロ (ギャラン)・クーペが英国へ上陸。コンパクト・ハッチバックのコルト(ミラージュ)も、市場の支持を集めた。1984年にブランド名を変更。日本と同じく、三菱と呼ばれるようになる。
これと前後し、三菱はターボチャージャーを積極的に採用。フルラインターボという、戦略を掲げていた。駆動系も優秀で、高い技術力を持つ自動車メーカーとして、明確なアイデンティティを醸成していった。
2021年に英国市場から撤退 ミツビシ愛は冷めない
触れるべきユニットの1つが、スーパーシフト。4速MTにオーバードライブを組み合わせたもので、実質的に8速MTとして機能した。これは、1970年代後半から前輪駆動モデルに採用されている。
1983年には、四輪駆動のオフローダー、ショーグン(パジェロ)が上陸。堅牢性や信頼性、走破性の高さから、郊外に住む人を中心に多くの支持を集めている。
同年には、ラリードライバーのアンドリュー・コーワン氏が三菱のワークスチームへ参画。1989年には、ラリーアート・ヨーロッパ・チームによって投入されたギャランVR-4が、世界ラリー選手権のフィンランド選とイギリス選で優勝を果たした。
総合優勝を奪ったのは、1998年のランサー・エボリューションV。スバル・インプレッサとの熾烈な競争に、熱くなったという読者は少なくないはず。
「ランエボ」は、24年間にX ファイナルエディションまで10度も進化。ブランドを代表するモデルへ成長したことは、ご存知の通り。
三菱車を目撃するのは日常的なことだが、実は2021年に英国市場から撤退している。販売数が減少し、法規制へ対応する負担が増大したことが、その理由だった。復活の噂はくすぶっているが、実現するだろうか。
とはいえ特徴の濃いモデルが多かったこともあり、英国人のミツビシ愛は冷めていない。グレートブリテン島上陸50周年を記念し、2024年9月末にファンミーティングが開催された。中西部の、グロスターシャー州バドミントンパークを会場に。
三菱の魅力の幅を改めて実感する参加車両
参加車両は多彩。安価で高耐久なハッチバックから、堅牢なオフローダー、ラリーやモータースポーツで活躍したアイコンまで、魅力の幅を改めて実感できる顔ぶればかり。熱狂的なファンたちは、英国へ与えた影響が消えないことを願っている。
コルト・カー社を創業したデイビッド・ブラックバーン氏の息子、スティーブン・ブラックバーン氏は、コルト・カー・クラブの設立をこのミーティングで宣言。彼らの熱い気持ちへ応える形で、イベントは締めくくられた。
今回は、その参加車両の一部をご紹介させていただきたい。自分も同じ三菱に乗っていた、あるいは今も乗っている、という読者はいらっしゃるはず。
三菱ランサー EX2000ターボ(1981年式/英国仕様)
オーナー:ポール・シモンズ氏
ランサー・ターボは、英国で販売された初のターボモデルではない。しかし、170psのターボエンジンを搭載した4ドアサルーンが、お手頃な8000ポンド程度で購入できたという事実は、1980年代には革命的なものだった。
その後、1990年代から2000年代にかけて、ランサーはエボリューションを重ねていった。伝説の原点にあるモデルといっていい。
シモンズは、当時3年落ちだったランサーを1984年に購入。ボートを牽引でき、スキューバダイビングの道具を積める、パワフルな1台を探していたのだとか。しかし海岸へ降りることを繰り返し、数年前までは傷んだ状態にあったという。
そこで彼は、レストアを決意した。新しいコイルオーバー・サスペンションへ交換し、ランサー・エボリューションIのフロントシートとBMWの電動ドアミラーを装備。多方面から部品を集めつつ、改造を加えながら楽しんでいる。
「小さすぎず、ちょうどいいサイズだと思います。地元でのお買い物にも活躍しています。当時から目立つクルマではありませんでしたが、アクセルペダルを踏むと、本当に気持ち良く走るんですよ」。シモンズが笑顔で答えた。
三菱ギャラン(8代目/1997年式/英国仕様)
オーナー:ライアン・ハッチンソン氏
チューニングが簡単で、パワーアップの余地が高いターボエンジンを積んだ三菱車は、1990年代からチューニング文化の一角をなしてきた。これは20歳のハッチンソンが生まれる前の話だが、ギャランの写真を見てビビッと来たらしい。自身の1台を入手した。
この8代目ギャランは、欧州へ導入された最終世代。これはベーシックな前輪駆動だが、VR-4用の四輪駆動システムと、ランエボのターボエンジンを組み込む計画を進めているそうだ。
ハッチンソンにとって初の三菱車で、自分のクルマとしては3台目だというが、自宅で改造するつもりだという。「ノーマルの状態でも、とても注目を集めることには驚きました」。と話していた。
三菱コルディア・ターボ(1983年式/英国仕様)
オーナー:マリア・フィンドレー氏/マイケル・フィンドレー氏
1980年代の三菱は、小さなハッチバックのコルトやサルーンのトレディアなど、すべてのモデルにターボエンジンを設定していた。トレディアから派生した、ファストバック・クーペのコルディアにも。
「昔の上司が乗っていたクルマで、1983年から存在は知っていました。ところが病気になり、長期間保管された状態になっていたので、2012年に買い取りたいと申し出てみたんです。彼は税金を支払い、整備記録を手渡してくれました」
譲り受けたコルディア・ターボの走行距離は、たった4万3400km。貴重な、コルトのエンブレムを付けている。三菱自慢のスーパーシフトが組まれ、8速マニュアル。普段はパワー重視のギアで走り、100km/h前後でオーバードライブに入れるそうだ。
この続きは、ランサー/ギャランの英国上陸から半世紀(2)にて。
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みんなのコメント
久々に目にしたがイイ顔つき