現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 79歳で木製フェラーリ1/6モデルを作り続ける理由とは? 定年後の活動をきっかけに「328GTS」の実車も手に入れました

ここから本文です

79歳で木製フェラーリ1/6モデルを作り続ける理由とは? 定年後の活動をきっかけに「328GTS」の実車も手に入れました

掲載 2
79歳で木製フェラーリ1/6モデルを作り続ける理由とは? 定年後の活動をきっかけに「328GTS」の実車も手に入れました

大きな1/6スケールのモデルカーを1年に2台ペース、すでに約40台制作

現在79歳の山田健二さんは木製モデラー。1年に2台のペースで日夜コツコツ造っているのは、軽くて加工しやすいにもかかわらず強度があるバルサ材をマテリアルとしたフェラーリの模型だ。群馬県の高崎シティギャラリーで開催された個展「フェラーリ 木製モデラー 山田健二の世界」を訪ねてお話を伺ってきた。

フェラーリ「F40」が1200万! 最高速50キロの跳ね馬の正体は大人のおもちゃキッズカーでした。微笑ましいディテールを紹介します

70年代、スーパーカーショーを開催する側としてフェラーリに触れた

山田さんのフェラーリ模型は、美しい外観のみならず、インテリアやエンジンにタイヤなどもすべてバルサ材で精巧に制作してあり、塗装してしまうと木製だと分からなくなるほどのハイクオリティぶり。そのため個展では塗装前の段階を見てもらうための無塗装ボディ、無塗装エンジンなども展示していた。

「なにしろエンツォ・フェラーリという気概のある男の生き様に共鳴してしまったんですよ。1898年に生まれたエンツォは1947年にフェラーリ社を設立したので、50歳ぐらいの年齢で起業したわけです。その後、F1に参戦し、1988年に90歳で亡くなりましたが、その後もスクーデリア・フェラーリは休むことなくずっとF1にエントリーしています。そういう熱きストーリーに憧れてしまいました」

フェラーリのことを好きになったのは1970年代中ごろのスーパーカーブーム全盛の頃で、当時勤務していたデパートの催事でスーパーカーショーを開催することになり、赤いフェラーリ「308GTBと黄色のランボルギーニ「カウンタックLP400」を手配。展示ブースに飾ってみたら、猛牛ではなく跳ね馬の方の美しさや迫力あるサウンドに心底魅せられてしまったのだという。ちなみに、このスーパーカーショーは勢い余って計4回実施したらしいが、最後はブームが終焉してからの開催だったこともあり、大失敗だったそうだ。

仕事をリタイアする前から制作活動の準備を進めていた

そのような催事をきっかけとして、50年近く前にフェラーリに感化された山田さんだが、木製モデラーになったのはもっと後年のことで、デパートの後に勤めた広告代理店にて定年退職を円満に迎えてからのことだった。年齢を記すと61歳のときだ。

「小さい頃から工作や絵を描くのが得意で、よくやっていました。まだプラスチックが一般化していない頃なので、木を削ってソリッドモデルを作るという時代でしたね。飛行機を作ることが多かったです。当時はボール紙を加工したり、いろいろやっていました。中高生のときは鉄道模型にハマっていましたね。社会人になって308GTBに触れたことで、すっかり跳ね馬好きになってしまい、それからはフェラーリを題材としたタミヤ、フジミ、ハセガワのプラモデルを作るようになり、売っている商品は全部網羅しました。でも、なんか味気なくって、その後、帆船模型を作るようになりました。帆船は娘3人のために気合いを入れて作ったりもしましたが、誰ひとりもらってくれなかったので、いまでも家にあります」

「そういうことを経て、バルサ材でフェラーリの模型を作るようになったのは仕事をリタイアしてからで、エンツォに憧れるようになってから25年も経ってからのことでした。61歳になってから突然“マテリアルはバルサ材だな”と思ったのではなく、定年退職する前から“木で作ろう、バルサ材を使おう”と思っていました。いきなりではなく、準備していたわけです」

設計図を作ってからフルスクラッチビルド&塗装

既存のパーツは使わず、フルスクラッチビルドなので、金属で作ってもバルサ材で作っても苦労は大差ないが、まず設計図を作成してから作業を進めているため、フェラーリの関連書籍や写真などの資料集めが大変なのだという。そして、技術的に難儀なのはパーツを塗装することで、仮組みし、各部のおさまりを確認してから再びバラして塗っているため、ひと苦労とのことだった。

