2019年12月1日、日産自動車の社長兼CEOに内田誠氏、COOに三菱自動車COOのアシュワニ・グプタ氏、副COOに日産関潤専務を据えて3頭体制がスタートしたが、早くも12月下旬には副COOの関潤氏が退任することになり、出鼻をくじかれた格好になった。さらに年末のC・ゴーン氏の日本脱出劇……。
当分、日産自動車にごたごたが続きそうだが、本質である日産&三菱の新しいクルマを見ていきたい。そのなかでも注目されるのは、日産&三菱のアライアンスによって生まれる新車たち。
【総勢20台超がスタンバイ!!】2020年新車カレンダー 怒涛の新車攻勢を暴く!!
なかでも日産&三菱アライアンスによって生まれる共同開発体制の第一弾、新しいミッドサイズプラットフォームを共用する、新型エクストレイル&新型アウトランダーの船出が気になるところ。
ともに2020年秋以降に登場するといわれている、新型エクストレイルと新型アウトランダー。いまわかっていることすべてをお伝えしよう。
文/遠藤徹
CGイラスト/ベストカー編集部
【画像ギャラリー】現行モデルのエクストレイルとアウトランダー詳細写真
日産&三菱のアライアンス登録車第一弾がこの2台!
■新型エクストレイル/2021年春頃にデビュー予定
新型ではe-POWERをラインナップ。セレナのe-POWERよりパワフルなモーターを搭載、もしくは従来の1.2Lエンジンとは違う新世代e-POWERを搭載する可能性もある。さらに後輪にモーターを使った左右駆動配分式の新型4WDシステムも採用。ガソリンエンジン車もラインナップされる(ベストカー製作の予想CG)
日産自動車と三菱自動車は今後の新商品展開で両社のシナジー効果を最大限に発揮させるために生産販売するモデルのパーツ、パワーユニット、駆動系、足回りなど基本コンポーネントの共用化、採用する部材の共同購買などを積極的に進めることを明らかにしている。
その第一弾となりそうなのが、新型三菱アウトランダーと新型日産エクストレイルだ(NMKVの軽を除く)。
アウトランダーは2020年10月、エクストレイルは2021年2月にそれぞれフルモデルチェンジする、という情報が入ってきた。
あと9ヵ月でこれほどの大型新車が登場する…というのはにわかに信じられないが、一部販売店にはこのような情報が回っている。
以下、現時点で入ってきている情報をまとめてみた。
プラットフォーム、ボディパネル&エンジンなど基本コンポーネントを共用化すれば両次期型は兄弟車の関係になる。
両モデルの独自性を残すというのであれば、基本コンポーネントのメカ部分や構成部品は多くを共用化するものの、ボディパネル、内外装を別設計&デザインとし、味付けを変えることで、両モデルの個性を際立たせるという手法の方が効果的ともいえるからだ。
こうなると兄弟車という形にはならない可能性もある。デビュー時期をずらしているのは、完全な兄弟車構成を避け、別のコンセプトを強調する狙いがあるのかもしれない。
現時点で共用化がほぼ確実なのはプラットフォーム、パワーユニット、駆動系、トランスミッションなどである。
ただ、両モデルの商品自体、これまでのモデル展開の手法はかなり似ている点もある。
現行アウトランダーの登場は2012年10月25日、エクストレイルは2013年12月11日だった。両モデルともに古く、毎年のように両モデルともマイナーチェンジ、一部改良、仕様変更を展開し、商品ラインアップを強化している。
直近ではエクストレイルが2019年1月11日、アウトランダーが2019年9月12日にそれぞれ一部改良を実施している。エクストレイルはさらに2020年1月16日発表、23日発売という予定で、仕様変更が行われる。今回は安全対策を中心とした仕様向上で小幅の改良となる。おそらく現行モデルでは最終の改良になるだろう。
とはいえ、待ちに待ったフルモデルチェンジである。エクストレイルが実に6年半ぶり、アウトランダーは実に8年ぶりだ。
これまでの両モデルのコンセプトはエクストレイルが4WD車中心のワイルドなラフロードでの走破性重視派、アウトランダーは2WD車メインでオンロードでのドライブ重視の仕立てをしており、これらは次世代モデルにも基本的に引き継がれるに違いない。
こうすればマーケットで競合し、足を引っ張り合うリスクも避けることができる。
■新型アウトランダー/2020年秋頃にデビュー予定
