現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 充電し放題だったのに… 日産「リーフ」の充電プラン改定で損するユーザーが続出した訳

ここから本文です

充電し放題だったのに… 日産「リーフ」の充電プラン改定で損するユーザーが続出した訳

掲載 更新 11
充電し放題だったのに… 日産「リーフ」の充電プラン改定で損するユーザーが続出した訳

■堅調なリーフの販売を支えた使いたい放題の充電プランが突然終了

 電気自動車として世界でもっとも多く販売されている日産「リーフ」は、2010年に初代が登場しました。2017年10月には2代目へとフルモデルチェンジされ、バッテリーも40kWhという大容量となり、JC08モードで400kmの航続距離を実現。電気自動車をより身近なものへとしてくれました。

これが「プリウス」なの!? 「フェラーリ」そっくりなプリウスが登場!

 しかし、リーフの購買意欲を高めたのが、2016年12月からスタートした「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2(ZESP2)」であったことは間違いないでしょう。

 このプログラムは、月額2000円(消費税別)で全国約7000基(発表当時)の急速充電器が使い放題になるというもので、自宅に充電コンセントを設置できない集合住宅などに住む人でも「これなら所有できるかも」と購入に踏み切ったユーザーも多かったと聞きます。

 しかし、このZESP2は登場から3年後の2019年12月に突如終了。新たに「ZESP3」へと変更され、月額2000円の定額制も廃止となってしまったのです。

 新しいZESP3では、プラン毎に決まった回数の無料充電つきの「プレミアム」3種類と、都度課金制の「シンプル」という計4種類のプランが選べるようになりました。

 急速充電10回分が付属する「プレミアム10」が4000円/月、急速充電20回分が付属する「プレミアム20」が6000円/月、急速充電40回分が付属する「プレミアム40」が1万円/月、都度課金の「シンプル」が500円/月となっています。

 自宅で充電できないユーザーにとって、もっとも安い「プレミアム10」でもZESP2の倍のコストがかかってしまう計算になります。

 また、ここでいう急速充電1回とは、多くの日産ディーラーなどで設定されている1回30分ではなく、10分を1回とカウントするため、30分の急速充電をおこなうと無料充電を3回分消費することになってしまいます。

 3年定期契約で月額が1500円安くなるプランもありますが、車検のタイミングを考えるとなかなか難しいところです。せめて、2年、3年、5年、というように複数のプランがあるとよかったのではないでしょうか。

 なお、普通充電については、プレミアムの各プランはどれだけ使っても0円、シンプルは1分につき1.5円かかります。

 ちなみに、同じ時間充電したとしても、急速充電器の出力やバッテリーの状態、残量、温度、そのときの気温などで変わってくるのでなんともいえませんが、リーフを所有する筆者(小鮒康一)の経験則では、40kWhのバッテリーを積んだリーフで、バッテリー残量が20%を切ったところからディーラーの急速充電器で30分充電すると、70%ちょっとくらいまで充電できるイメージです。

 70%の充電で走れる距離は180kmから200km程度なので、プレミアム10を使って走行できる距離は月に500kmから600km程度といったところでしょう。

 日常的にクルマを使うユーザーからするとちょっと物足りない感じといわざるを得ない距離です。

 また、無料充電分を消化したあとは都度課金で急速充電器を使うことができますが、プレミアム10では10分で350円、プレミアム20では10分で300円、プレミアム40では10分で250円、シンプルでは10分で500円という金額設定となり、プレミアム10で30分急速充電すると1050円ということになります。

 いいかえれば、約200km走るために1050円かかることになるので、コストだけを考えるとリッター25kmくらい走るハイブリッド車のガソリン代とあまり差がない、ということになってしまうのです。

 もちろん電気自動車にはコストメリット以外に優れた点も多くありますが、ZESP2時代に購入したユーザーの多くは、コストに魅力を感じた人も多いはずです。月額2000円だったら、充電待ちも我慢しようと思っていた人も少なくなかったでしょう。