「自分の手間以外で必要なコストは、バルサ材代、カッター代、塗料代、といった感じですが、1台あたりでタミヤのスプレーを12~13本使うので、それなりの金額になります。ボディカラーが赤の場合は、イタリアンレッドを使っています。1回吹いて磨いて、という作業を繰り返しながら色をのせており、5回吹いた赤よりも10回吹いた赤のほうが深みがあります。ミハエル・シューマッハのことが好きだったので、一番最初に作ったのは2000年ぐらいのときに彼がドライブして優勝したフェラーリのF1マシンです。F1マシンは2004年ぐらいまで作りましたね」

フェラーリの輪を通じて実車も所有することに

最初、1/8スケールでボディの外側だけを作っていたとのことだが、なんとなく迫力が足りず、1/5スケールにしてみたら今度は大きすぎだったので、数台作るうちに1/6スケールに落ち着いたそうだ。細かい部分までバルサ材で作るので、それなりの大きさが必要なのだ。1/5スケールだと1年に1台しか作れないが、1/6スケールだと1年に2台作れるので、そのペースが自分に合っているとも話してくれた。現在までに40台ぐらい作っている。

「初期の頃は、ある程度のところまで作って、それを大手ミニカーメーカーに持参し、先方の偉い人や開発スタッフの方々に良し悪しを評価してもらいました。褒めてもらったりして自信がついたので、本格的に作ることにしました。この訪問によって、ミニカーメーカーとの輪が広がりましたね。そして、最初からいきなり個展を開催することはできなかったので、4~5年分のストックを溜めておいて、それを皆さんに個展というスタイルで披露しました。本物のフェラーリを所有しているオーナーの方々もたくさん来てくれて、仲よくなって愛車を見せてくれるようになり、こちらの輪も広がりました」

と語る山田さんだが、そんなフェラーリの輪を通じて、ついに実車のオーナーになる機会が訪れたという。

「ツーリングにもお邪魔するようになり、軽井沢のカフェに行ったときに、ディーノを買う人がフェラーリ328GTSを手放すので、それを買ったらどう? という話が出て、65歳のときに実車のオーナーになりました。エンツォ・フェラーリが生きていた時代に生産されたクルマだけをバルサ材で模型にしていますが、私が購入した328GTSは1987年式なので、エンツォが存命中にデリバリーされたクルマです。3月28日生まれなので、それも何かの縁ですね」