2019年3月のジュネーブショーに出展したコンセプトカー、エンゲル・ベルグ・ツアラーが新型アウトランダーのベースとなる。新型は次期エクストレイルとプラットフォームを共用し、PHEV以外にも2Lや2.4Lのコンベンショナルなガソリンエンジン搭載車も発売される(ベストカー製作の予想CG)
現行モデルのボディサイズはエクストレイルが全長4690×全幅1820mm、全高1740mm、ホイールベース2705mmに対して、アウトランダーはそれぞれ全長4695×全幅1810×全高1710mm、2670mmで、ほぼ同サイズとなっている。
したがって兄弟車になるとすれば、全長はアウトランダー、全幅、全高、ホイールベースはエクストレイル並みのレイアウトが予想される。アウトランダー側からみれば若干のサイズアップとなる。
これはライバルの現行トヨタRAV4、マツダCX-5、スバルフォレスター、ホンダCR-Vとほぼ同じサイズである。2列シート5人乗り、3列シート7人乗りの2つの仕様は両モデルとも引き続き継承されるはずである。
パワーユニットは現行モデルだとエクストレイルが2L、NAと同1モーター2クラッチのフルハイブリッドでいずれも2WD、4WD、CVTと組み合わせる。アウトランダーは2Lが2WD、2.4Lは4WDとPHEV、CVTを搭載している。
エクストレイル&アウトランダーともに2LのNA、HV、2.4LのPHEVを用意!
次期型は両モデルとも2LのNA、同ハイブリッド、2.4LのPHEVのラインアップになる見込みである。
両社のパワーユニットを融通し合うことで、アウトランダーはフルハイブリッド、エクストレイルはPHEVをラインアップに加えることが可能になる。
PHEVは航続距離の延長などの改良も加えられる。またこのほか、日産には人気の高いe-POWER、三菱には2.3Lのクリーンディーゼルエンジンがある。
写真はセレナe‐POWERのものだがエクストレイルにはより強力なものが搭載される
両モデルに搭載すればさらに強力な武器になる。次期型ではすぐに積まない可能性が強いものの、今後のマーケットニーズ如何では追加設定があるかもしれない。
おそらくPHEV仕様は、ガソリン仕様登場の1~2年後の投入となる可能性が高い。
このほか、安全対策、自動運転関係も最新のデバイスを採用する方向にある。自動運転支援の「プロパイロット」は最新バージョンに進化させながら、標準装備車を設定する。
自動ブレーキ、衝突回避認知機能など安全デバイスは日産製ユニットを中心に採用される見通しである。
他のモデルでも今後はセレナ&デリカD:5、マーチ&ミラージュ、キックス&RVRなどが世代交代を機にプラットフォーム&基本コンポーネントの共用化を図る方向で開発を進めている。
■証言1:首都圏日産店営業マン
「エクストレイルは現行モデル発売後6年以上が経過しているので、いつフルモデルチェンジしてもおかしくない時期になっている。三菱自動車のアウトランダーと兄弟車関係になるか、あるいはプラットフォーム、エンジンなどの共用化を図るのは大幅なコストダウンにもなるので期待している。
現在の日産にはないPHEVやクリーンディーゼル車を設定するのはライバル車との競争力を高めることにもなるので楽しみにしている。e-POWER車はフルハイブリッドがあるので、今のところ必要がないと考えている。
2020年1月のマイナーチェンジが現行モデルでの最終の改良になるはずだ。エクストレイルの人気自体は根強いのでフルモデルチェンジすれば、売れ行きは復活すると予想している。同クラスSUVのトップセラーを狙えるようになるのは間違いない」。
■証言2:首都圏三菱自動車営業マン
「アウトランダーは三菱自動車の主力車種のひとつで、SUV市場は引き続き拡大基調にあり、得意のPHEVも設定され、より技術的に進化しているので新型車の登場には大いに期待している。
次期型で日産エクストレイルとの兄弟車構成なるか、あるいは大幅なパーツ共用化はアウトランダーの今後の展開にとってはイメージアップにもつながるのでメリットは大きいと思う。
新型車の登場時期は2020年秋には投入すると、大まかな情報としては聞いている。PHEVは次期型エクストレイルにも採用されるが、逆にハイブリッドかe-POWERも設定されるのでトータル的に見れば、プラスの方が大きいのではないかと受けとめている」。
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みんなのコメント
あと最近の日産車共通デザインのグリルはカッコ悪いからコレも止めてもらいたい