※ ※ ※

 リーフは販売好調で、62kWhの大容量バッテリーを搭載した「リーフe+(イープラス)」も登場。さらには東京オートサロン2019では電気自動車SUVの「アリアコンセプトも発表して、まさにこれから電気自動車の購買意欲が高まってくるタイミングにもかかわらず、ZESP3に移行した理由はなんなのでしょうか。

 日産によると、「使い放題プランを設定したことにより、自宅に充電コンセントがあるユーザーも急速充電器を日常的に使うようになり、自宅で充電できないユーザーが急速充電器を使用しにくい状況が一部で発生したため」だといいます。

 確かに、休日の高速道路などのパーキングエリアは仕方ないにしても、日産ディーラーの急速充電器もフル活動に近い状況を目にすることが多くなってきました。

 とはいえ、自宅で充電できるユーザーではなく、急速充電器に頼るしかないユーザーの負担が増えるような改訂は、疑問が残るのも事実です。

 現在ZESP2に加入しているユーザーに関しては、入会日から5年間は引き続き月額2000円で充電し放題で利用できますが、期間が満了した後に新たな電気自動車に乗り換えるかどうかは悩ましい選択となりそうです。

■リーフが売りにくくなる!? 販売現場にも影響が及んでいる

 電気自動車のメリットは、振動や騒音の元となる内燃機関(エンジン)が存在しないことによる、静かで快適な乗り味です。モーターによるシームレスな走りは日産の「e-POWER」でも楽しめますが、エンジンが作動することによる騒音までは消すことができません。

 また、走行するときは排出ガスゼロであることも、電気自動車のメリットといえるでしょう。

 さらに蓄電池としても活用可能で、家庭への給電はもちろん、出先でもさまざまな電気製品の電源として利用することができます。

 一方デメリットとしては、やはり出先での充電に時間がかかることや、航続距離を伸ばそうと大容量バッテリーを搭載すると、相対的に車両価格が大幅にアップしてしまう点などが挙げられます。そのため、現段階では万人に勧められるものではないというのも事実でしょう。

 今回の充電会員のプラン改定は、販売現場にも影響を及ぼしているようです。日産の販売店スタッフは次のようにいいます。

「月額2000円定額で充電し放題だったときは、『ノートe-POWER』を検討しているユーザーに日常の使い方などをヒアリングし、コストのメリットなどを説明した上で、リーフをオススメするということがありました。

 しかし現在は、逆にリーフを検討しているユーザーに新たな充電プランの説明をすると、ノートe-POWERに変更するユーザーがいます。また、ノートはボディサイズが小さいということで、他社のハイブリッド車へ流れてしまうことも少なくないです」