まだまだお元気だが、山田さんは傘寿を迎えた身であり、今回のような規模での個展は最後になるかもしれないとのことだった。とはいえ、エンツォ・フェラーリと同じ90歳まで頑張るとも話してくれた。ならば1年に2台ペースの制作を持続できればあと20台以上、2年ごとに開催している個展のほうはあと5回ほど実施できる計算なので、また高崎シティギャラリーを訪問したいと思う。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「東京湾アクアライン」封鎖です! 神奈川⇔千葉の大動脈が半日通行禁止 PA「海ほたる」も
「東京湾アクアライン」封鎖です! 神奈川⇔千葉の大動脈が半日通行禁止 PA「海ほたる」も
乗りものニュース
“GT-Rエンジン”搭載! 日産「“4人乗り”スポーツセダン」がスゴイ! ド迫力ワイドボディ&2000馬力発揮でめちゃ楽しそうな「アルティマニアック」とは
“GT-Rエンジン”搭載! 日産「“4人乗り”スポーツセダン」がスゴイ! ド迫力ワイドボディ&2000馬力発揮でめちゃ楽しそうな「アルティマニアック」とは
くるまのニュース
2024年MotoGP第19戦マレーシアGP TV放送&タイムスケジュール
2024年MotoGP第19戦マレーシアGP TV放送&タイムスケジュール
AUTOSPORT web
アロンソ、ブラジルでもメディアデーを欠席。腸内感染症の治療のため一時的にヨーロッパへ/F1第21戦
アロンソ、ブラジルでもメディアデーを欠席。腸内感染症の治療のため一時的にヨーロッパへ/F1第21戦
AUTOSPORT web
バブル時代の象徴フェラーリ「テスタロッサ」は「赤」以外が高額に! ブルーの個体は4000万円以上で落札…クラシケ認定も高評価
バブル時代の象徴フェラーリ「テスタロッサ」は「赤」以外が高額に! ブルーの個体は4000万円以上で落札…クラシケ認定も高評価
Auto Messe Web
トヨタの優位性/熾烈な4位争い/『体格』で決まった新ラインアップetc.【WECバーレーン水曜Topics】
トヨタの優位性/熾烈な4位争い/『体格』で決まった新ラインアップetc.【WECバーレーン水曜Topics】
AUTOSPORT web
4代目『ミニ・クーパー』の3ドアとコンバーチブルに、待望の高性能版“ジョン・クーパー・ワークス”が追加設定
4代目『ミニ・クーパー』の3ドアとコンバーチブルに、待望の高性能版“ジョン・クーパー・ワークス”が追加設定
AUTOSPORT web
【このゴルフGTIなんぼ?】走行距離63,000kmだけのVWゴルフ3 GTI 20周年記念モデルが販売中!その値段は?
【このゴルフGTIなんぼ?】走行距離63,000kmだけのVWゴルフ3 GTI 20周年記念モデルが販売中!その値段は?
AutoBild Japan
【限られた時間でもわかった究極の片鱗】 第4世代ベントレー・コンチネンタルGTスピードに初試乗!
【限られた時間でもわかった究極の片鱗】 第4世代ベントレー・コンチネンタルGTスピードに初試乗!
AUTOCAR JAPAN
【GASGAS】ストリートモデルの新車がお得に!「購入サポートキャンペーン」を11/30まで開催
【GASGAS】ストリートモデルの新車がお得に!「購入サポートキャンペーン」を11/30まで開催
バイクブロス
フォード・マスタング1-2勝利も失意のペナルティ。最終ヒートは王者コステッキが制覇/RSC第11戦
フォード・マスタング1-2勝利も失意のペナルティ。最終ヒートは王者コステッキが制覇/RSC第11戦
AUTOSPORT web
トヨタ「新型ハイラックスサーフ!?」世界初公開へ! “カクカク”デザイン×「斬新ルーフ」も装着! 40年目の進化を称える「4ランナー TRD サーフ」米国でまもなく登場
トヨタ「新型ハイラックスサーフ!?」世界初公開へ! “カクカク”デザイン×「斬新ルーフ」も装着! 40年目の進化を称える「4ランナー TRD サーフ」米国でまもなく登場
くるまのニュース
「世界で最も効率に優れるEV」米ルーシッド『エア』が安全性でも最高評価
「世界で最も効率に優れるEV」米ルーシッド『エア』が安全性でも最高評価
レスポンス
「世界一銀色」なシルバー輝くホンダ シビック、欧州ハイブリッド発売25周年を祝う
「世界一銀色」なシルバー輝くホンダ シビック、欧州ハイブリッド発売25周年を祝う
レスポンス
今年はHondaウエルカムプラザ青山!「Honda Racing 2024 Season Finale」の開催を発表
今年はHondaウエルカムプラザ青山!「Honda Racing 2024 Season Finale」の開催を発表
バイクのニュース
3年ぶり大刷新! 三菱「新型“3列”SUV」登場! すでに“大人気!?”な「高性能モデル」! 画期的4WD搭載&ハイパワー化実施の「アウトランダー」発売
3年ぶり大刷新! 三菱「新型“3列”SUV」登場! すでに“大人気!?”な「高性能モデル」! 画期的4WD搭載&ハイパワー化実施の「アウトランダー」発売
くるまのニュース
2代目[プリウス]って実はスゴイ!! 世界で活躍した[トヨタF1]が真似した驚き技術って?
2代目[プリウス]って実はスゴイ!! 世界で活躍した[トヨタF1]が真似した驚き技術って?
ベストカーWeb
はじめてのアルファ ロメオ「ジュリア スーパー」に32年! ボディのサビは現在成長中…「育ってるね!」と言われるのがもはや快感!?
はじめてのアルファ ロメオ「ジュリア スーパー」に32年! ボディのサビは現在成長中…「育ってるね!」と言われるのがもはや快感!?
Auto Messe Web

みんなのコメント

2件
  • tep********
    こう言う老後の生活したいなぁ
  • furima-jirosan
    今回の展示会にお伺い出来ず、とても残念…
    これで最後と仰らず、どうか次回もよろしくお願いします…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村