20世紀末の1999年は今、振り返ると国産スポーツカーのアタリ年と言える年だった。
現在でもドリフト競技などでは現役バリバリの日産「S15シルビア」をはじめ、ミッドシップオープンカーのトヨタ「MR-S」。そして、29年振りにホンダが開発したFRスポーツカーの「S2000」。販売開始から20年が経過した2020年でも多くの中古車が流通し、高い人気を誇っている。
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どのモデルも復活を望む声が多いが、今回は最も復活する可能性が低いネオクラシックスポーツのホンダ「S2000」の中古車事情について紹介したい。
文/萩原文博
写真/HONDA
【画像ギャラリー】ファンの心をつかんで離さないホンダのスポーツカー「S2000」を振り返る!!
■唯一無二のホンダスポーツとして誕生したS2000
2シーターオープンカーのホンダ「S500」をルーツとするホンダのスポーツカー、Sシリーズ。S2000はその第4弾として、1999年4月に販売開始された2シーターオープンカーだ。
「インテグラ」や「シビック」に「タイプR」というハイパフォーマンスモデルが設定されていたが、いずれも駆動方式はFFを採用。FF車としては、高いコーナリング性能を実現しており、速さはあるが楽しさに欠けるという声が多かった。そのような声に応えて、本田技研工業創立50周年記念車として開発されたのがS2000だった。
ホンダが多くの部品を専用パーツとして設計した、こだわりのFRスポーツ「S2000」。縦置きされたF20C型 2L直4 VTECエンジンは、リッターあたり125psというレーシングエンジン並みの出力をマーク。
燃料タンクとスペアタイヤなどを後輪車軸の前に配置するなど、重量物を重心近くに集中させることで50:50の前後重量配分を実現させた
S2000はオープンカーながら、クローズドボディ同等以上のボディ剛性と世界最高水準の衝突安全性を実現した新開発のオープンボディ構造「ハイXボーンフレーム」を採用。
またFRスポーツカーとして、より優れたハンドリング性能、軽快感、人馬一体感を実現させるために、エンジンを前輪車軸後方に配置するFRビハインドアクスル・レイアウトを採用することで、車体前後重量配分をスポーツカーとして理想的な前50:後50としている。
搭載されているF20C型 2L直列4気筒DOHC VTECエンジンは1L当たり125ps、最高出力250ps、最大トルク22.2kgmを発生。最大回転数は9000rpmという超高回転型のエンジンを搭載していた。組み合わされるミッションは小気味良いシフトフィールを実現した6速MTのみだった。
運転に集中できる環境を生み出すため、ダッシュボードを低く抑えるなど細かい気配りがされていた。自社開発の6速MTのシフトフィールの気持ちよさも、S2000の特筆すべきポイントだ
2000年には「VGS」と呼ばれる可変ギアレシオステアリングを搭載した「タイプV」を追加。2001年のマイナーチェンジでは、ソフトトップのリアスクリーンが熱線入りのガラスに変更された。2003年のマイナーチェンジでは、フロントバンパーとヘッドライトのデザインを変更し、装着されるホイールが17インチとなった。さらに、ボディ剛性の強化やサスペンションの見直しなどを行い走行安定性は向上している。
2005年のマイナーチェンジで、S2000に搭載されているエンジンが2.2Lへと排気量が拡大され、これ以降が後期型と呼ばれる。
最高出力が242ps、最大回転数も9000から8000rpmへと下げられているが、排気量アップによって低中速のトルクが増したことで、前期型のピーキーで乗り手によって速さに差の出る2Lエンジンと比べると、後期型の2.2Lエンジンは扱いやすく誰もが速く走れるようになった。
エクステリアデザインの変更はなかった。そして2007年10月に後期型S2000が初めてのマイナーチェンジを行い、横滑り防止装置のVSAの搭載。さらに空力性能の向上やサスペンションのセッティングを見直した「タイプS」が登場している。1999年~2009年の約10年間販売されたS2000は、搭載されているエンジンによって前期型と後期型に分けられている。
2007年10月に登場した「タイプS」。大型のフロントスポイラーと「GTウィング」のような大型リアスポイラーを装備。足まわりには専用セッティングを施されていた
■手に入れるなら待ったなし! 価格は横ばいながら流通台数は減少傾向
2020年6月現在、S2000の中古車の流通台数は約164台で、4カ月前の2020年4月の流通台数は約220台だったので、3カ月で60台近く市場からS2000の中古車は姿を消した。すでに生産終了してから10年以上が経過しているので、今後爆発的に流通台数が増える可能性は低い。したがって、今後は150台付近が標準となりそうだ。
S2000の中古車の平均走行距離は、3カ月前が約7.7万kmで、6月は約7.5万kmと若干短縮しているが、平均価格は3カ月前の約256万円から約252万円へとわずかに値落ち傾向となっている。
平均価格の推移を1年という長いスパンで見てみると、2019年8月の平均価格は約254万円、その後値上がりと値落ちを繰り返しながら、2020年6月にはピークの約267万円まで値上がりしたものの、現在は約252万円まで下がっている。こうして見ると、一時的には値上がり傾向となっていたS2000の中古車相場だが、1年というスパンで見ると横ばいといえる状態となっている。
ホンダが
現在約164台流通しているS2000の中古車だが、2Lエンジンを搭載した前期型は約109台、2.2Lエンジンを搭載した後期型は約55台と圧倒的に前期型が多くなっている。
そのなかでも1999年~2001年式の初期モデルは約66台と最も多く、平均価格は現在204万円と3カ月前の198万円から値上がり傾向となっている。もっとレアな2007年~2009年式の中古車の平均価格は、3カ月前が約410万円そして今月は約405万円とわずかに値落ちしているのだ。
なかでも新車時価格を超えるプレミアム価格を付ける中古車が多かった「2.2タイプS」の平均価格は3カ月前の約414万円から今月は約407万円へと7万円の値落ちとなっている。この理由は平均走行距離が約1万kmも延びているように、走行距離の少ない中古車が市場から姿を消したのが大きな理由と言える。
現在、S2000の中古車の価格帯は約99万8000~約935万円と非常に幅広い。そして驚いたのは、100万円以下の物件がわずか1台しか流通していないことだ。つい最近までは、二桁万円のS2000の中古車が流通していたのだが、すでに1台しかない状況となっている。こうした状況を見るとS2000の中古車の購入は急いだほうがよいと言える。
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そこで、S2000の中古車を購入する際の注意点だが、修復歴なしのほうが安心できるが、もし修復歴ありのクルマの場合、サスペンションや駆動系までダメージを負ったクルマは避けたほうがいいだろう。しっかりと修理されていないと本当のパフォーマンスが発揮できないからだ。また、走行距離も延びているので、前オーナーがどれくらいメンテナンスしていたかが確認できる整備記録簿があることは絶対条件としたい。
どこまでも伸びていきそうな自然吸気エンジンを搭載したS2000。特に高回転型の2Lエンジンを搭載した前期型のようなクルマは今後登場することはない。乗りやすさを求めるならば2.2Lエンジンの後期型だが、腕を磨きたいと思うのならば2Lエンジンの前期型を手に入れたい。
ホンダアクセスは2020年6月26日、「S2000」用純正アクセサリーパーツを発売。新開発されたフロントエアロバンパーに加え、スポーツサスペンションなども設定されている。いまだホンダファンにとっては特別な一台といえる
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みんなのコメント
ホンダだってFR作れるんだよって感じでした。
限定でもいいからまた出してくれないかなぁ…