 今後、ホンダは「ホンダe」やマツダ「MX-30」などの電気自動車を出してくることがアナウンスされています。

 充電会員の内容によっては、リーフのユーザーがそちらに一気に流れる可能性もないとはいえません。今後の電気自動車の勢力図が変わってくる可能性もありそうです。

こんな記事も読まれています

ホンダ新型「“スゴイ”軽バン」実車“初公開”! どこでも「仕事場」!? “真っ平ら”内装&テーブル+イス完備の「N-VAN e:」アウトドアショーに登場
ホンダ新型「“スゴイ”軽バン」実車“初公開”! どこでも「仕事場」!? “真っ平ら”内装&テーブル+イス完備の「N-VAN e:」アウトドアショーに登場
くるまのニュース
サインツJr.の”進路選び”はもう待ったなし? ウイリアムズ、他ドライバーとの交渉を再開か
サインツJr.の”進路選び”はもう待ったなし? ウイリアムズ、他ドライバーとの交渉を再開か
motorsport.com 日本版
【MotoGP第8戦オランダGP】中上貴晶選手、好きなアッセンでのレースも「初日から改善が見られない」と、厳しい週末に
【MotoGP第8戦オランダGP】中上貴晶選手、好きなアッセンでのレースも「初日から改善が見られない」と、厳しい週末に
バイクのニュース
クルマのオートマの「P」と「N」! どちらも停車中に入れるレンジだけどなぜ2種類必要?
クルマのオートマの「P」と「N」! どちらも停車中に入れるレンジだけどなぜ2種類必要?
WEB CARTOP
スズキ、バイオガス精製へインドで試験用プラントを稼働
スズキ、バイオガス精製へインドで試験用プラントを稼働
日刊自動車新聞
【このシューマッハの550なんぼ?】日本にあったシューマッハの私有車「フェラーリ 550 マラネロ」がオークションに出品された その落札想定価格は?
【このシューマッハの550なんぼ?】日本にあったシューマッハの私有車「フェラーリ 550 マラネロ」がオークションに出品された その落札想定価格は?
AutoBild Japan
無線で進化する自動車! テスラがリードし国内メーカーも追随する「車載OTA」とは何か
無線で進化する自動車! テスラがリードし国内メーカーも追随する「車載OTA」とは何か
Merkmal
地獄の渋滞「川越市」念願の"4車線化"事業に反響多数!?「ここはひどい」「金曜夕方は地獄」中心部バイパスの「川越北環状線」拡幅どこまで進んだ?
地獄の渋滞「川越市」念願の"4車線化"事業に反響多数!?「ここはひどい」「金曜夕方は地獄」中心部バイパスの「川越北環状線」拡幅どこまで進んだ?
くるまのニュース
「ポールスター3」に後輪駆動のエントリー仕様、EV航続はシリーズ最長650kmに
「ポールスター3」に後輪駆動のエントリー仕様、EV航続はシリーズ最長650kmに
レスポンス
メルセデス・ベンツ唯一のカブリオレモデル 新型「CLEカブリオレ」日本上陸 新たな名前で登場した4座オープンカー
メルセデス・ベンツ唯一のカブリオレモデル 新型「CLEカブリオレ」日本上陸 新たな名前で登場した4座オープンカー
VAGUE
日独韓のスポーツハッチ比較:GRヤリス、ゴルフR、アイオニック5N
日独韓のスポーツハッチ比較:GRヤリス、ゴルフR、アイオニック5N
レスポンス
自転車や電動キックボードとは違って「歩行者」扱い! 乗る高齢者も周囲の人も覚えておくべき「電動シニアカー」のルール
自転車や電動キックボードとは違って「歩行者」扱い! 乗る高齢者も周囲の人も覚えておくべき「電動シニアカー」のルール
WEB CARTOP
”3年ぶり復活”のトヨタ「ヴィッツ」に期待!? 約145万円の全長3.7m級「コンパクトカー」! MTもある「最新モデル」南アフリカで活躍
”3年ぶり復活”のトヨタ「ヴィッツ」に期待!? 約145万円の全長3.7m級「コンパクトカー」! MTもある「最新モデル」南アフリカで活躍
くるまのニュース
父とチーム代表の“場外乱闘”に巻き込まれたフェルスタッペン。事情を把握し「避けられたシナリオだった」
父とチーム代表の“場外乱闘”に巻き込まれたフェルスタッペン。事情を把握し「避けられたシナリオだった」
motorsport.com 日本版
新時代を思わせるデザインと性能!!  電動スポーツスクーターFELO「FW07」が気持ちいい!
新時代を思わせるデザインと性能!! 電動スポーツスクーターFELO「FW07」が気持ちいい!
バイクのニュース
夏場のオーバーヒート対策! 強化ラジエターキャップの選び方~カスタムHOW TO~
夏場のオーバーヒート対策! 強化ラジエターキャップの選び方~カスタムHOW TO~
レスポンス
レベル4自動運転技で大手自動車メーカー2社と提携、イスラエル企業が短距離LiDAR納入へ
レベル4自動運転技で大手自動車メーカー2社と提携、イスラエル企業が短距離LiDAR納入へ
レスポンス
メルセデスAMG SL【1分で読めるスーパーカー解説/2024年最新版】
メルセデスAMG SL【1分で読めるスーパーカー解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン

みんなのコメント

11件
  • いきなり梯子を外す行為はいかがなものかと思う。
    外された身になれば騙されたとしか思えない。
    ゴタゴタ続きの日産らしいが、日産の車は怖くて買えませんな。
  • 日産はもうかわない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.0484.0万円

中古車を検索
リーフの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.0484.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村